「ねえ、ちょっとみないうちにエドの雰囲気が変わったわよね。」
 
久しぶりに帰ってきたやつらは、ぼろぼろだった…
アルなんて、殆どスクラップ状態。
一体何をやらかしたのか、聞いたところで二人して口を塞いで
ヘイガニにでもなったみたい。
機械鎧だからって、国からやばい仕事を押しつけられてんじゃないのかしら?
ま、自分らが納得できないような仕事は、たとえ上からの命令でもやるようなやつらじゃないことは
知っているから、聞かないけど、逆に納得しちゃえば、どんな馬鹿な仕事でも
引き受けちゃいそうなところが
問題よね。
それにしても、時々エドに見え隠れする今までになかった違和感。
 
「少しは男っぽくなっただろ!」
ニカッて笑うところは昔のガキの頃のまんまなんだけど
「いや、逆、かな?」
あ、アルがギクってなった…
「何だよ、その、逆ってのは」
腕を付け直して、一番にアルを直して服を着たあと、
髪を結び直すためにゴムを口にくわえて
もごもごした声で問いただしてくるんだけど、
その仕草さえも、なんか…
「色気っぽくなった」
「は?」
「それって、男の色気?とは、言い難いような…」
だから、何でアルがじたばたしてんのよ、
「くだらねー事言ってる暇があったら、自分に少しは色気をつける努力しろ!!」
「うわ、なにマジに怒ってんのよ」
「知るかっ」
どかどかっと大股で歩いていったけど、ドアを閉める瞬間、ちょっとだけ振り向いて
「これは、サンキューな、」
なんて、かわいらしいこと呟いてから、その腕で思いっきりドアを壊していった…
 
「か、可愛くなっちゃって…」
昔も可愛かったけど、さらに拍車をかけたような…
「ウィンリィ、あのさ、あんまり兄さんにそんなこと言わないでよ、」
「何で?あたしは思ったことをそのまま言ったまでよ。」
「だ、だから、その八つ当たりが僕に来るんだよぉ」
「ふうん」
しどろもどろしているアルに何となく鎌をかけてみたくなった。
「あんたにだけは心を許してるって訳だ」
「そ、そうなのかな?えへっ」
八つ当たりの対象になってるってのに何でそんなに嬉しそうなのかなぁ?
表情はないけどね。
「んじゃ、エドのあの色気も、アルの所為なんだ、」
「えっ、いや、えと、あの…、えへへっv」
「えへへっvじゃなーい!」
「こ、ごめん」
「何であたしに謝るのよ、」
「だって、ウィンリィって、兄さんのこと」
「昔はね、確かに想っていた時期もあったけど、この頃じゃあんた達の
背負うものの重さに、そんな甘ったれた感情も消えちゃって、どっちかってと子を見守る親の心境よね。
あたしなんかじゃエドを支えてあげれないのよ…
だからって、アルに持ってかれるなんてね。思っても見なかったわ!!」
「こ、怖いよ、ウィンリィ」
「でも、あんたなら、あいつのこと一番理解しているし、支えにもなってあげれるんだろうなぁ、」
「うん、そうなれればいいなぁ」
小さい頃から、エド一筋だったもんね、アルは・・・
 
「って、ちょっとまって、まさか、あんた、その鎧で!」
「わーーーーっ変なこと想像しないでよ!!」
「するなっていったって、んじゃぁ、あいつのあの色気は何だって言うのよ!!この変態!!」
「こんな体じゃ何もできないよぉ!」
「錬金術があんじゃないの!」
「兄さんならまだしも、僕なんて自分の体をおいそれと変形なんてさせれないって!!」
言って二人して、ゆでだこになってしまった…
「そりゃ、少しだけなら…さわらせてもらったりしたけど・・・」
おいおいおい!何を言い出すんじゃ、このガキは!
「のろけてんじゃねー!!」
「ご、ごめんなさーい」
どたどたどたと足音がして、いきなりドアが開いた。
壊れた蝶番にかろうじてぶら下がっているだけのドアだが…
「おい、アル、いつまでも喋ってないで、早く来いよ。体が元に戻ったんだ、いつものアレ、やるぞ。」
「あ、あれって、何よ!」
思わず声がひっくり返ってしまった!
「何興奮してんだよ、慣らしだよ慣らし、ばーか」
びっくりしたぁー
まったく、この兄弟にはいつも振り回されてばかりなんだから…ふぅ
あ、アルと目があった。
きっと、苦笑いしてるんだろうな、表情ないけど。
「早く来いって」
「今行くよー、」
んじゃ、と手を上げてエドの後を追っていく。
ま、仕方ないか、あたしはあんた達を見守ることしかできないんだから。ね。



ウィンリィ、好きですね。今のところは。
このまま、兄弟の関係に入り込まなければ。という限定付きですが…



親心