横谷リーダー観察日記 2
怪獣が出るたびに、地震が起こる度に仕事のなくならないマーリンである。
この頃は、さすがに二人ではどうにもならなくて、横谷も仕事に混ざってきていた。
巌の観察結果では、横谷の仕事処理能力はかなりなもので、たびたび今井も横谷のアドバイスを受けていた。
〔仕事をしているときと、プライベート時間の印象、かなり違うよな。〕
明日また新たな破滅招来体が出ないとも限らない、今日出来るものは全て片づけておく。
というのが、マーリンのモットーであった。
「うぁふぁー」
巌の仕事が終ったのは、すでに今日が変わろうとしている時間帯である。
今日で全ての調査を終えておけば、明日は朝からトレーニングできるかも、という期待に頑張ってきたのである。
そう、やっぱり巌は、デスクワークよりも体を動かしている方が断然好きなのだ。
「海の中の横谷さん、かっこいいもんなぁー」
何度かトレーニングに行っていて、横谷の泳ぎにすっかり虜になってしまっている。
気を抜くと、あのときの横谷の姿が目に浮かぶ。真剣に怒った表情と、そして口付け…〔ちがうだろ!〕
「イルカのような体の動き、きれいだよなぁ」
頭の中は、すっかりとろとろである。
その腐った頭で、しばらくボーっとしていて、ふと我に返った。
「部屋に戻って、早く寝るかっ」
トレーニング、トレーニング、と鼻歌を歌いながら、照明も絞られて薄暗い通路を自室へと向かって歩き、
人の気配にふと足を止めた。
通路分岐点からこちらに向かってくるのは、見まごう事はないチームリーダーの横谷だった。
「うわっ、こんな時間に、俺ってラッキーかもっ」
お前は、女子高生か!と、突っ込みを入れたくなるようなセリフを小声で呟くとなるべく平静な振りをして、
横谷が近づくのを待っていた。
一方、横谷は、前方に立っている壁のような【どてかい】男をちらりと一瞥しただけで、まるで、
気にも止めてないように歩いていた。
内心、そんなところに立っていたら邪魔くさいと思っているのだ。
「お疲れ様です。」
大声を出さなくても聞こえる距離まで来た所で、巌が頭を下げる。
横谷は、ポケットに両手を突っ込んだまま、ああ、とそっけなく視線もくれずに呟いた。
そのまま通り過ぎ、巌が、はぁーと、溜息を漏らした瞬間、いきなり後ろ髪をガツンと引かれて、頭がのけぞった。
「うおっ」
ひっくり返りそうになって、よろめきながら何が起こったのかと振り向けば、背中を向けた横谷の右手が、
巌の束ねている後ろ髪をしっかりつかまえていた。
何ごとか理解できないでいる巌に横谷が声をかけた。
「暇か?」
ものすごくぶっきらぼうな声で…
この時間に暇か?はないだろう。みんな寝る時間である。
しかし、横谷に問われれば、例え三日や四日睡眠をとっていなかったとしても睡眠時間など暇になるだろう。
「は、はい。」
「…、」
「?」
黙り込んだ横谷は、巌の髪を放した
「…部屋に戻るんだろう?」
「はあ、」
「…戻れ、」
人一倍鈍い巌にいらいらしたように横谷がせかす。
引き止められた意味がよく分からなくて、首をかしげながら歩き出すと、後ろの足音がついて来ていた。
ギョッとしてちらりと振り向くが何事もない様についてくるので、まさか部屋まで来るのか?
