◇義誠国術館・最新ニュース

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◇拝帖について

  「人が善を行えば、すなわち道に返る。世の中の声色、衣食等を人は楽としているがこれは真の楽ではない。本当は苦に過ぎない。世人は妄をもって真とし苦を以って楽としている。悲しむべきことである。---中略ーーーよく善を積み道を行えば何で仙人になりえないことを懸念する要があろうか。」(長春真人西遊記より)

  これは仙人になるという結果を求めずに陰徳を積み上げることの重要性を説いた邱長春真人(中国の作家金庸氏の武侠小説で有名)の教えです。皆さんケーブルテレビで金庸のドラマを見ているときには長春真人のこの言葉を思い出していただけませんか。
  
他人から何かをしてもらうとかまたは結果を求める気持ちを捨て、品格を極め真実に務め社会に福をなす行為を積善陰徳といいます。中国では見込みのある弟子に大きな赤い紙(此れを拝帖といいます。)に誓約を書かせ儀式を行い(此れを拝師といいます。)代を譲り渡して第何代の正式弟子と致します。
  積善陰徳をモットーとし社会や他人に福をなす人でなければこの儀式を受けることは出来ません。長春真人の師匠の王重陽は、「修行とは人身中の天地を発現させることである。そのためには持戒、忍辱、慈悲にして、十悪(妄言 綺語、貪愛、姦婬。嫉妬などの、口耳心の悪行であろう。)を断ち、酒色財気を斥けるなどの条件などを満たしその後で真功を行う。」と述べております。

  我々修行者は、特に深い慈愛を持って、陰徳に励み、社会や周りに福をなすべく」修練に励みたいものです。

  ところで最近北海道の弟子が出てきて話をする機会がありました。そのうち一名などは、腹のみでなく背中やわき腹を突かせても平気でした。彼らに「今度来たときには、拝師をして、代を渡したい。」と言ったらば「自分達は修行が到らないし、とても受け取れません。」と断られてしまいました。
  いつの間にか私を超えた謙遜の人たちになったようです。私は儀式こそ行なってはおりませんが、彼らこそ正統な王樹金老師の志を受け継いだ人たちであることを確約いたします。

  追申:彼らが拝師を行なわない以上、彼らを差し置いて他の人に拝師をさせることがきわめて難しい状況にならざるをえないことは残念ですが、拝師以上に崇高な理念があることを彼らに示していただきました。

  王樹金老師太極拳真伝第2版が3月12日に発行されました。こんなに部数がはけたのは望外な喜びです。本書を通して善行陰徳を積み上げ立命をすることのすばらしさを少しでもお伝えできれば幸甚に存じます。

 ※初版では誤字や脱字が多く大きな間違いは以下のとおりです。

  41頁の螺糸勁のルビは「ちゅうしけい」となっておりましたが、間違いで「らしけい」です。抽糸勁「ちゅうしけい」というのがありますが此れとは別物です。
  206頁の上方へ浮かしセイで飛ばします。のところは「ホウ」で飛ばします。の間違いです。
  25頁、転身〜は提腿栽捶の間違えで25,26ともに提腿栽捶です。
これらの間違いは第2版では完全に訂正されておりました。然しながらまた二点ほどミスを見つけてしまいました。ここに訂正いたします。

  50頁「貫耳拳」は、「貫拳」の間違いです。それから172頁「李千五先生の『太極功』」は、「李千五先生の『太極拳』」の間違いです。
  それから「本書で学んでDVDで確認すれば、型から実戦まで太極拳のすべてをこれ一冊でマスターできる。」と表紙に書いてありますが、武道はそれほど簡単ではありません。きちっとした師匠による伝授とそれから長年の修練は必要不可欠な条件です。

  去る2月11日琉球王家秘伝本部御殿手第14代宗家本部朝正先生のお招きにより国際拳法術会総裁キモフェレイラ先生と第30回日本古武道演武大会に行ってまいりました。本部朝正先生と本部御殿手古武術協会副会長稲葉尚武先生とお会いでき、それから事前に連絡をとっていたのですが、薩摩の秘剣薬丸自顕流第14代宗家薬丸康夫先生同流の宗家師範代萩原嘉昭先生、NPO法人薬丸自顕流顕彰会理事木村清先生にお会いし、又2月18日同流の東京道場和田博温先生御一門の演武を拝見いたしました。

