よくわかる銀行の選び方>銀行の健全性と収益性
銀行の健全性

銀行の健全性を計ることができる指標としては、自己資本比率不良債権比率が重要です。

自己資本比率

 銀行は言うまでもなく、主に皆さんの預金を融資に回して、利ざや を稼ぐ商売なわけですが、融資しているお金は、国や都道府県などの お役所に貸している場合は別にして、常に回収できないかもしれない という危険性(リスク)をもっています。

 つまり、貸したお金が返ってこないかもしれないという意味で、 銀行は融資額分のリスクを抱えているということになります。

  銀行から見れば預金は、「預金者からの借金」ですから、これを預金者に返さないわけ にはいきませんので、融資したお金が返ってこない場合には、自前の お金で補填するしかありません。

 その自前のお金のことを「自己資本」といいます。

 そして、銀行が抱えているリスクに対して、自己資本がどのくらい あるかを示すのが、「自己資本比率」ということになります。

 (1)自己資本比率(%)=自己資本/銀行の抱えるリスク×100

 銀行は融資額分のリスクを抱えていると書きましたが、実際には 融資と一口に言っても、絶対潰れない国や都道府県(本当かな〜笑) 向けの融資や、皆さんの借りている住宅ローンなど様々です。

 これら 融資の中身によって、リスクの大きさに軽重をつけたものを「リスク アセット」と呼んでいて、上の式の分母には、本当はリスクアセット をつかいます。

(2)自己資本比率(%)=自己資本/リスクアセット×100

 さらに分子の自己資本についても、実際は資本ではないが、一応、 資本と認めて良いとされているものを一定額加えたり、見かけ上の 資本で、実態のないものを引いたりして調整を行います。

(3)自己資本比率(%)=自己資本+補完項目−控除項目/リスクアセット×100

 これが、国際的に定められている自己資本比率の計算方法(自己資本比率規制)になります。

※なお、自己資本比率があまりに低くなると、金融庁が銀行に業務改善命令等を発出します。
  これを早期是正措置と言います。

不良債権比率
不良債権には、金融再生法開示債権(金融再生法)リスク管理債権(銀行法)の2種類がありますが、それぞれの残高の推移を見れば、その銀行の資産の健全性を計ることができると思います。

不良債権についてさらに詳しくみる場合は、不良債権の比率(不良債権の残高/貸出金)や不良債権に対する保全率(不良債権のうち担保・保証で保全されている債権と貸倒引当金でカバーされている比率)を参考にするのもよいでしょう。

また、今後の不良債権処理損失に対する備えを見るには、有価証券の評価損益や剰余金(過去からの利益の累計で株主への配当原資や不良債権処理に活用できる資金)の残高などが参考になります。

銀行の収益性

業務純益は銀行の収益力を計ることができる情報として注目されます。

業務純益は、銀行の本来業務の実力をあらわしています。業務純益の大きさをそれぞれの業態(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行といった区分)の中で比較することで、収益力が高い銀行か、低い銀行かを見極めることができます。

また、収益性を計る指標として
株主資本利益率(ROE)も参考になると思います。

株主資本利益率(ROE)は、投入した資本に対してどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標です。
資本当期純利益率(ROE)が高いほど、収益性に優れた銀行といえます。

※株主資本利益率(ROE)は、自己資本利益率、資本利益率と表現する場合もあります。