と心臓がばくばくした。
自室の前まで来ると、横谷もそこで止まる。
〔やっぱり…〕
なんで?かなり疑問に思いつつもちょっとした期待も込めてドアを開ける。
「ちらかってますが、よければどうぞ」
当然のように、横谷は巌の部屋に入った。そして、入口で固まった。
巌の部屋の中は、間接照明だけ点けられて薄暗い。冷たいスチール製のデスクや椅子が壁際にあり、
同じくスチール製の棚にはあちこちにイルカの置物が置いてある。
振り子のような重りがついていて常にゆれているイルカや、天井からはスチール製のモビール。
海底から水面を見上げたようなジグソーパズルにもイルカが泳いでいた。
通販で安売りしているようなパイプベットはどう見ても巌の身長には長さが足りないような感じがする。
そんな質素なベットの頭もとにも、板状のバネでぶら下げられたイルカがゆれていた。
実はこれら全て、巌が横谷をイルカのイメージと重ねてから購入したものだったのだが、
見事に部屋中が統一されていた。
イルカマニアなのか?と横谷が巌を見ると、自分の思惑がばれたのかと慌てて言い訳をした。
「や、その、研究室が薄暗いもんで、いきなり明るい部屋に帰ってきても落ちつかないんすよ、で、
自然とこんなんなっちまって…」
「…ふん」
巌を一瞥すると、勧めもしないのに、横谷はまっすぐ奥のベットに行き座った。
手近にあるイルカを指で軽くはじいている。
実は、横谷もこの空間の雰囲気をかなり気に入っていたのだが、まるでそれを表面には見せずに、
次々と、イルカを揺らしていた。
あ、そうだ、何か飲み物でも、と冷蔵庫の扉を開けると、横谷が呼び止めた。
「こっちにこい。」
なにもいらねぇ、と呟いて視線も向けずに呼ぶから、何事か?と ぽてぽて歩いて傍にいってみた。
イルカのモビールが気に入ったから、くれ、とでも言うのかな?と無防備に近づくと、いきなり巌の首に絡み付いてきた。
一瞬何が起こったのか理解できずに、うわぁと、かなり情けない悲鳴を上げ、踏み止まることも出来ずに、
ぶら下がられた勢いのまま、横谷を下敷きにベットに倒れ込んでしまった。
「ど、ど、ど、どう、したんすか、リーダー!」
巌の動揺は、面白いほどに見て取れた。
「うるさい!暇なんだ!」
片手で、巌のコンバーツの上着のジッパーを下げ、シャツを引っ張り出して胸筋の張った胸に手の平をを滑らせた。
「ちょっ、横谷さん、まっ」
混乱している巌をよそに横谷は慣れた手つきでベルトを外し、あっという間に巌のズボンの前をはだけ
中に手を入れていた。
「!」
直に握られた衝撃に巌の中で何かが切れた。
横谷の両手首を力任せに引っ張り上げ、ばんざいの姿勢でベットに押さえつけ荒い息で横谷をにらみつける。
いつもと様子の違う巌に、横谷の背筋にゾクリとしたものが走った。
大きなきつい瞳が、押さえつけたままの巌を睨みつけながらもその薄い真っ赤な唇からとがった舌が
唇をなぞる様に覗いたとき、巌は我を忘れてその口に貪りついていた。
噛み付くようにきつく口付け、抜けんばかりに舌を吸い、その小さな口の中に咽るほどおくまで舌を入れ口中を犯す。
「あっ、ふ…うぅ」
執拗に繰返される口付けに苦しみもがいて、横谷の口から声が漏れる。それでも巌は容赦しなかった。
上あごの内側を舐められ、ぞくぞくと、背筋が震える。痛いほど吸い込まれている舌の根元を巌のそれでつつかれ、
ぞろりと舐め上げられてびくびくと体が跳ね上がった。
あまりにきつく口付けられて、鼻も抑えられた状態なので、息を吸う事もままならない。
それより何より、フル回転している心臓が苦しくて、涙が滲んできた。
どんどん追い詰められて、横谷は限界を感じた。
「は、ぁぁっ」
大きく横谷の喉が仰け反るが、巌は放しはしない。ひときわ大きく開けられた横谷の口から上がった嬌声は、
そのまま巌の喉のおくまで達していた。
はぁ、はぁ、はぁ、
必死で酸素を吸い込む横谷は、目に涙を浮かべ壮絶に色っぽい!
