飛ぶ心
「これは、はしかですな。」
はぁ、はぁ、はぁ、くるしい、息が、吸っても吸っても楽にならない。
「そうですか、」
「まぁ、三日もすれば熱も下がるでしょう。お大事に」
「ありがとうございました。」
さむいよ、さむい、くるしい、さむい、
「やはり免疫とかは再生されてないのかねぇ、」
先生?なんで?にいさんは?いつも熱が出るとにいさんが一緒にいてくれたのに、
「せん・・せ、にいさんは?・・にいさんも、熱、でてるの?」
寒い時は、いつも一緒に寝てくれたのに・・・
「え?」
「ぼくの、うつったの?」
くっついて寝ていたらにいさんに移しちゃったことあった。
「熱で記憶が混乱してるのかねぇ、」
先生のとなりで、シグさんが困った顔をしている。
「大丈夫だよ、エドはちょっと出かけてるんだ、熱もじきに下がるからもう少しのがまんだよ。」
「でかけて?・・・そっか、よかっ・・・た。」
元気なんだ、よかった、
「まだ寒いのかい?」
「だいじ・・ぶ」
にいさんが帰ってきたら、あっためてくれる・・・早く、帰ってきてね・・・
「・・・ここは、どこだろう?」
見たことのない町並み。ダブリスに、こんな場所あったかな?
「あ、あれ?なんで僕はパジャマのまま!」
だって、風邪引いて寝ていたはずなのに・・・
はずかしくて、周りをみまわしたけど、夜のせいか人がいない・・・
どうやってここまできたんだろう、はだしだし、どうやって帰ろう・・・
「!!」
人が来た!どうしよう、はずかしいけど、ここがどこなのか聞いてみなくちゃ、あ、れ?・・・あのひと、どこかでみたこと・・写真で、
「お父さん!」
たしかに、家にあった写真のひとだ、
「おとっ、」
気づいてくれないし、横の家にはいっちゃっう、
「まって、まってよ!!」
なんで、無視するの?開けて!
「お父さん!おと・・・あれ?」
入っちゃった・・・家の中に・・・いま、確かにドアは閉まっていたよね。
僕は、ドアを通り抜けたの?自分の両手を見ても普通なのに・・・透けたりしていないよ?
お父さんは、家の中を歩いて上着をぬいだり、ストーブに火を入れたりしている。しかも、僕の目の前をと通り過ぎたりしているのに、まるで気づかないようだ。
もう一度自分で僕の体を見てみる。別になんともないよ?なんで気づかないんだろう?
ほっぺをつねってみても、いたいんだけど・・・これって、夢なのかな?ずいぶんはっきりした夢だなぁ、
「あ、」
階段を上るのかと思った。お父さんは階段の下まで行って、上に向かって声を出した。
「エドワード!!いるのかい?」
「!!!にいさんもいるの?」
思わず大声を出しちゃったけど、お父さんには、聞こえていないみたい。
「まだ帰ってきていないのかな?どれ、夕食の支度でもしていようか。」
「!!」
いきなり振り向いたお父さんとぶつかるかと思ったら、・・・ぶつからなかった。僕をすり抜けていったんだ・・・
「ぼく、幽霊になっちゃったのかな?」
お父さんは隣の部屋に入っていった。
にいさんはここでお父さんと一緒に暮らしているの?上ににいさんの部屋があるのかな?
よし!行ってみよう!
階段を上がってゆく感触が・・ないのに、体はゆっくり階段をあがった。
登り切るとドアが3つあった。どれかがにいさんの部屋かもしれない・・・
左の部屋のドアが少し開いている。
そこからそっと中を覗いてみた。ちょっと、泥棒になった気分だよ。ドキドキする。
暗い部屋の中、机の上にある電気スタンドだけが点灯していた。
机に誰かいる。
「にいさーん、なの?」
ちょっと声をかけてみた。違ったら恥ずかしいしね。
「にいさーん、」
動かない・・・ねているのかな?
