月の光と金色の子猫

まだ、僕たちが旅を始めて間もなかった頃、あれは、初秋の月がとても大きくて丸い日だった……
 
 
「気持ちの良い晩だな」
 賢者の石の手がかりを求めての旅は、交通機関の整った所以外が多くて、野宿は頻繁だった。
 今夜も、もう、何度目かの野宿になる。
「けど、そろそろ野宿は寒くない?」
 僕は感じないけど、にいさんの体には山の夜露はきびしいんじゃないだろうか?
「これくらいなら、まだ大丈夫だ。むしろ、虫が少なくなって過ごしやすいぜ。」
 確かに、夏の夜はヤブ蚊がすごかった。虫除けの草を一晩中燃やしていなければ、にいさんが大変なことになるんだ。凄く煙たいらしい…
「けど、風邪引くといけないから、やっぱりたき火は消さないでおくね。」
 こんな時は僕の体は役に立てる。一晩中火の番ができるから。
「わりーな、」
 へへっと笑って、にいさんが僕の左側に背中をくっつけて座る。
 
 今夜は月明かりがまぶしいほどだ。ふと見ると、にいさんの髪が淡く輝いて見える。
 月の光と、たき火の光を反射して輝いている。
 すごく綺麗だ…
「もう、寝ちゃったの?」
「………ん、」
 かすかにまどろんだ返事が返ってきた。
 たき火のぱちぱちという音がやけに大きく聞こえる。
 僕はもう一本薪を火にくべた。動いたためか、にいさんの体がずずずとずり落ちて、頭が地面に落ちた。
「首、寝違えるよ。」
「ん……」
 睡魔には勝てないらしい、にいさんはそのまま動かなかった。
「しょうがないなぁ、」
 そっとにいさんの頭を持ち上げて、荷物を下にいれてあげる。
「へへっ、サンキュー、」
 起きてるなら自分でやりなよ、とか言いながら、実はこんな風ににいさんの世話をするのは嫌いじゃない。むしろ、たのしい。
「!」
 枕の代わりの荷物をいれるためににいさんの頭を抱えていた右手に、にいさんがこそっと、ほおずりをした。
「?、ねこみたい。」
 瞳を閉じたまま、気持ちよさそうに僕の手に頬をすりつける。
「…気持ちいいの?」
 聞くまでもない、にいさんはとっても気持ちよさそうだ。
「俺、アルの手、好きだな。」
「そうなの?」
「ん、お前になつく猫の気持ちがわかるよ。」
「でも、鎧だよ、オイルくさくない?」
 手は、何かの動物の皮を鞣したもので出来ている。
「ンなの、関係ねーよ。これはお前の手だろ?」
 半分寝ぼけているみたいに、ご機嫌で僕の手に顔をすり寄せる。僕もいつもの癖で、猫にやるように、そっとにいさんののど元を撫でた。
 突然にいさんの体がヒクリと動いた。
「こ、ごめん、痛かった?」
「…ちがうよ、」
「?」
 更に撫でろと催促する。ほんとに猫みたい。
 ついでに、左手で頭を撫でてみた、
 