横谷は、キスだけでイカされてしまって、かなりなショックを受けていた。
呆然としている横谷のベルトに手をかけて、コンバーツの下を一気に膝まで引き下げた。
そんな性急な巌の動きに横谷は嫌がるかと思ったが、逆に乗りあがってきた巌の首に両腕を絡ませて、
さらに口付けをせがんできた。
その要求に先程とは違い、やさしく答えてやりながらも露になった太ももをなで上げ後ろに手を回すと、
横谷はすんなり足を開いてきた。
あまりの抵抗のなさに内心巌は戸惑う。
女性とならば、こんな、遊びとも言えるやりとりを数多くこなしてきた巌だが相手が自分と同じ性別となると、
どうも勝手が分からない。
確かに、このような行為があると言うことは知識として理解していたが、まさかこんなにいきなり実践になるとは
思ってもいなかった。
後ろの入り口に指を這わせ戸惑っていると、急かすように横谷は腰をくねらした。
とりあえず、指を勧めてみる。そこは、あまり抵抗を見せなかった。指をくねらし奥まで付くと、
横谷の体がびくびくと小さく震えた。
「あ…っ」
官能的な声が巌の耳を痺れさせる。もっと聞きたくて、巌は指を増やし、荒々しくうごめかす。
「や、ああ」
焦点のあわない瞳を潤ませ、せわしない呼吸と共に、巌の下半身を直撃するような声が次々と上がる。
巌は手早くズボンを脱ぎ捨て足を抱え上げると一気に横谷を貫いた。
ひときわ高い悲鳴のような声が上がったが、あまりのきつさにすぐに上り詰めそうで、横谷を思いやる余裕が
巌には持てなかった。
一気に押し詰めた自分を引き、さらに奥まで打ち付ける
どんどん早く強く打ち付けるたびに、横谷の口から止めどなく声が上がる。
「や、い、わお、あぁっ」
衝撃の大きさに耐えられなくて掻きもがくように縋り付いてくる横谷に、感じているためだと思いこんでいる巌は、
さらにエスカレートした。
たまらなくなって、巌の腰に足を絡めて、その動きを少しでもくい止めようとするのだが、
反り返る横谷ののど元に巌はむしゃぶりついて、さらに横谷の中に埋めているものの質量を増す。
激しい揺さぶりと、衝撃にめまいを感じながらも、横谷の体も高まりが頂点に来ていた。
「や、ぁぁぁぁっ」
「リーダー」
うおおお、とうめくような声に内蔵を刺激され、腹の奥深くに衝撃を感じた直後に横谷も解放していた。
台風のような、竜巻の中に巻き込まれたような感覚から解放されて、横谷は脱力した体で必死に息を吸っていた。
まだ、横谷の体の中に収まったまま、胸の上に覆い被さっている巌をまっ赤に潤んだ瞳でにらみつける。
「このっ、どへたくそっ!」
「す、すみません、途中から、訳わかんなくなっちまって、その…」
上半身を上げて横谷を見下ろすと、その壮絶なまでの色っぽさに 埋めたままの巌がドクンと脈打った。
「!…、このっ」
「俺っ、前から、リーダーのこと好きなんです。」
巌の突然の告白にびくりと、横谷の体が飛び跳ねた。
鈍い巌が、えっ、と息を飲むほどにその雰囲気が変わるのが見て取れた。
「社交辞令なんていらない!続きをするなら、さっさとしろっ」
先ほどまでの色っぽさの欠片もなく、横谷は横を向いていた。
「社交辞令ってなんすか?本気です!俺、リーダーが、好きなんです!たぶん、初めてあったときから、一目惚れで。
助けて貰ったときに、はっきり自覚しました。」
「だからなんだ!そんなの俺には関係ないだろっ」
はっきりと関係ないと言われて、知らず知らずに巌は傷ついた顔をしていたのだろう。
憎しみを込めてにらみつけていた横谷の瞳がわずかに揺れた。
確かに、始めからこんな想いはおかしいと自覚していた巌だ。
告白なんて、しようとも思わなかったのに、横谷が誘ってきたときに、そんな分厚かった壁が
まるで無くなってしまっていたのだ。
「何が言いたい!俺にお前を好きになれってのか?冗談じゃない!つき合ってられるかっ、どけろっ!」
横谷のあまりの勢いにあっけにとられていた巌は、力任せに横谷の上から床へと叩き落とされた。
