兄弟の攻防
「あー、疲っかれたぁ、」
「砂まみれだよ、にいさん。寝込んじゃう前にシャワー浴びてきなよ。」
「んー・・・」
 いつものことなから賢者の石を探し求めて連日歩き通し。少しでもそれらしい情報が手に入ればこれほど疲れも感じないのだろうが、
今回はまるっきり・・・である。
「あーもう、言っている側から。仕方ないなぁ、」
 倒れ込んで沈没している兄の体を軽く起き上がらせて、靴と砂まみれの外套を脱がせ、もう一度ベットに下ろした。
「さんきゅー」
 こんな時は必ず弟が面倒を見てくれると知っっているから、わざと自分で何もしないのだ。
 弟が兄の世話をするのが好きだと言うことをエドワードは知っている。
 疲れる肉体をなくし、食べることも、寝ることも必要となくなった弟は、自分の存在意義を探すかのように、色々なものの世話をしたがるのだ。
「本当にシャワー浴びなくていいの?」
「・・あぁ?・・あぁ、」
 もう、半分夢の中だ。
「・・・・・・・・ねぇ、にいさん、」
「・・・? ・・・・・・・・・・・なに?」
「あ、あのね。その、さ、触っていい?」
「・・・・?」
 寝ぼけているエドワードの頭では、アルフォンスの言わんとしている意味が理解できず、ベットに突っ伏したまま、無造作に腕を持ち上げてベットの脇に正座している弟に差し出した。
「あ、ありがと、・・・そうじゃなくて、その・・・」
「あ?」
「だから、あの、その、そういう意味で、にいさんに触りたいんだ、」
「ああぁ〜?」
 枕に埋めていた顔だけを弟に向け、怪訝そうに眉間に皺を寄せた。
「疲れているのはわかっているんだけど、なんか、その、無性に触りたいなぁって。だ、だめだよね。ごめんね、変なこと言って。」
 エドワードは深くため息をついた。
 年齢の割には大人びていて、我が侭も言わず、常に兄のことを思いやる弟に対して、鎧の姿にしてしまった負い目とかではなく、純粋に彼の望むことは無抵抗で叶えてあげたいと思っている。
「触ったって、感覚わからないんじゃねーのか?」
「感覚・・ないけど、・・・視覚はあるから・・・」
 可能性に思わずうつむいていた顔を上げた。
「視覚・・・って、」
 何とも言えず、エドワードの顔が熱くなった。
「んな、俺なんか触ったところで・・・たいしたモンでもねーのに、」
 髪をかきむしりながら、ベットから重い体を起き上がらせた。
「にいさん?」
「・・・シャワー」
 それって、それって、OKってこと?と内心やったーと飛び上がりながら、アルフォンスも体の細部に入り込んだ埃や砂を丁寧に掃除し、数日間の汚れを拭き取った。


 髪をバスタオルで無造作にふきながら、パンツ一丁で出てきた兄に、色気ないなぁと思わず笑う。
「加減わからないから、痛かったら言ってね。」
「え?」
 髪も完全に拭き終わらないうちに、ベットに腰掛けたとたん手を伸ばしてきた弟に動揺を隠せない。
「ちょ、まだ、濡れてるって、拭き終わってねーのに、」
「僕はかまわないけど、やっぱまずい?」
「・・・まずかねーけど・・・」
 まっすぐ見つめてくる弟に元より完敗だった。 
「にいさん、髪きれいだよね。」
「何言ってんだよ、」
「昔から僕よりも強い色の金で光を反射していた。」
「ちょ、ちょっと待て、」
「目もいつもお日さまを映しているみたいですっごく綺麗だ。」
「だ、から、ちょっと待てって、」
「肌も白くて、もちもちしてて、」
「だから待てと言っとろーがー!!」
 ドンガラガッシャーン!!
