よくわかる銀行の選び方>ペイオフ制度の沿革

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ペイオフ制度は1970年代に創設されました。

しかし、政府は90年代初頭に信用組合が破たん、ペイオフを凍結解除すると、預金者に動揺が広がり、ひいては金融システムの危機につながりかねないと判断して、ペイオフ制度を緊急避難的に凍結してきました。

96年には、2001年3月末までの間、特例措置として預金の全額を保護することを決めました。

 ところが、相対的に経営体力の劣る中小の地域金融機関から預金などが流出する可能性が高いと判断した政府は、99年末に再び2002年3月末までペイオフ凍結を延長することにしました。現時点では、ペイオフは2005年4月以降に凍結解除となります。

 預金を預けた金融機関が破たんした際には、預金者によっては元本が全額戻らない人も出てくる可能性があるわけです。
ただ、預金の商品性によって支払いの保証を受ける範囲は異なります。

最初にペイオフ凍結解除の対象になるのは、定期預金や定期積金、金融債などです。

普通預金や当座預金といった決済性預金は現在は全額保護されています。

ペイオフの凍結解除は個人の預金者だけでなく、東京都などの地方自治体が公金をどのように保護するかや、マンションの管理組合による管理費の保護策など影響は多岐にわたっています。

事項 限度額 保険
料率
昭和31年 7月 金融制度調査会が発足。預金者保護制度の検討を開始。
昭和45年 7月 金融制度調査会が預金保険制度の創設を決定。
昭和46年 3月 預金保険法が成立。
4月 預金保険法が公布、施行。
7月 同法に基づき預金保険機構を創設。 100万円 0.006%
昭和49年 6月 保険金支払限度額を引き上げ。 300万円
昭和57年 3月 保険料率を引き上げ。 0.008%
昭和61年 5月 預金保険制度を改正。@資金援助方式の導入、A仮払金制度の導入、B保険金支払限度額を増額、C保険料率を引き上げ、D労働金庫の預金保険制度への加入、など 1,000万円 0.012%
平成7年 12月 金融制度調査会、@平成13年年4月までペイオフの実施を延期、A破綻処理財源確保のための保険料率(一般・特別保険料率設定)などを決定
12月 住専処理に6,850億円の公的資金投入を決定。
平成8年
(1996年)
4月 一般保険料率を引き上げ。
東京銀行と三菱銀行が合併、東京三菱銀行が誕生。
0.048%
6月 預金保険制度を改正。
@平成13年年4月までペイオフの実施を延期、Aペイオフコストを超える資金援助の財源として特別保険料(=0.036%)を徴収、B破綻信組の受け皿金融機関として整理回収銀行を創設、など
0.084%
平成9年
(1997年)
11月 北海道拓殖銀行破綻。山一証券破綻。徳陽シティ銀行(仙台市)破綻。
12月 預金保険制度を改正。
経営が悪化した金融機関を合併する場合に資金を援助する制度を創設(1999年3月廃止)
平成10年
(1998年)
2月 預金保険法改正・金融機能安定化緊急措置法成立。@金融機関への資本注入を審査する金融危機管理審査委員会を設置、A「特例業務基金」として政府が7兆円の国債を交付、B整理回収銀行に一般金融機関の受け皿銀行機能を付与
3月 金融危機管理審査委員会、大手行など21行に対して初の公的資金による資本注入(1兆8,156億円)を実施
6月 金融監督庁が発足
10月 預金保険法改正・金融機能再生法・金融機能早期健全化法成立、@金融整理管財人業務、特別公的管理業務を追加、A「金融再生勘定(18兆円)」と「金融機能早期健全化勘定(25兆円)」を設置
・日本長期信用銀行破綻(国有化)。
12月 金融再生委員会が発足。日本債券信用銀行破綻(国有化)
平成11年
(1999年)
3月 金融再生委員会、大手15行に早期健全化勘定から7兆4,592億円の資本を注入
9月 全国出納長会が、総務省及び大蔵省に対し、ペイオフ解禁に向けた配慮についての要望書を提出
10月 全国知事会が、総務省及び大蔵省に対し、ペイオフ解禁に向けた配慮についての要望書を提出
12月 ペイオフについて金融審議会答申。
ペイオフ方式よりも資金援助方式による金融機関の破綻処理を優先させる、などの方針を明記。
12月 政府与党が平成14年4月までペイオフ解禁の1年延期を決定
平成12年
(2000年)
4月 信金・信組に対する検査・監督権限を都道府県から金融監督庁へ移管
5月 「預金保険法等の一部を改正する法律」成立、@平成14年3月まで預金を全額保護、A流動性預金は平成15年3月まで全額保護、Bシステミックリスクへの対応、C公金預金等も預金保険の対象とする、など
7月 金融監督庁と大蔵省金融企画局を統合した金融庁が発足
平成13年
(2001年)
1月 金融再生委員会を金融庁に統合。
三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行3行事実上合併し、UFJホールディングスの子会社になる。
3月 総務省が「地方公共団体におけるペイオフ解禁への対応方策研究会」とりまとめを作成
4月 住友銀行と三井銀行が合併し、三井住友銀行誕生。
12月 大和銀行、近畿大阪銀行、奈良銀行、持ち株会社方式による経営統合、大和銀ホールディングス設立。
平成14年
(2002年)
3月 大和銀ホールディングスが、あさひ銀行を経営統合。
4月 ペイオフ一部解禁(定期性預金のみ)
11月 政府与党が平成17年4月までペイオフ解禁の2年延期を決定(平成15年4月→平成17年4月)
平成15年
(2003年)
3月 大和銀ホールディングス傘下のあさひ銀行から、埼玉りそな銀行を分離。埼玉りそな銀行以外のあさひ銀行と大和銀行が合併し、りそな銀行発足。
5月 りそな銀行、預金保険法102条1号措置により実質国有化
11月 足利銀行、預金保険法102条3号措置により国有化
平成17年 4月 ペイオフ全面解禁。
平成18年
(2006年)
1月 東京三菱銀行とUFJ銀行合併、東京三菱UFJ銀行誕生。
平成19年
(2007年)