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プリズンホテル秋
著者名 : 浅田次郎
出版社 : 徳間書店
発行年 : 1995.4
N D C : 913
ひとこと : サービス炸裂。
叔父仲蔵と往年の大歌手真野みすずの関係を暴くべく、ろくでなし作家木戸孝之介が向かったのは艶やかな紅葉に彩られた奥湯元あじさいホテル、もといプリズンホテルだった。
その頃プリズンホテルでは不測の事態が発生していた。天敵・警察団体ご一行様を受け入れてしまった上、イケイケの武闘派・大曽根一家ご一行様までやってきてしまったのだ。他のお客も当然ワケありばっかり、果たして一夜の安息を提供することはできるのか。

元アイドルには若頭兼番頭ガシラが苦悩する。
「ううむ。さて、どうすっか・・・・・・・ともかく人ひとり殺めなさるからにゃ、よくよくの事情もおありでしょう。お見受けしたところ、お連れさんは飲んだくれのようですし・・・・何とか加勢もしてえが・・・・あっしらが手を貸すのァ簡単ですがね、慣れてるヤツもいるし。でも、やっぱうまかねえなあ」
指名手配中の強盗には誠実な支配人が涙する。
「たとえどのような罪を犯されても、お客さまの人生はお客様おひとりのものでございます。出会いがしらのパトカーなどにからめとられてなるものですか」
板場では襖一枚隔てて宴会をする団体客の料理の違いに黙り込む。
「六万円と三千円の予算に、どうやって分け隔てをなくするんでえ」
仲居ガシラのアニタは言う。
「オ客サン、元気ダシテネ。オール・ライト、ダイジョーブ。苦労ノ分ダケ、幸セガ待ッテル」

火に油を注いで起死回生なるか。
仲ちゃんと真野みすずの間には何があるのか。
プリズンホテルに清々しい朝がやってきます。
(ソーダ)