前号に続き、被災地ボランティアの報告をします。
今回は、被災者の方を訪問し、要望をお聞きし、行政に届ける黒書としてまとめる活動について報告します。
現地での活動は、この活動が中心となりました。
私が最初に参加したのは、青年ボランティアセンターのあった登米市の市営住宅の訪問活動でした。
この市営住宅は、おもに登米市の東に位置する南三陸町からの避難者を受け入れていましたが、私がお話を聞いたのは、登米市内で、地震により自宅が「全壊」となり、避難してきた方でした。
飲食店の経営をされていた50代の女性でした。「これから商売をやり直すことはできないけど、せめて住宅は建て直したい。
でも、『全壊』なのに、補助は200万円ほど。
せめて500万円は出ないと、とても建て直しはできない」という訴えは、特に印象に残っています。
そのほかにも、仕事もなく、収入もないため、貯金を取り崩して生活していること、利用できる支援制度を問い合わせたときの行政の対応の不親切さ、スーパーが遠くて不便なこと、など次々と訴えられ、本当に切実でした。
この女性は、話の最後に、「こういう話は、地元同士ではなかなか話せない。話して少し気が楽になった。」と言ってくれました。
話している途中、いままでのことを思いだして、涙ぐみそうになるときもあり、話を聞くこと自体が求められていると実感しました。
また、石巻市の在宅被災者への聞き取り調査では、細い路地に入ると道がガタガタ、街灯がなくて危ない、交流の機会がなく孤立している、など、様々な要望が出されました。
これらは要望書としてまとめ、現地の方が、後日、行政に提出したそうです。
この活動を通してわかったこと、いま被災地に必要だと感じたことをまとめます。
1つは、在宅にいる被災者の実態把握が遅れていることです。現地の方の話によれば、この間、公務員を減らしたり、市町村合併により自治体が大きくなったりしたことが原因となっているようでした。
話を聞いた在宅被災者の多くは、「行政からの情報がない」「支援も物資もほとんど届かない」と話されていました。
それだけに、私たちが現地で取り組んだ、聞き取り調査は、とても大事な活動でした。
被災地では、まだまだ困難な状況が続きます。
こうした1人ひとりの声や要望が、解決することなしに、復興はない、と思いました。
もう1つは、震災前から起こっていた問題が、震災後に深刻化している、ということでした。
雇用が少ない、スーパーや医療機関が遠い、近所の交流がなく孤立、などは、以前から問題になっていたことで、全国で起こっている問題です。
この富士河口湖町でこうした問題の解決をめざすことは、被災地の復興にもつながる、と思います。
簡単ではありませんが、がんばりたいです。(終わり)
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