  この二つの流派についてここに紹介いたします。

   本部御殿手

  由来 本部御殿手は、琉球王国の王族である本部家に代々伝えられてきた武道である。本部御殿手の御殿(うどん)とは王族の家柄を意味する言葉である。この本部御殿手とは秘伝技として代々本部家の長男にだけ伝承されて来たのであるが、琉球王朝崩壊に伴う諸般の事情から大正時代に第11代宗家本部朝勇よりこれを継承した第12代宗家上原末吉が、それまで世に知られることもなく伝承されてきた本部御殿手を一般の者に指導するとともに機会ある毎に公開演武する等して積極的にその普及に努めたことにより国内は勿論欧米にまで知られるところとなり、平成15年8月17日同宗家の白寿を期に本部家家系の本部朝正に伝承され現在に至っている。(第30回日本古武道演武大会プログラムより引用)

  流儀の特徴 本部御殿手は多人数を相手にことを想定した武道である。そのため剣などの武器を使う場合は二刀を使用することが基本で、常に歩き回りながら技を使う。修行は基本の体術を経て武器術へと進む。その後、相手を傷つけることなく無抵抗にしてしまう技である「取手」を習得する。このように剛と柔の技を積み重ねて修行を続けて行くことによって、奥義である武の舞「舞手」に至る。また秘伝義である「渦巻龍巻の剣」が伝承されている。

   薬丸自顕流

  薬丸自源流とは、薩摩藩士薬丸兼陳が、天真正自顕流を善吉和尚より学んだ東郷重位の編み出した示現流を収めた後、家伝の野太刀術を元に編み出した剣術である。野太刀自顕流(のだちじげんりゅう)、薬丸流、または単に自顕流とも呼ばれる。(ウィッキペディア参考)

  特徴八双を天に向かって突き上げ腰を低くした蜻蛉の姿勢を基本とし横木打ちを反復練習する。「徹底した先制攻撃を重視し防御の技は存在しない。」〔同流和田師範の談〕

  万が一にも先制攻撃を仕掛けられた場合にも相手に切られるより先に相手を切ってしまうきってしまうか、相手の攻撃を自分の攻撃で叩き落すことを極意としている。(ウイッキペディア参考)

  私見 私はこの流派の技を見て相打ちを狙った中国拳法の交差法にも匹敵する凄まじい実戦性を見出しました。

  本日新宿の紀伊国屋書店に行ったらば拙著「王樹金老師太極拳真伝」が山済みになっておりました。自分の写真が表紙になっていてかなり恥かしい気持ちでページをめくっていてふと気がついたことですが「はじめに」のところがちょっと違っておりました。

 はじめに

  今年の夏、フルコムの田口様という方から連絡があり、達人というムック本に王樹金老師のことなどを掲載したいので取材したいと言う申し出を頂きました。早々に王子にある私の教室に来られ、インタビューを受けました。
  そのときのテーマの一つに「太極拳は武道として役に立つのか、」がありました。このことは太極拳をやる人々にとって長年のテーマであるようにおもわれます。あのユックリズムの太極拳で空手やボクシング等の異種武道に対抗で着うるのでしょか。太極拳を含む柔派拳法を今年で31年にわたり練習をしてきましたが、決して他の武道に引けをとるものではないと確信しております。太極拳はそもそも決してユックリしたものではありませんし、他の武道とは速さの質が違うだけです。この質の違いを理解すると太極拳が生き生きとした武道に生まれ変わってくることが分かります。

   「そこまで太極拳の武道性を主張するのならば、そういう本を出してはどうですか。」とフルコムの山田編集長にそそのかされて今回の出版となりました。

  王樹金老師は、自分の技を写真やビデオにとられることを嫌がっておりました。そのようなわけでDVD付ということにかなりの抵抗もありました。私がもっとも尊敬する、養神館館長井上強一先生に相談したらば、「如何してやらないのか。」と葉っぱをかけられてやっと踏ん切りがつきました。