 かぷっ
 
「に、にいさん?」
 突然、にいさんが僕の指を咬んだ…これも、猫がよくやる、あまがみってやつ。
 けど、それをにいさんがやると、…なんだろ、ものすごく…
 金色の瞳がまっすぐ僕を見上げてる。
 その瞳がゆっくりと閉じて、咬んだ指先を舌先で舐めた…
 月の光が、何かの魔法をかけたのか、今日のにいさんは金色の猫のようだ
「な、舐めても…おいしくない…でしょ?」
 金色の瞳に見つめられて、僕の思考がまとまらない。
「さ、さわっても、いい?」
 にいさんが、のびをするような姿勢で、僕の膝に乗ってきた。
 反った背中に手を這わすと、鎧の胸に上半身をすり寄せてくる。
 右手で頬からのど元を撫でると、喉を鳴らすかわりに、口から吐息がもれた。
「アル、」
「なに?」
「……、もっと、」
 小さくつぶやいた。
 僕はiにいさんの体を完全に僕の膝の上に持ち上げて乗せ、後は、にいさんのご希望通り、全身をくまなく撫でてあげた。
 始めは気持ちよさそうな吐息を漏らしていたけど、だんだん苦しそうに変わっていく。
 どうすれば良いんだろう、どうすれば気持ちよくなるんだろう?
「にいさん、苦しいの?やめる?」
「や、めるな、………」
 見上げてきた瞳はうっすらと涙を浮かべている。
「気持ち、悪いか?」
「どうして?」
 あ、そうか、にいさんには、僕の表情がわからないんだ。
「かわいいよ、にいさん。大好きだよ。」
 服の上からでもこんなに乱れるなら、直に触ったら、どうなっちゃうんだろう?
「もっと、触っていい?」
 返事も待たずに僕は上着をめくり上げた。抱きしめるようにして、にいさんの上半身を撫でまくる。
 にいさんの口から、たくさん声が出た。
「アルッ、アルッッ」
 荒い息の下、にいさんの機械鎧が僕の右手を追いかける。
 捕まえられた右手が、そっと下におろされた。
 そこにはすでにはち切れんばかりのものがあって、苦しい原因はこれなんだと気づいた。
 直に触れるためにズボンをはだける。
 そっとそれを手で包むと、息を詰めながらにいさんがため息をついた。
 
 どうすれば、いいの?
 
 そっと撫でてみた、ひくりとにいさんの体が動いた。
「ア、アル、」
 苦しそうだ、どうしよう、ちょっと握ってみた。
「ふ、ぁっ」
 痛くは無いみたい、というか、いいのかな?
 指先で先端を撫でたら、濡れていた。
「もっと触っていい?」
 頷くから、何度か指先でそっと撫でると、更に濡れてきた。
「うぁ、ぁ、」
「気持ちいいの?」
 うん、って、切なそうな声がした。
 どうしよう、可愛すぎるよ、にいさん、なんか、たまらない。もっと、気持ちよくさせたいっ!
「痛かったら、言ってね。」
 手のひら全体で、にいさんを包み込むと、上下に撫でてみた。
 にいさんの喉が反り返る。更に苦しげな息が上がるけど、止めずに何度も緩急付けてなで上げる。
「は、あ、ぁ、アルッ、アルぅ、」
 水音が増してくる。
「あ…、だ、めだ。出る」
 でる?出るって、なにが?!
「放し…あぁっ!!」
 腕の中でにいさんの体がこわばって、やがてクタリと力なくもたれかかってきた。
 手の中には、にいさんから出された粘液がある。
「ご、ごめん、、悪かった…」
 呆然としている僕ににいさんが謝った。
「あ、いや、別に、びっくりしただけ。あやまんなくてもいいよ、」
 へー、そっか、こんなふうになるんだ。
 人体のことは色々な医学書に書いてあったけど、実際に見ると、納得する。
 いつまでもにいさんから出されたものを見つめていたら、にいさんが突然枕にしていた荷物からタオルを出して、僕の手を拭いた。
「にいさん、真っ赤だよ。」
「うるせー、恥ずかしいんだよっ!!いつまでも見てるなよっ!」
 一生懸命ごしごしと拭いてくる。困ったな、すっごく可愛いんだけど…
「ちょっと待ってて、」
 近くの川でタオルを洗ってから、たき火で沸かせてあったお湯でタオルを暖める。
「風邪を引くといけないから、」
 服を整え始めていたにいさんの手を止め、濡れているところを拭いてあげる。
「ア、アル、自分でやるから、いい、」
 暴れるにいさんを押さえつけ、洗い直したタオルでついでに体も拭いておく。
 ひとしきり暴れて、身支度を整え終わったら、睡魔が襲ってきたしい。
「夜更かししちゃったね。明日の出発はゆっくりにしようね。」
 半分夢の中にいるような声で返事をすると、さっきと同じように、僕の横に丸くなる。
 金色に輝く頭にそっと手を乗せて撫でてみた。
 にゃおんと鳴くかわりに穏やかな寝息を立てていた。
 
 僕の大切な金色の子猫
 月の光に惑わされて、今夜は発情期だったのかな?
 
 
  
今日のにいさんは発情期(爆)たまにはいいよね(^^)