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日日是好日 お茶が教えてくれた15のしあわせ
著者名 : 森下典子
出版社 : 飛鳥新社
発行年 : 2002.1
N D C : 791
ひとこと : 「茶の湯」による宇宙一体型成長記録。
 大学生の頃から25年間お茶を続けてきた著者による目からウロコの「お茶」の書である。 「お茶」を始めたきっかけから始まっており、意義や事細かな作法に対する初心の頃の疑問は「お茶」の心得がないわたしとまったく同じものだった。その疑問がお点前を繰り返していくうちに劇的に氷解し、成長していく様は心ときめくドラマである。

  あらゆるもので季節を表現する茶室に座ることで、著者は次第に季節を実感し、味わい、五感で自然と繋がる体験をする。自然を楽しむことは、一日一日を愛しみ楽しむことでもあることを身をもって知るのだ。

  「きっとむかしの人たちも、こうやって心と季節を重ね合わせて生きのびようとしたにちがいない。『節分』『立春』『雨水』と指折り数えて自分自身を励まし、何度も冬への揺り戻しに試されながら、辛抱強く、人生のある季節を乗り越えようとしたことだろう。」   「目を覚ましなさい。人間はどんな日だって楽しむことができる。そして人間は、そのことに気付く絶好のチャンスの連続に生きている」

  「お茶」が実感させてくれる人間としての成長をてらいなく肯定し、「どんな日も、その日を思う存分味わうことがお茶という生き方」という「日々是好日」を、心象を細やかに追った文章によって読者にも実感させてくれる好著である。
(ソーダ)