  今回の出版はすでに太極拳をやっている方はもとより、これから始めようという方や他の武道の方にも受け入れられるように配慮いたしました。

  私は武道の真の目的は修練を通して心を高め隠匿を積み上げることであると思います。重要な隠匿の中に布施があります。布施には三種類あり
   1、一般的に財産を施すことを財施といい、
   2、説法することを法施といい、
   3たとえばキリストのように見返りを求めず命をなげうってでも人の為に尽くすことを無畏施といいます。
  私も志だけは高く持ち無為背に少しでも近づけるように努力する所存です。この本を通して私が得たものが読者の修行の一助になれば幸甚に存じます。

                                       河野義勝

  赤のところが「ここまで太極拳を武術的に使いこなせる日本人はいません。」となっており少々驚いてしまいました。

  私は武術の名手でもなんでもないので、ちょっと戸惑ってしまいましたが、編集者サイドの行為で書き直してくれたのでしょう。私は彼らの誠意に答えるよう今後も精進を続け名手に少しでも近づくように頑張りたいと思います。編集部の皆様有難うございました。

                                        2007年1月24日

                                        河野義勝

 ◇王樹金老師太極拳真伝の内容のミスについて

  本日【王樹金老師真伝太極拳真伝】が東方出版より届きました。中身を見たところ若干のミス或いは間違いを発見しましたので訂正をしておきます。
  41頁の螺糸勁のルビは(ちゅうしけい)となっておりましたが、間違いで(らしけい)です。抽糸勁(ちゅうしけい)というのがありますが此れとは別物です。
  206頁の上方へ浮かしセイで飛ばします。のところは?(ホウ)で飛ばします。の間違いです。
  25転身?脚は提腿栽捶の間違えで25,26ともに提腿栽捶です。

  今回は2ヶ月というきわめて短い時間での仕事を出版社より言われ慌しく仕事をしたのでこのような間違えが起きたと思います。又新しいミスが見つかりましたらば此処に訂正を付け加えるつもりです。読者の方々の理解の程をお願いいたします。

                                         河野義勝

                                         2007年1月21日

 ◇拙著「王樹金老師太極拳真伝」に寄せていただいたキモフェレイラ先生の推薦文

  日本において武道を考える上で、私たちはたとえば柔道や空手、合気道、剣道剣術のようなより伝統的なスタイルを思い浮かべます。

  しかしながら、謹んで述べますが、河野師範によって太極拳や八卦掌、形意拳などの内家拳の存在を教えられました。これらの技に対する河野師範の理解は百科事典に匹敵するものであると、友や優秀な武道家たちに伝えることができるのもまた、光栄なことです。
  河野師範の内家拳はスピードと暴威に満ちています。このたび彼が本を出版し、これらの技を紹介することにより、読者はその技の美とパワーを理解し、十分に認識することでしょう。
  すべての真剣な武道家の書棚に備えられるべき本の出版を心からお祝いいたします。

                                         キモフェレイラ

 ◇上善若水会の発足

  趣旨:儒釈道研究家南一峰先生を囲んで広く中国の古典を勉強しあう会です。
      自由な参加を募ります。

  会費:千円

  日時:毎月第一木曜日午後8時半から午後11時まで。

  場所:新宿・ローレル。

  住所:新宿区新宿3−28−14

   ※参加希望者は掲示板にて連絡してください。

  ◇王樹金老師太極拳真伝」出版について

  近々私の新しい著書「王樹金老師太極拳真伝」が東邦出版より出版されます。詳しくはブドーラのホームページhttp://www.nifty.com/budo-ra/service/ouj701.html をご確認ください。出来るだけ広範囲にわたり太極拳を紹介いたしました。すでに練習されている方はもとより。初心者の方にも分かり易く書いたつもりです。ご一読いただければ幸甚に存じます。

  ◇太極拳は実戦に役立つか

  
私の学生に別の中国拳法の道場に通っていた人がおり、「型は太極拳でもキックボクシングの蹴りのような練習をしたりサンドバックをついたりしていた。」と述べておりました。私はこれを聞いて大変残念に思いました。太極拳とキックボクシングはまった術理が違い双方相容れないものです。このような練習をすることは虻蜂取らずでものにならないのではないでしょうか。
  私はこの三十年王樹金老師のこの流派一筋で参りました。他武道の練習をしなくても太極拳を含む内家拳の術理で充分武道として役立つことを確信しております。私は内家拳を練習する人は他武道を研究するよりも自分の流派の理論を追及することを説に望みます。今回の出版が皆様の何かの助けになればと思います。