いまだに横谷とつながっていた部分が無理矢理引きはがされ、横谷を傷つけた。
「っ!」
唇をかみしめて漏れそうになる苦痛をこらえると、素早くコンバーツの上下を着込み、巌に一目もくれることなく、
横谷は部屋を出ていった。
いまだ床の上から立ち上がる気力もない巌は、唇を噛みしめ視線を合わせなかった横谷の
深いところにある傷を見たような気がした…
「?」
デスクワークを進めていた今井が、頭を抱えたりイスの背もたれに反り返ってみたりと、
まるで落ち着かない巌を振り返る。
「巌さん、」
やはり、彼の性格上、巌を巌と呼びすてに出来ないでいた。
「何かあったんで、…すね。」
ですか?と言う前に、振り向いた巌の情けない顔を見て、ため息が出た。
「一体、どうしたんですか、」
いつも何においても楽天的な巌の、今はしょぼくれた顔は見ていてあまり気持ちのいいものではない。
このままでは仕事も進まない。
「はぁー、」
振り向いた巌の口からはため息しか漏れてこない。
昨日の帰りまでは、何ともなかったのだから、問題があるとすればその後だろう。…まさか、と思って、
おそるおそる声をかけてみた。
「つかぬ事を聞きますけど、昨夜、リーダーに会いました?」
「会った…」
ぼそりと出た言葉に、あちゃーと、内心首を竦める。
横谷の性癖を知っている今井は、会っただけではすまなかったことまで察していた。
「早くに教えてあげていれば良かったですね。巌さん、真面目そうでしたし、
横谷さんが、こんなに早くあなたを対象にするとは思わなかったものですから…説明不足でした。」
どん底に落ち込んでいた巌は、今井が言おうとしている意味がさっぱり分からない。
「横谷リーダーは、その、特別なパートナーを持たずにあちこちを渡り歩く癖があるんです。」
渡り歩くの意味は、言わずと知れた、昨夜のそういうことである。
「それを知っている人たちが、暇なときは相手をしているみたいなのですが、」
「好きだと言ったら、目向いて怒鳴られて、逃げられた…」
「えっ、巌さん、リーダーのこと、好きなんですか?」
「おかしいっすかね?」
魂の抜けたような顔をイスの背もたれに乗せたまま、呟く巌に、それなら尚更言っとくべきでしたと、
今井はあやまった。
「噂で聞いたのですが、事の最中に、睦言として、リーダーに好きだとか、愛していると言う言葉を口にすると、
中断させられるとか…」
「!中断させられましたぁ」
「そういった類の言葉、嫌いみたいですね。」
ガックリとうなだれる巌に、今井もため息を付いた。
その後、横谷の態度は前と変わらず、プールや海での訓練や仕事のみ参加していた。
巌と顔を合わせても何事もなかったかのように会話は交わされ、それが巌にはとても苦痛だった。
二人きりになるたび、横谷に声をかけようとするのだが、横谷はきつい瞳でそれを拒絶した。
そんな中、地上で新たな調査の依頼があった。
この際だから、きっちり話し合ってきてくださいと、今井に背中を押されて、
気が進まない中、横谷と二人で怪獣出没後の水質調査に出動した。
場所は、東京湾沖、夏ならばなんて事はない調査なのだが、さすがに十二月半ばになると海水は冷たく、
スーツを着ていても長い時間水中にいるのは辛くなってくる。
とりあえず、怪獣が通過した海水と、海底の地質調査のサンプルを採取し、セイレーンを海面に止めた状態で、
巌はスーツを脱ぎ、横谷が戻るのを待っていた。
横谷は、あのイルカのような身のこなしで水泳を楽しんでいるのだ。
戻ってきたら、この前のことを話そうと心に決めていた。
まず、加減がきかなかったことを謝って、でもやっぱり自分は、横谷のことを本気で好きなことを告げようと思う。
別に横谷にその思いを強制するつもりなんてさらさら無いし、ただ、純粋に好きなんだと言うこと、
知ってほしいと思うことを話したいのだ。
いろいろと思案しているうちに、結構な時間が過ぎていることに気が付いた。
水温はかなり下がっていたはずである。まぁ、海のエキスパートの横谷に、こんな心配は無用だろうとは
