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レディ・ジョーカー 上下
著者名 : 高村薫
出版社 : 毎日新聞社
発行年 : 1997.12
N D C : 913
ひとこと : 耐え難い理不尽を己の中に抱えながら、立ち止まることすら許されぬ男達の生き様を見よ!。
その犯罪は巨大企業を揺るがし、内部の闇の部分をあぶり出していった。
しかし、それは引き金に過ぎなかったのか−。
事件は変貌しながら枝葉を伸ばし、人を絡めとっていく。刑事合田は核心に迫れるのか。
そして彼を迎え撃つものは−。ラスト、読む者の心は鷲掴みにされる。

始まりは、茫々とした人の心の行き場のなさだった。やがてそれは不思議な引力で結ばれ、事件は計画される。日の出ビールの社長誘拐。
なぜ日の出なのか、なぜ城山なのか。
そしてこの事件の始まりが目に見えぬ魔物を動かす。一連の事件で見えてきたものは犯罪者側や企業側の裏ばかりではなかった。合田自らが属する組織の唾棄したくなるような現実が今さらながらさらけ出される。
いったい、個人などというものの存在は何に価するのだ。
読み進むうち、それぞれの登場人物の苦悩が浮き彫りにされていく。
(もくべえ)