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水の伝説
著者名 : たつみや章
出版社 : 講談社
発行年 : 1995.11
N D C : 913
ひとこと : 人への優しさ、地球への思いやり

  日本で「水」に関する「伝説」といえば「龍」と「河童」が出てくるお話が多くあります。東京でいじめにあい、山村留学をしている光太郎は友達もでき、学校や釣りなど楽しい日々を送っていました。大雨の続くある日、河童を助けたところから不思議な出来事に巻き込まれます。そしていじめにあった「自分」や「環境破壊」という問題に向きあことになります。
  「いじめ」と「環境破壊」。一見つながりがないようですが、どちらも一人では解決できない大きな問題です。何をすべきかみんなで話し合い、ぶつかりあい、互いの違いを認め合い、協力して一つ一つ解決していく。一人の力は限りがありますが、人の「いじめ」を失くし、みんなの力を集めることで「環境破壊」という地球への「いじめ」を止めることができると教えてくれる一冊です。
  ところで、東洋の「龍」は「神」であり尊ばれますが、西洋の「ドラゴン」は「悪」であり、 退治されます。同じ生き物でも洋の東西では反対です。偶然に東の「龍」と西の「ドラゴン」の話が続き、文化の違いを読み比べることができました。こうした見方もおもしろいものです。

(木馬)