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プリズンホテル春
著者名 : 浅田次郎
出版社 : 徳間書店
発行年 :  
N D C : 913
ひとこと : 涙もあって、春到来。
極道小説「仁義の黄昏」とぶっちぎりの恋愛小説(らしい)「哀愁のカルボナーラ」が同時に日本文芸大賞にノミネートされたろくでなし作家木戸孝之介。
ノミネートと同時に失踪した義母の行方を求めて向かった先は、春まだ浅いプリズンホテルだった。

貧乏人いじめを見かねて憲兵に手をかけ懲役52年を務め上げた「緋桜の弥一」。
「何で後悔せにゃならねえんだ。いっときカッとしてやったわけじゃねえ。男が重々考えて、よしと決めてやったこっちゃねえか。よしんばあんとき、命惜しさに目をつむったとしたらよ、俺ァ52年の間、もっと辛え思いをしただろうぜ」
放免の日に偶然拾った超クスボリ男を連れて弥一が向かった先は、言わずと知れたプリズンホテルだった。

突如現れた憧れの博打打ちに狼狽する仲蔵親分と子分たち。ここはひとつ放免祝いをせにゃなるめえとはじめたチンチロリンで擬似血縁関係の面々による骨肉の争いが繰り広げられる中、ろくでなし作家は一時間ごとに届かぬ電話を繰り返す。

涙せずにはいられないプリズンホテル最終話です。
(ソーダ)