正しい休日の取り方と過ごし方 4
「ったく、つきあってられねーっての、」
一人先に出てきたエドワードはぶつぶつ一人ごちながらパーク内をとぼとぼ歩いていて、
鼻を刺激する香りに足を止めた。
「引っ張り回されて、すっかり腹減ったぜ。」
油で揚げて塩をまぶした芋、豚の肉を腸詰めにして薫製にしたものを練った小麦粉で巻いて油でさっと
揚げたもの、乾燥させた穀物を高温ではじけさせたもの、パンの間に葉もの野菜と、焼いた味付け肉を
挟んだもの、鳥の肉を特殊な香辛料をまぶして油で揚げたもの。
「あ、それと、氷菓子、みかん色のヤツ。と、ジュース二つくれ。」
「お客さん、持ちきれますか?連れの人呼んできた方がいんじゃないですか?」
店の主人はよもや、一人で食べると思ってもいなかった。
「いいんだよ、俺一人で食うんだからっ!袋にでもつっこんでくれよ!」
「ええーっ、これ、全部ですかい?そのちっこい体で?」
「んだとこらぁ!!」
止める人がいない今、エドワードはカウンターをぶちこわし、店の主人の胸ぐらをつかみ上げていた。
「いや、あんたの腹の具合を心配して、」
「いいからよこせよ、腹減ってんだよ。」
ほとんどチンピラである。
「へ、へい、」
泣きながらそそくさと商品を袋に詰める店主を見ていたら、エドワードもやりすぎたかな?と珍しく
反省の色を見せた。
パン!軽く両手を打ち鳴らすと、半壊していた屋台がみるみる元の形…には戻らなかった。
「へい、おまち。お客さん、錬金術師ですかい?」
みるみる直っていく店にほっとしながら主人が聞いた。
「ああそうだ。悪かったな、ついカッとしちまって。おわびに前より良くしておいたから、」
「すいませんねぇ、へへっ。所で、アイスキャンディーは、どうします?」
食料は一袋になったが、飲み物はトレイに二つ乗っているだけ。アイスを持てる余裕がない。
「あーん、」
料金をおいて荷物を受け取ったエドワードは大きく口を開けた。入れてくれ、といっているのだろう。
店の主人は子供っぽい仕草に笑いながらその口にアイスキャンディをつっこんだ。
「はんひゅー」
「まいどありー」
エドワードはきた時とずいぶん印象の違った店をあとにした。
「はぁー、食った食った。ん?」
ほとんど一気に平らげたあと、飲み物で一服と思っていた時、視界の端に大きな遊具があることに気が付いた。
「眺め良さそうだから、アレに乗ってみっか。」
飲み物を持ちながら列の後ろに並ぶ。はじめに乗ったものとは違い、激しい動きも無いから目が回ったり、
吐き気を催すこともないだろう。
「次の方どうぞー、あら?お一人ですか?」
「あぁ、」
「ごゆっくりどうぞー、足下にご注意ください」
揺れるゴンドラをおさえてくれるお姉さんはにっこりと、お子様に向けるほほえみでエドワードを促した。
「ガキじゃねーっつうの!」
乗り込みながらぶつぶつと文句を言っている。
座席に座ってひと心地付くと、ゆっくり地面が遠のいていく。
「おおおぉ、すげーじゃん、」
飲み物をすすりながら見回すと、視界が開けてゆく。
だんだん高度を増すごとにパーク全体を見渡せるようになってきた。
「ん?大佐じゃん、なにやってんだ?」
きょろきょろしながら、走っている。 その後ろを3人組が追いかけているようだ。
ふと、エドワードの視線に気が付いたように大佐が顔を上げた。
つい、手をふってみる。
大佐は後ろを気にしながら遊具の下に入っていった。
「乗ったのか?一人で?ばかじゃねーの?」
エドワードがおりてくるのを待っていたら、追っ手につかまってしまう。見つかる前に乗り込んだのだ。
エドワードの乗ったゴンドラが頂点を越え、反対側へ下がりはじめた頃、入口から入ってくる他のメンバーに
気が付いた。
「あれ?フュリー曹長達も来てるじゃねーか?なにやってんだ?東方司令部、総動員で遊んでていいのかよっ!」
すっかり景色を堪能し、おりてきたエドワードは、リザ、ハボック、アルフォンスと鉢合わせした。
「お前ら、なにやってんだ?」
「にいさん!無事だったんだねっ」
「大佐とは一緒じゃ無かったんですか?」
「大佐?さっきそれに乗ってたみたいぜ?あいつも好きだよなぁ、大人のくせに」
中尉は補助のお姉さんに声をかけ、答えを聞くと鼻息を荒くしながらゴンドラに乗り込んだ。
大佐のことだ、お姉さんを口説いてから乗ったに違いない。
ここで待っていれば、じきに捕まえられるという思考もふっとんでいるのだろう。
止める少尉に銃を突きつけて、ゴンドラへと乗り込んだ。
「みんな好きだなぁ、っと、大佐がおりてくる前にずらかるか。」
「えぇっ、にいさん、どこ行くの?」
「せっかく来たんだ、みられるとこ全部みてやるさ。」
「うぉーい、さっきのにいちゃん、あんな店やめてくれ。元にもどしてくれよぉ」
みれば、さっきの店の主人が走ってくる。エドワードが改装した店が気に入らなかったみたいだ。
「んだ?目立って、いい客寄せになると思うんだけどなぁ」
「にいさん、なんかやったの?!」
慌てるアルフォンスの腰をぽんと叩いて、あとはまかせた。とつぶやくと、とっとと走って逃げた。
「えぇっ、にいさん!ちょっと待ってよ、にいさーん!!」
アルフォンスのセリフに店の主人が立ち止まった。
「あんた、あの兄ちゃんの知り合いかい?何とか店を元通りに戻してくれねーか?
みんな気持ち悪がって、近寄ってくれねぇんだよ。」
半泣きになっている主人にアルフォンスは力なく謝った・・・
アレ?ちょっと短かったかな?ま、いいや。
弟はいつも兄のしりぬぐい・・・不憫な・・・(涙) |
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