  ◇反射と変化

  生前王樹金老師は内家拳の極意は、反射と変化である言われておりました。相手の動きに変化をし打て対応するということです。相手がどのように動こうと反射力と変化力で対応すれば決して物理的なスピードを追求しなくても相手に充分対応できます。それから瞬間的な体重の移動により距離を必要としない突きが可能となります。よく太極拳は他の武道に対抗できないといわれますが、この三つの点を理解すれば充分他武道に対抗できます。この理論を鮮明にしようとしたのが今回の著作です。広く読者の方々の参考になれば幸いです。

  ◇中和と産霊(ムスビ)

  武道は天と一体化した産霊の精神を具現化したものでこれを中といいます。中は言い換えるならば中和の精神で、人との和を大切にします。老子は著書「老子道徳経」の中で憤(怒り)を解くことの重要性をのべ、無為自然のうちに人と和すことの異議を述べております。本書を読み太極拳を志す人は人との和の重要性を理解していただきたく存じます。

          

  今年の夏、フルコムの田口様という方から連絡をいただきました。「達人」というムック本に王樹金老師のことなどを掲載したいという、取材の依頼でした。
  早速私の教室に来られ、インタビューを受けました。そのときのテーマの一つに「太極拳は武道として役に立つのか」が挙げられました。このことは、太極拳をする人々にとって長年のテーマであるように思われます。あのゆったりとした動きの太極拳で、空手やボクシング等の異種武道に対抗出来うるのでしょうか。私は、太極拳を含む柔派拳法を31年にわたり稽古を続けてきましたが、決して他の武道に引けをとるものではないと確信しております。
  太極拳はそもそも決してゆっくりしたものではありません。他の武道とは速さの質が違うだけです。この質の違いを理解すると、太極拳が生き生きとした武道に生まれ変わってくることが分かります。

  「そこまで太極拳の武道性を主張するのなら、そういう本を出してはどうですか。」とフルコムの山田編集長にそそのかされ、今回本書を出版する運びとなりました。
  http://www.nifty.com/budo-ra/service/ouj701.html

  しかしながら、王樹金老師は、自分の技を写真やビデオにとられることを嫌がっておられました。ですから、DVD付ということには、当初かなりの抵抗を感じました。尊敬する養神館館長の井上強一先生にご相談したところ、「どうしてやらないのか。」と励ましていただき、やっと踏ん切りがつきました。

  本書は、すでに太極拳をやっている方はもとより、これから始めようという方や他の武道の方にも受け入れられるように配慮いたしました。

  私は、武道の真の目的は、修練を通して心を高め陰徳を積み上げることにあると思っています。重要な陰徳の中に布施がありますが、その布施には三種類あります。一つは財産を施す財施、もう一つは説法をする法施、そして三つめは、たとえばキリストのように見返りを求めず命をなげうってでも人の為に尽くす無畏施です。私も志だけは高く持ち、無畏施に少しでも近づけるように努力する所存です。
  この本を通して、私が学んできたことを少しでもお伝えできたら、そして読者の修行の一助となることができたら、幸甚に存じます。

                                             河野義勝

◇東邦出版社「達人第参巻」について

殆ど武道関係のマスコミに取り上げられることの少なかった私ですが、
王樹金老師のことが少しでも残すことが出来ればと思いインタビューを承諾いたしました。
詳細に関しては、私のブログ「盡性立命」のところをご覧ください。
二日にわたるDVDの撮影でしたが僅か8分になってしまいました。
多くの技は危険すぎると言うことでお蔵入りしてしまいましたが、
そのうち公開する機会もあろうかと思います。
技撃性という面で不満をもたれる方もあるかもしれませんが、
それでも老師の技の雰囲気を感じていただければと思います。
読者の皆様の参考になれば幸甚に存じます。

                                           河野義勝

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