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現代は<人間>とは一体何であるのか?という問いに誰も答えることができない時代になりつつあります。
そしてそれはもしかしたら私達自身が既に<人間ではない何者か>になりつつあるからかもしれません。

夏、サザンビーチ、埴谷雄高。

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朗読劇 『死霊 九章』

原作       埴谷雄高

構成・演出    上本竜平

出演       高見泰輔 龍田知美 (東京ネジ) 上本竜平  

ゲスト      水戸桜里枝(26日・28日)  

日時       2004年8月26日(木)→28日(土) 各回19時開演 全3公演

会場       茅ヶ崎戯曲

料金       完全予約制 1000円(限定20席)→チケットのご予約はコチラから

雨天時      台風等、大荒れ・大雨の場合は中止。普通程度の雨天の場合は決行(演出内容については変更あり)

中止及び雨天決行時のご連絡 (メール)   当日午前11時までに行います。

 

開場   17:45
開演   19:00      

アクセス     サザンビーチちがさき   

● サザンビーチまでは、茅ヶ崎駅南口から出ている コミュニティバス「えぼし号」のご利用が便利です(運賃100円)
★注意★   コミュニティバス「えぼし号」は1時間に2本、18時までの運行なので茅ヶ崎駅南口17:30発もしくは18:00発の回をご利用ください。けっこう人気ですので、バス停留所には早目の到着がオススメ。

 会場に早めに到着すると、晴れた日には見事なサザンビーチの夕焼けをご覧いただけます。薄紅色の風景が徐々に深みを増していくのを眺めながら、ゆったり小一時間、夏の終わりに浸ってください。ご希望の方には、昨年のイベントでも好評だった湘南ビールの販売も予定しています。


お問い合わせ   コチラよりお願いします 。



■ 作品主旨

今回、埴谷雄高著『死霊(しれい)』を取り上げる理由について、正面から答えるとすれば、<夏、サザンビーチ、埴谷雄高>という奇妙な組み合わせのもと『死霊』に登場するナイーヴな人物達に夜の砂浜を散歩して欲しいという、素朴な想いをあげると同時に、以下のような時代背景的な理由もあると言っておかねばなりません。

つまり、『死霊』は<人間>の思考形式と存在形式を、"一編の小説の中だけで"一変せしめようとした世界文学の中でも突出した思考実験的作品である、ということ。
そしてその作品の内容と平行して、現代は<人間>の思考形式や存在形式が大きく変容しつつある時代である、ということです。


ここ二、三百年のあいだ、私たちが自明のものとして取り扱ってきた、<人間>という共通概念は今日崩れつつあり、私たち自身は既に<人間ではない何者か>になりつつあるのかもしれません。

今回の朗読劇は、私たちがどのように変容するのかについて、埴谷さんが『死霊』において提出してくれた「虚体」という概念を通じ(一編の壮大な冗談として!)参照してみよう、という意図にもとづいて行われます。そして次第に、私たちは、従来の<人間>を枠組みとして規定していた<生身の肉体存在>に、関心を寄せていきます。