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東京高裁、アルゼの請求を棄却

 史上最高額の損害賠償金で注目を集めた、アルゼとサミーの特許侵害紛争。 アルゼが特許庁の無効審決の取り消しを求めて提訴していたが、平成17年2月21日、 東京高裁はアルゼの請求を棄却する判決を下した。
 平成17年2月24日現在、フジテレビとライブドアとの争いで、北朝鮮問題その他の全ての重要問題 が吹っ飛んだ感のあるこの頃ですが、このアルゼとサミーの特許侵害紛争は、2002年に東京地裁で 損害賠償として80億円の支払い命令が出された時には、世間をあっと言わしめたものです。
 青色発光ダイオードの中村氏の200億円(これは後8億円で和解)、現在の日本放送買収問題で 飛び交う何百億円という声を聞くと、80億円という金額が霞んでしまいそうですが、しかし、すごい 大金であることには変わりありません。80億円という金額が何だか可愛らしく感じるのは、 今や日本全体がカジノ化しているためでしょうか。

(事件の概略)
 パチスロメーカー最大手のアルゼが、自身の所有する特許第1855980号(名称:スロットマシン)を侵害 しているとして、サミーとネットを相手取り、損害賠償を求めて東京地裁に提訴したのが、この事件の発端です。
(特許第1855980号(スロットマシン)はこちらを参照)

 2002年3月に出された東京地裁の判決では、サミーに74億円余り、ネットに10億円弱を支払えというものでした。
(平成14年3月19日、東京地裁判決文はこちら)

 サミー(ネット)としては、当然のことながら、平成13年6月に無効審判を特許庁に請求しました。

 この請求に対し特許庁は、平成14年12月に、裁判の争点となっている、アルゼ所有の特許第1855980号(名称:スロットマシン)を無効 とする、という判断を下しました。

 特許が無効となると、その特許は最初から存在しなかったことになります。 特許自体が存在しないのですから、権利侵害も当然ないことになります。しかし、東京地裁の判決が既に出ているので、 特許自体が存在しないのに、その特許を侵害しているとして、損害賠償の支払い命令が存在しているという、けったいなことになって しまいました。(現在、サミー、ネットは東京地裁の支払い命令を不服として東京高裁に控訴中です。)

 アルゼとしては、損害賠償請求の基となる特許が無効となってしまうと困りますので、特許庁の無効審決の 取り消しを求めて東京高裁へ提訴しました。そして平成17年2月21日、ようやくのこと、アルゼの請求を棄却する判決が 下されました。
(平成17年2月21日、東京高裁判決文はこちら)

   前述した通り、日本放送問題で何もかも吹っ飛んでいるニュース報道ですが、特許侵害での日本史上最高額の損害賠償に関する 記事ですので、ささやかながら、当方サイトで紹介しておきます。

(注:無効審判)
 特許は審査が終了し、めでたく特許として登録されれば、権利満了期間まで絶対に安泰かという とそうではありません。
 現在ではなくなっていますが、以前には異議申立という制度がありました。この制度は、特許になってから6ヶ月の間であれば、 誰でもその特許に対して文句がいえる、という制度でした。つまり、これこれの理由で特許として登録されるのは おかしい、と異議を申し立てるのです。
 特許庁では、この異議申立一つひとつに対して対応していかなければなりませんでした。さらにこの異議申立は誰でもできるので、 ライバル会社のダミーと思しき人物が、やたらめったらと異議をとなえます。一人の人間が多くの特許に対して異議申立を行っていました。
 さらには、このようなダミーと思しき人物が複数存在し、人手不足の特許庁としては、異議申立への対応だけでも大変であった であろうと思われます。
 一般には目に付かないクローズドの世界では、こんなおかしな場所で税金がムダに使われていました。しかし、 このムダは特許庁の責任ではありません。一般企業の責任によるものです。現在、税金のムダ使いが叫ばれていますが、 意外とムダ使いの原因となっている張本人が、叫んでいるケースがあるのかもしれません
 この異議申立制度があった時代では、紛争の当事者のみが無効審判の請求ができることになっていました。今回のアルゼ とサミーの紛争では、この当時の無効審判制度での審決です。
 現在では異議申立制度は廃止され、無効審判のみとなっています。そして、現在の無効審判はだれでもが請求できることと なっています。それではまた、異議申立のようにダミーがバンバンと無効審判の請求をするではないかと思われるかも 知れませんが、必ず請求した本人が表に出なければならないようになって おり、ダミーが使いにくい制度になっています。
 また、無効審判請求には期限は定められていません。従って、特許の権利が切れた後でも請求することができます。

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