SONATA ARCTICAアルバム感想

00年、フィンランドから流星の如く現れたネオクラシカルな北欧メタルバンド、ソナタアークティカ。
その哀愁を帯びたメロディ、ギターリフの数々が日本人の波長と絶妙に合い、
2ndからは日本でも大成功を収めている数少ないメタルバンドの一つとなった。
メロパワ系メタルバンドでは、私がHELLOWEENの次に好きかもしれないバンド。




1.BLANK FILE
2.FULLMOON
3.Picturing the past
4.Kingdom for a heart
5.8th commandment
          /11曲
ECRIPTICA 97
2000年 1stアルバム
弱冠20〜22歳である。
色々なメタルサイトでこのアルバムは恐ろしいほどの高評価を博しており、私もこのアルバムを購入してみたのだが、正直、このアルバムを制作した当時のバンドメンバーの年齢は弱冠20歳そこそこであったということで、それ程の期待をしてはいなかった。
しかし、再生ボタンを押して4分後・・・

Σ(;゜Д゜)

激しいままに、そして北欧の寒々とした空気を残したままに、次々と転調を重ねていくBLANK FILEに感動の嵐となっていた。 特にラストの転調には鳥肌モノで若さゆえの勢いというのはこういったモノなんだなと実感。 
その勢いは次の
MY LANDにも受け継がれ、3曲目からは再びBLANK FILEばりの疾走曲が続いてゆく。キーボードとギターが、唄メロの部分でも暴れまわっている8th commandment、ある種の勇壮さも感じさせるkingdom for a heart、そしてサビメロのテンションが滅茶苦茶高い(
ラナウェイラナウェイラナウェイ)FULLMOONと、まさに名曲の嵐。これらの曲に共通しているのは、やはりジャケットからも想像させられる、キラキラとした北欧のキーボードが響き渡っているという点。にもかかわらず全くマンネリを感じさせないのは、イントロから使われる各曲の「ギターリフ」が、どれも非常に印象的な響きを持っているからだろう。更にどの曲にも、イントロで使われたギターリフ・キーボードの起伏に富んだメロディが、曲中にも使われているというニクイ演出がされている為、ここまでされれば似たような雰囲気の曲であっても聴き分けができるというものだ。
4、7曲目のReplicaLetter to Danaも、2rdのバラードと比べると少し劣る感もあるが、このアルバムにおける数少ないバラード曲ということで良い感じに聴ける。
8曲目からが再び怒涛の展開で、若々しいエネルギーを感じまくる中盤のキーボードソロに感動させられる
Unopend、上記の通り印象的なギターリフが曲中、サビに面白いように顔を出すPicturing the past、そして集大成的なDestruction Preventerをもって幕を閉じる。

文句のつけようが無いほど、ギターとキーボードによる音階のアイディアに満ち溢れ、エネルギーを感じさせられる一枚。 「全曲名曲」と呼べるような、数少ない超名盤の一つだと思う。




1.Weballergy
2.Worf&Raven
3.Black sheep
4.San Sebastian
5.The end of this chapter
          /13曲
SILENCE 92
2001年 2ndアルバム

非常に評判の高い
San Sebastian、Weballergy、Worf&Raven、Black sheepの4大疾走曲を擁した2rdアルバム。このアルバムで日本でもブレイク、オリコンウィークリーチャートで6位を獲得した。アルバム全体の構成は更に良くなり、よりハイクオリティな一枚となった。とりあえず上の4曲だけでも解説っ!
オープニングのインストから、余りに華やかに幕を開ける
Weballergyは、この時点で腰が抜けてしまう。 そして前作の疾走曲の集大成とも言えそうな、キーボードとギターが駆け巡るA、Bメロの疾走感や、サビのハイトーンヴォーカル、ギターソロ、全てが格好よすぎる! 個人的には現時点での彼らのベストチューンです。
Black sheepはとにかくサビメロがキャッチーで、3分40秒という長さのもあって気軽に聞ける、オーソドックスな疾走ナンバー。この曲はJ-POPファンでもすぐに気に入りそうだ・・・と思っていたら、なんとドラムマニア、ギターフリークスに収録されていた! ギターソロが最大のハイライトではないだろうか。
San Sebastianは、某投票型メタルサイトでソナタ最大の人気を誇っている曲。大合唱すらできそうなサビのスケールは、確かに高い人気に値するのではないだろうか。とはいえ、Silent JealousyやBATTERYやPAINKILLERよりも優れているとはちょっと・・・いえ、上記のサイトでの話ですけど。
極めつけは
Worf&Raven。ダークな疾走感とクラシカルな展開に徹したこの曲には、上の3曲とはまた違った趣を感じさせられる。トニーのヴォーカルの素晴らしさや、後半の怒涛の展開には絶句すらする。何度聴いても飽きることがなく、この曲はあらゆる点で、00年代のメタルシーンを代表する名曲になると思う。

全13曲というかなりのヴォリュームを持つアルバムだが、疾走曲とバラードが非常にバランスよく配分されているので飽きることがない。内訳は疾走曲7曲、バラード4曲、その他2曲か。 ひときわ異質の魅力を放っているのが、10曲目に配されたRevontuletというインスト。どこかのRPGゲームにも使われてそうなキーボード主体の構成が相当格好よい。このアルバムにおいても意外と重要な一曲ではなかろうか。

個人的に「なかったこと」になっている、どこにも魅力を感じない大曲が一曲だけあるが、まだまだセンスと勢いに溢れる楽曲が目白押しの一枚。彼らを聴くならこれからでしょう。