 アルフォンスは左足の機械鎧に蹴り上げられ、右手の機械鎧で激しく吹っ飛ばされた。
「ひどいや、にいさん、」
 とたんに壁の向こう側が叩かれた。
『うるせーぞ!!』
「ゴメンなさーい!」
 聞こえたのかそうでないのか、しーんとなったので、ホッと息をついた。
「何をきしょい事言い出すんだよ、」
「え?いつも僕がにいさんに思っていることを言っただけだけど」
「んな、目の前で、熱に犯されでもしたような声で言われたら、背筋がうぞうぞしてたまんねーっつーの!」
「ほんとのことなのに」
「それ以上いいやがったら、そんな頼み一生聞いてやらねーぞ!!」
「んじゃ、言わなかったら、一生聞いてくれるの?」
「おまえなぁ、」
「わかった、言わないよ?言わないから」
 アルフォンスの大きな手がエドワードの頬にそっと触れる。
 そのまま撫でるように耳の下まで移動した。
 エドワードは胸につかえるものを感じて目をつぶる。
「にいさん」
 また言うのか?と身構えたが、弟はそれ以上言わなかった。
 両頬を両手で包まれる。
「にいさん」
 嗅ぎ慣れた鎧のオイルの匂いがエドワードの鼻孔をいっぱいにする。もう、昔の弟の匂いを忘れてしまっていた。
 深呼吸するとアルフォンスの匂いでいっぱいになる。この香りは嫌いじゃない・・・
「にいさん、」
 両手の中でまどろむ顔はとても可愛いと思う。兄は普段こんな顔をしてくれない。アルフォンスだけが持つ特権で、更に他では見せない表情を引きだそうとした。
 そっと、そっと、手の位置をずらしていく。
 のど元、首筋、鎖骨、肩、
「んっ、」
 右肩の機械鎧の繋ぎ目らへんに触れた時、エドワードの喉の奥から声が出た。
 傷のあるところが敏感になっているのかな?と言おうとして、またしても憤死しかねない兄を思って声にはしなかった。
 そっと傷跡に指を這わせる。ゆっくりと、じっくりと触れられて、徐々にエドワードの息が上がってきた。
「ア・・ル、そこばっか、さわ、るな。」
「ごめん、痛かった?」
「ちがう、、けど、、、!!」
 左手の動きを止めて、右手で兄の左胸で堅くなった先を撫でると、声も出さずにひくついた。
 二、三度ゆびさきでこね回すと、かなり息が苦しくなってきたようだった。
 それでも歯を食いしばり、涙目でこらえている。
「にいさん、苦しい?」
「ちが・・」
「我慢してないで、声出した方が楽かもよ?」
 いかんせん、弟も兄もこういう行為になれていないから、勝手がわからない。
 両手を胸から引き締まった腹筋に移動させた。形よくついた腹筋一つ一つを確かめるように指先でなぞる。
「くっ、」
「く?」
「くすぐってぇ!!」
 もう、むずむずする感触に耐えられなかった。両手でシーツを握りしめ我慢する。
 アルフォンスの指先がへその周りにかかった時、溜まらずエドワードは飛び起きて、弟の胸を押した。
 我慢の限界のような真っ赤な顔で歯を食いしばり、大きく見開いた目には今にもこぼれそうな涙。
 アルフォンスはこの表情が見たかったのだ。
「にいさん」
 とろけそうな声を出す。
「ご、ごめん、無理かも・・・」
 痛みに耐えるのは慣れていても、いたたまれないくすぐったさには慣れようもない。
「うん、僕もやめるなんて、無理だから」
「や、だから、」
「じっくり、慣らしていこう?」
「まだやるのか?!」
 思わず兄はベットの上を後ずさった。
「始まったばかりじゃないv」
「かんべんしてくれ、クラクラしてきた、、、、」
「いい傾向だね。」
「どこがだ!!」
「考えなければ大丈夫!」
「お前、その自信はどこからくるんだ!!」
「んもう、にいさん!一度はいいって言ったんだから、今更しのごの言わないでよっ!往生際が悪いよっ!!」
「、、、はい、、、」
 どうやっても弟には勝てない兄であった。
 その後、疲れを知らない弟に身動き出来なくなるまで触られまくったのは言うまでもない・・・合掌 
  

またしても、くだらないものを・・・すみません。
ただ、のりだけで打ちました。ごめんなさい、ついてきてくださーい;;