===== 電話ボックスの彼 =====





電話ボックスのまわりで
子どもたちが遊んでいた


見ると中に1人閉じ込められているようだった




電話ボックスの彼は にやにやと笑っていた


それは 精一杯の愛想笑いで
機嫌をうかがっているように見えた


それは こぼれそうな涙を
必死に耐えているようにも見えた




子どもたちは彼をそこから出そうとはしない
悪気のない素直な笑みで 彼に指をむける


しばらく笑い声が響いていた




子どもたちが帰り彼だけが残された

彼はそこから出ようとはせず
膝を抱えしゃがんでいた




日も暮れ電話ボックスの明かりが
薄っすらとなった頃

彼は静かにそこを出た




どこから持ってきたのか
細い枯れ枝を振りまわしながら

だらだらと帰っていった


彼には子どもたちの笑みが
どう見えていたのだろう