さらば釣り掛けの東武5000系

JRの3月のダイヤ改正で、常磐線の103系がどうだの、東海道線の113系がどうだのといろいろ騒がれていますが、この改正で特急電車の相互直通乗り入れを行う東武鉄道も大きな動きがあります。50年近い歴史を持つ5000系の引退です。5000系は東武の名車7800系(東武ファンは7800系をナナハチ形と呼ぶ。これが正式な呼び方らしいのだが・・)の制御機器、台車などを8000系に乗せ変えた車輌で、7800系のメカニズムを流用しているため釣りかけ駆動です。今でも釣り掛けの低く響くような音を響かせて最高速90キロで走っています。そのため音鉄には人気があります。勿論私と叔父が伊勢崎線の5000系を見に行ったときも音をとっている方が数名いました。台車は7800系の流用のために、国鉄新性能車などに見られる蛇行による激しい横揺れでなく、突き上げるような縦揺れが特徴です。車体はその縦揺れと、釣り掛けの振動をもろに食らっているため、かなりやれている様子。化粧版がゆがみで割れている箇所もあります。3月ダイヤ改正で本線と呼ばれる伊勢崎線系統から引退。東武の釣り掛け車の全廃まで秒読みに入りました。

▲引退予定の5000系2編成が仲良く太田駅で並んだ。
▲5000系の運転台。マスコンなどは種者の7800などの流用。マスコンの形は旧国鉄の旧型国電モハ73系やモハ70系、モハ80系のものとほぼ同じ形なのでは。写真を比べる限り違いは見られません。太田駅にて
▲8000系では滅多に見られなくなったランプ式のドア知らせ灯(そう言うのか不明)や非常ブレーキ。非常ブレーキは間違っても引かないように(笑)
(右)5000系の前面。下の8000系と比べると、方向幕の大きさが若干小さいです。が、これは8000系新製時と同じサイズ。また車体の更新修繕は行っていないので、運転席の窓下に付いている外気取り入れ口は残っています。床下の機器の配置はこの写真を見る限り8000系と変わりないようです。

伊勢崎駅にて

(右)8000系の前面。方向幕がLED化されているため、方向幕が大きいです。また本線運用は分割併合が多いために、伊勢崎側に幌を備えます。この車は更新工事を受けているために、前面窓下の通風気は塞がれています。

浅草にて

▲7800形に装着されていた台車。蛇行は少ないですが、小さな段差もかなり拾います。しかし50年前のものにしては上出来。
▲アルナ工機 昭和55年西暦に直すと1980年。あれおかしいと思ったら隣にデハ7804の銘盤が、昭和28年製。ざっと53年前の代物。
▲2連口の5000系が、準急浅草行きの8000系と並ぶ。どちらもダイヤ改正後には見られない組み合わせ。
1950年代に製造された車輌たちの血を引く車輌が今まで細々と最近まで活躍していましたが、ここ3〜4年で急激に数を減らしました。彼らの全盛期を見ない私達若い世代は、保存車も少ない中で、このような車輌たちに昔を想像する手伝いをしてもらいました。これらの車輌が引退する今回のダイヤ改正は、鉄道史大きな節目かもしれません。

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