No.32 /2006.4
他館レポート
浮 世 絵 美 人 画 の 魅 力

・・・3月8日ボランティア研修より・・・

 今年度最後の研修計画に基づき、北海道立近代美術館にボランティアの皆さんと出掛けました。
  浮世絵美人とあって、どきどきわくわくしながら往年の恋人に会うような気分でした。はじめに、オリエンテーションがあったので予備知識は十分でした。歌川国貞、歌川国芳、渓斎英泉の、江戸時代末 期の浮世絵界の代表作品二百点です。様々な階層の江戸女性の風俗が細かく描写されており、それも飛びきりの美人達ですから心踊らぬはずはありません。男性の観客に目をやると、こころなしか私よりは長い間鑑賞していたように思われました。
 そんな不純な気持を押さえながら、芸術性の高さや、歴史的、文化的資料の魅力に取りつかれました。帯広在住だった高橋博信建設会社社長のコレクション(30年にわたって収集されたもの)を受贈記念に開催されたもので個人の造詣の深さに敬意と感謝をするとともに、いかに大切に心血を注いで収集保管されてきたか、展示されていた作品一つ一つに新鮮な色彩が江戸時代の「粋」が美人を一層引き立て、現代の「粋」とは比べられない色香を漂わせていました。
 浮世絵版画には人物のバックに文字や、ほん絵の構図にこま絵が工夫されて描かれており、この面白さが格別な味を醸していました。初めて知ったことだったのでとても新鮮に思いました。この外に、見立てとか、すりの技巧とか、版画の判型とか一度鑑賞しただけでは知り尽くせないことがたくさんありました。時代の推移とともに浮世絵の洋風化にも驚かされ、これが他の絵師にも波及したとか、今後葛飾北斎展が開催されたときにさらに注意をして鑑賞したいと思います。
 美人とは言い、遊女とか花魁とか遠い身分ですが、狂歌に「お白粉に花の香のある美人かな」とあるそうですが、まさに浮世絵はその時代のファッション性の高いものだったと感じ疎かに鑑賞してはいけない物だと思いました。
 帰途について、バスの中の暖かさに歓談の花を咲かせながら、外に目をやると吹雪、美意識を一層高めた私には天から花弁がこぼれたようで心地よく関係した皆さんに深く感謝の念で一杯に帰りました。

M.K