ペイオフの達人(バックナンバー)
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■■          ペイオフの達人(04.05.13)
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  こんにちは、加藤です。

 無利子の決済用預金導入の動きが出始めています。
 
 山梨県では、県や企業が預金を決済用預金へ移動する検討を開始
したとの報道がありました。

 現在のように普通預金が0.001%程度であれば、安全を優先
して無利子の決済用預金を使うという選択肢も合理性がありますが、
将来、金利が上昇してきて普通預金でも1%以上になった場合に、
その金利をあきらめて決済用預金を使うには勇気がいります。

 そうなると、当然、安全と言われる銀行の有利子普通預金に預け
かえる人が増えそうですよね。決済用預金の真価が発揮されるのは、
どうやら金利が上昇したときになりそうです。

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■〔INDEX〕  
■〔1〕ペイオフはどうやっておきる?
■〔2〕経済・金融キーワード ◆繰延税金資産◆
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■■〔1〕ペイオフはどうやっておきる?
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 厳密にいうとペイオフには2通りの方法があります。

 ひとつは、文字通りの「ペイオフ方式(保険金支払方式)」で預金者
に対して預金保険機構が直接保険金を支払う方式。こちらが正真正銘の
ペイオフ。

 もうひとつは、「資金援助方式」で救済金融機関に破綻した金融機関
の営業の全部又は一部を移管し、資金援助を行う方式。

 どちらの場合も、破綻に伴う損失負担により預金が一部カットされる
可能性がある点は同じで、通常は二つを総称して「ペイオフ」と呼んで
います。

 ところで、ペイオフは銀行がどうなると発生するのでしょうか?

 根拠法である預金保険法は以下のとおりとなっています。

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 預金保険法
 第四十九条  金融機関がその業務を営み又は事業を行うときは、
       当該金融機関が預金等に係る債務を負うことにより、
       各預金者等ごとに一定の金額の範囲内において、当該
       預金等の払戻しにつき、機構と当該金融機関及び預金
             者等との間に保険関係が成立するものとする。 

     2  前項の保険関係においては、預金等に係る債権の額
       を保険金額とし、次に掲げるものを保険事故とする。 

       一  金融機関の預金等の払戻しの停止
         (以下「第一種保険事故」という。) 
      (以下省略)
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 流動性不足により預金者の預金払い戻し要求に応えられなく
なったときに保険事故ということになります。いわゆる「取り付け
騒ぎ」になったような状況でしょうか。

 昨年、九州の銀行でデマメールによる預金引き出し騒ぎが
ありましたが、結局、数百億円の預金が短期間に引き出された
ようでした。このようなとき、万が一銀行が預金の払い出し
に一時的にでも応じられない事態になると、ペイオフの可能性
が高くなります(預金保険法102条発動であれば別ですが)。

ただ、現在はどこの銀行でも流動性リスク管理をきちんとしている
はず(笑)ですので、通常は問題ないでしょう。

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■■〔2〕経済・金融キーワード ◆繰延税金資産◆
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 企業会計上の「資産」または「負債」の額と、課税所得計算上の
「資産」または「負債」の額は、算出方法が異なるため金額が違って
きます。繰延税金資産は、税務上の課税所得が会計上の利益より多く
なるときに生じるんですね。

 たとえば、企業は取引先の破綻に備えて、取引先の債権の一定割合を
税務上、貸倒引当金としてあらかじめ損失を計上することができます。

 これにより、この分だけ税金を払わずに済むわけですが、一定割合
以上に貸倒引当金として計上した場合には、税務上損失とはならず、
税金を払わなくてはならなくなります。

 この税金については、取引先が実際に破綻して現実に損失が出た場合
には還付されるんですが、それまでは、税務上は損失にはならず、課税
所得がそれだけ多くなることになります。

 しかし、税効果会計を用いると、この部分に対して、あらかじめ税金を
払わなかったことにしておくことができる。これが繰延税金資産なのです。

 繰延税金資産は、有税処理をした課税所得に係わる税額を、繰延税金
資産として資産計上することで、法人税等を減額させる効果があります
(これを税効果会計と呼ぶ)。

 しかし、有税処理をした部分について、翌会計期以降、これが解消
されるだけの課税所得が見込まれるか検討することが必要であると
されています。 

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