ペイオフの達人(バックナンバー)
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■■        ペイオフの達人(04.04.05)
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■〔INDEX〕  
■〔1〕公認会計士・監査審査会が発足(04/04/02, 日経金融より)
■〔2〕ペイオフQ&A 本当に1千万円以上は戻ってこないの?
■〔3〕次回予告 〜UFJ銀行の行方〜
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■■〔1〕公認会計士・監査審査会が発足(04/04/02, 日経金融より)
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記事要約
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監査法人のお目付け役となる公認会計士・監査審査会が一日発足した。
当面の最大の課題は、りそなグループや足利銀行への対応で揺らいだ
銀行への監査の信頼を回復すること。足利銀行の問題については、
国有化の前後から、与野党を問わず「監査と金融庁の検査が天と地ほ
ど違うのは納得できない」との声が広がり、監査への不信感が増大し
た。日本公認会計士協会の奥山章雄会長も監査審査会の委員を務める
が、奥山氏の出身母体の中央青山監査法人は昨年三月期の足利銀は資
産超過と判定していたのに、その後の金融庁の検査で債務超過が発覚。
同九月中間期は中央青山も債務超過と判断した。
奥山氏は金融庁の検査と監査の差を縮めることを努力目標に掲げてきた。
竹中氏の言う「真価」は金融再生の取り組みで問われる。信頼度の高い
監査を通過してこそ、日本の金融の信認回復につながる。審査会がその
一翼を担えるかどうか試されようとしている。
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(筆者の読感)
金融庁の金融検査と、監査法人の会計監査はそもそも目的が異なって
いる。金融検査は銀行法に基づいた強制的な検査権限を持ち、金融秩
序維持という行政目的のために遂行される。一方、会計監査は銀行の
作成する財務諸表が会計基準等に基づいて適正に作成されているかど
うかについて監査しているのである。また、銀行法に基づいた検査と
あくまで銀行がクライアントである監査では、少なくとも従来までは
見解に相違があっても無理もないことではなかったか。足利銀行破綻
のときの論調で、検査と監査の相違が大きくクローズアップされたが、
筆者には至極当然のことと思えた。監査審査会は米国のエンロンやワ
ールドコムの不正会計事件を受けて、行政の機能強化の一環として設置
が決まったもので、金融検査との関係がどうと言うよりも、会計監査
自体の信頼性回復のためには必要不可欠な機関なのではないだろうか。
金融庁検査では、監査法人との意見交換をする場が設けられているが、
当該銀行と一線を画した立場から話をしてくれる会計士さんは見たこと
がない。会計監査は、あくまで外部監査のはずなのだが。

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■■〔2〕ペイオフで本当に1千万円以上は戻ってこないのか? 
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金融機関が破綻した場合は基本的には元本1000万円とその利息
を越える部分に関しては全額は保護されません。ただし、その金融
機関が債務超過でなければ、資産をすべて処分すれば預金全額の払
い出しができるわけですから全額戻ってきます。金融機関が一時的
な資金ショートや銀行免許の取り消しなどで破綻し、資産が痛んで
無い場合が考えられますが、銀行免許の取り消しで破綻というのは
現実的には考えづらいですので、資産超過で資金ショート破綻とい
うのが現実的に預金が保護されるケースと言えます。ただし、資金
繰り破綻であっても本当に資産超過かどうかというのは、後になっ
てみないとわからないことも多々あります。破綻後に資産を再査定
してみたら大幅に劣化しているようなケースもあり得るからです。

平成15年5月のりそな銀行、11月の足利銀行のケースでは、預
金保険法102条によって金融秩序を守るための例外的な措置が行
われました。両行とも預金の払い出しに支障を来していたわけでは
ないのですが、自己資本の毀損した状態を放置しておくと、風評等
で取り付け騒ぎなどがおこって、金融秩序に危機的な影響を与える
と判断されたことから、公的資金注入や国有化といった措置になり、
預金は全額保護されることになったのです。

仮に、この2行の場合にペイオフが発動されていれば、資産超過の
りそな銀行の場合は預金は全額戻ってくるが、債務超過の足利銀行
の場合は一部カットという事態になったことでしょう(ただし、一
部報道にあったように、りそな銀行が本当は債務超過だった場合は
別ですが)。

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■■〔3〕次回予告 〜UFJ銀行の行方〜
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1月に日経新聞が、UFJ銀行への金融庁検査の長期化を報じてから
3ヶ月近くが経とうとしています。その間に、さまざまな報道がされ
ていますが、現状は小康状態を保っているようです。今後は特別検査
の結果待ちと言ったところでしょうが、どのような動きがあり得るの
か、次号で筆者の見解を紹介したいと思います。

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