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  数頁で外したと思った。文章が甘い。とはいえ小澤征爾の娘が書いた本には興味津々だったのでどかどか読み進んだら収穫があった。
  著者はある時亡くなったはずの父の大親友タカベエが同じ車中に座っている姿を見る。
 「数秒たったときに私は、はっとした」「見えたのではなくいた」「肌の感じも、人がそこにいる気配もその息遣いさえ感じた」「ずっと会えなかった人にやっと会えたという安心感とおなかが温かくなるような喜びしか感じなかった。私は少し嬉しくなった。『死んじゃった人にもう会えない』と思うのと 『死んじゃった人に絶対会えないわけじゃない、いてくれるのだ』と思うのではずいぶん違うから。 すごく心強い気持ちがした」。
  死んじゃった人に絶対会えないわけじゃない。それはとても嬉しいことだ。
  そんな経験をした人がいる。わたしもすごく心強い気持ちになった。

 



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