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プリズンホテル冬
著者名 : 浅田次郎
出版社 : 徳間書店
発行年 : 1995.9
N D C : 913
ひとこと : 仲蔵親分、錯乱。

原稿取りの奇襲を受けたろくでなし作家木戸孝之介。
ベストセラー「仁義の黄昏」第9巻は、若頭が長い懲役を終え三度目の復讐を誓う場面で頓挫してるのだ。夜行列車で逃亡した先は、しんしんと降る雪に埋もれたお馴染みプリズンホテルだった。
豪雪でもワケありのお客はやってくる。患者の安楽死を選んだ医師、救急センターの敏腕婦長「血まみれマリア」、自殺志願の少年に山男。

「おいっ、野郎ども!お客人を風呂場にお運びしろ。いきなり放り込むんじゃねえぞ、身が崩れるといけねえからな!板長、おめえが段取りしろ。パーシャル解凍の要領だ!」

プリズンホテルならではの緊急事態も発生、館内にスクランブル音が鳴り響く。
得物を手に手に迎撃体制を整える従業員の中、カタギの板長まで 「包丁を晒しに巻きこみ、鉢巻にズラリと金串を差し、名物大漁舟盛り、黒マグロ一本食い用の長出刃」を握って現れる」。板長のかっこいい順応ぶりとは裏腹に、ろくでなし作家と愛人お清の不器用な愛はどこへ行ってしまうのか?

プリズンホテルは冬も元気です。

(ソーダ)