思いながらも落ち着かなくて、巌はセイレーンの上部のハッチから外に出た。
昼過ぎから出動したため、長くない陽はすでに夕日になって、海面をきらきらと長いオレンジの色で染めていた。
「横谷さん?!」
ぐるりセイレーンの周りを見回して、信じられないものを目にし、同時に巌はそこに飛び込んでいた。
海水の冷たさに、一瞬に息が止まる。コンバーツを着ているのに水が全身をびりびりとさすようだ。
慌てて目的の彼の体を捕まえると、必死でセイレーンの側面に付いているはしごを横谷を抱えたままのぼり、
暖かい船内に連れ込んだ。
改めて顔をのぞき込むと、唇が真っ青になっている。
巌は心臓がばくばくしてきた。
横谷は、着ていたはずのスーツを身につけてはいなかった…スーツを着ていても水の冷たさを感じるというのに…
一体何が、どうなっているのか、理解できなくて、ごくりと息を飲み込んだ、
「よ、横、谷リーダー…リーダー!!どうしたんですか!リーダー!」
ぺちぺちと頬を叩いてみる、反応が無くて、少し力を入れて叩いてみた。どんどん巌に余裕が無くなっていく。
「横谷さん!!」
口からはかすかに息が漏れているが、体は氷のように冷たい。巌は、ヒーターを最高温度に上げ、
自分の服を脱ぎ捨て、収納されてあった毛布を引っ張り出すと、横谷の体を自分の体に抱きくるんで、
毛布を頭から被った。
何でこんな事になっているのだろう。頭の中をぐるぐるとあり得ない妄想が駆けめぐる。
この時期、裸で海に入ったらどうなるかくらい、海の知識がないものにでも解ることだろう。
抱きしめる腕に力を込める。細い体は、これ以上力を込めると壊れてしまいそうだ…
きめの細かい肌は、均等に日に焼けて、光を反射するようにまぶしい。
床に落ちていた腕を拾い上げるとまだまだ冷たくて、思わず自分の頬に持っていき、暖めようと頬ずりをした。
細い手首が痛々しくて目を閉じると、ふとした違和感に視線を手首に向けた。
次の瞬間それを見つけて、巌はきつくその手首を握りしめ、過去に付けられた深い傷跡に口づけた。
好きだと口にした自分を憎しみのこもった目で怒鳴り返した彼を思いだし、胸が締め付けられる。
涙が出そうになって、きつく唇を噛みしめた。
ふと、横谷の体が震えた。
「横谷さん、大丈夫ですか?」
自分でも驚くほどに、静かな優しい声で訪ねていた。
「いわ…お?」
まだ朧気な瞳が、巌を見とどめるとほとんど動かない唇で巌を呼んだ。
「……何、してたんですか?」
少し攻めるような調子で、ゆっくり聞いてみる。
「海を…」
「…」
かすれた声は、優しく耳に心地よい
「感じたかった…」
いつもというか、ほとんど毎日のように感じているではないかと思う、
「浮いて揺れていたら…気持ちよくて…」
次の言葉に巌は胸を押しつぶされそうになった。
「死ぬ瞬間って、こんな感じかなぁ…と、」
横谷は、このうえもなく幸せそうな表情をした
堪らなくなって、きつくきつく、横谷がうめき声を上げるほどきつく、抱いている腕に力を込める。
そうしないと、巌の口から激しい叫び声があふれ出しそうだったから…
誰か、この人を生に執着させてくれっ!
ふいに横谷は巌に口付けてきた。なぜ巌が泣いているのかを問うてきたが、巌は首を振るだけで、
答えることが出来なかった。
冷え切っている体を温めるべく、手の先足の先を撫でさすっていたが、ほどなくしてそれは優しい愛撫へと代わり、
前回のそれとは比べものにならないほどに優しく、巌は横谷を抱いた。
ゆっくりと、全身が暖まるまで、ゆっくりと時間をかけて…けど、巌の口からは、一つの言葉も発せられることはなかった。
言葉を発したら、また横谷を傷つけてしまうことが解ってるから…

はい、どんどんやらしく…なってますかねぇ、
チームマーリンは本編でメインに一度、劇場版(だったかな?)に脇役として一度しか出てません。
その中で、いつもガンたれている横谷リーダーに惹かれましたv
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