お父さんに見えなかったんだから、ここでも気づかれないかな?ちょっと入っちゃえ。
人影にそっと寄ってみる。にいさんにしてはちょっと大きい気がするし・・
やっぱり寝ていた。机に突っ伏したまま、机中に広げた資料やノートの上で筆記具を持ったまま寝ている。
結構長い金色の髪を頭の後ろで結んでいる。やっぱりにいさんよりも大きいよ。
「!!」
だらりと下がった右腕が・・・・義手・・
心臓が、派手に高鳴ってきた。だって、ウィンリィが言っていた。にいさんは、右腕と左足にウィンリィの作った機械鎧をつけていたって・・・
どきん、どきん、どきん、にいさんなの?
そっと顔をのぞき込んでみた。
「!!」
金の眉毛に金のまつげ、まちがいないよ、にいさんだ!!僕の知っているにいさんとはずいぶん様子も大きさも違うけどにいさんだよ!!
「ア・・ル」
「にいさん!!やっぱりにいさん!ぼくだよ、アルフォンスだよ!起きて!!」
肩にかけたはずの手がにいさんの肩をすりぬけた・・・
「あ・・」
これは夢なの?ぼくの夢?僕が見ている夢なの?
「にいさん・・・」
・・・こんなところで寝ていたら風邪を引いちゃうよ?にいさんってば、大きくなっても変わらないんだね。
「ん・・・」
哀しくなりながら見ていたらにいさんが鼻をすすりながら起きた。
「お父さんが呼んでいたよ?風邪引かないうちにストーブであたたまってきなよ。」
聞こえないのはわかっているから、普通に声をかける。
「アル?」
いきなり振り向かれてびっくりした!!聞こえたのかと思ったよ。けど、にいさんの視線は僕より遙か上の方を見ている。
「って、いるわきゃねーよな。くそっ、また寝ちまったのか。こんなんじゃだめだろっ、あいつがいたら、ぜってー風邪引くって、怒られてるよな。」
ガシガシって頭をかく癖もそのままだ・・・にいさん・・・
「しかし、進まねーよなぁ、こっちの奴らってなんで真剣にやらねーんだ?アルがいた時はもっと効率よく研究が進んでいたんだけどな。
あいつ、俺の調べたいものを先に調べておいたりしてくれてたんだな。」
にいさん・・・どうしよう、涙、とまらないよ・・・
「あー、腹減った。親父帰って来てっかな?」
机の上もそのままで、にいさんは部屋を出て行った。
「ほんとにもう、いつまでたってもだらしないんだから。」
机の上にあるにいさんのノートには見慣れた癖のあるにいさんの文字で埋め尽くされている。なんの研究をしているんだろう?
「宇宙・・なに?なんて読むんだろう?」
宇宙の研究なんだ、難しそうだね。でも、なんで宇宙?
「!」
ノートの一番上に リゼンブール、アルフォンス、絶対帰る と小さくメモしてある。
にいさんは、忘れたくないものをどこにでもメモする癖があったよね。
もしかして、帰ってこようとしているの?その研究をしているの?
「アル、」
え?
「アルフォンス、」
呼んでる?だれ?優しい声、かあさん?
「アルフォンス、」
「あ・・・」
「大丈夫かい?熱が高いんだ、水分を取りなさい。ほら、」
「せんせい・・・」
ストローが僕の口に入れられた。とたんに喉の渇きを覚えて僕はたくさん水を飲んだ。
それと同時に僕の目からたくさん水が溢れる。
へんだな、口から飲んでいるはずなのに・・・
「熱のせいで、怖い夢を見たのかい?」
こわいゆめ?ちがう、
「にいさん・・・」
「・・・エドの夢だったのかい?」
「うん、」
うん、
「ほら、たくさん飲みなよ、飲んでるそばから全部流れちまってる。」
先生は僕を優しく抱きしめてくれた・・・
にいさんは絶対に、帰ってきてくれる。待ってるから、だから、研究を頑張ってね。
僕も錬金術の勉強を頑張る。どっちが先に答えが出せるか競争だよ。

アルはかわいいvちびアルもでかアルも鎧アルもみんなかわいいv
ほんとにかわいいvやっぱりかわいいvすみません、壊れてます。 |