八十島型
ホームページをリニューアルしたと思ったら、いきなりあまり知られていない艦を取り上げてしまいました。この艦については、よほど艦船をご存じの方かモデラーでもない限り知る人はいないと思います。たった2200トンなのに一応巡洋艦なんですよ〜。
なんとも数奇な運命をたどったこの巡洋艦について追ってみましょうか。
艦型の類別は、勿論軍艦で乙巡洋艦に当たります。同型艦は八十島と五百島。
最大の特徴は鹵獲艦であったことと、なぜか日本製であったことでしょう。
帝国国内の造船所で竣工した後に、支那事変の最中に我が軍機の爆撃を受けて破損・擱座していた物を捕獲、整備した物でした。規模から言えば駆逐艦(ちょっと間違えば大型水雷艇)ほどなのですがなぜか巡洋艦に類別されました。
実は軍艦としては大した特筆するべきところがない艦なのですが、その数奇な運命に惹かれて掲載しました。
艦型としては割と洗練された形で、我が国の造船技術を表します。
兵装としては、排水量の割に貧弱ですが外国への輸出艦であるということでしょうか。
しかし魚雷発射管の口径が45糎とは……航空魚雷並ですね。
主砲(高角砲):12糎単装砲 2門
副砲 : 無し
雷装 : 45糎連装魚雷発射管 2基 4門
機銃 : 25粍3連装 5基 15挺 (当初8基 16挺)
単装 12挺
13粍単装 8挺
爆雷 : 不明
航空機 : 無し
デリック : 中型 1基
基準排水量: 2200トン
速力 : 22.0ノット 航続力:不明
軸馬力 : 9500馬力
主機 : 艦本式タービン 2基 2軸
全長:109.8メートル 最大幅:11.9メートル 水線長:106.7メートル
八十島
昭和10年9月中華民国軍艦「平海」として進水 昭和11年9月播磨造船所で竣工
昭和12年9月揚子江岸で我が軍機により小破擱座 捕獲
昭和19年6月10日整備完了・海防艦籍に編入 9月二等巡洋艦に変更
昭和19年11月護衛戦隊旗艦設備増設
昭和19年11月25日ルソン島近海で敵機により被弾沈没
五百島
昭和6年10月中華民国軍艦「寧海」として進水 昭和7年9月播磨造船所で竣工
昭和12年9月揚子江岸で我が軍機により中破擱座 捕獲
昭和19年6月18日整備完了・海防艦籍に編入
昭和19年9月19日御前崎南方で敵潜「シャッド」の雷撃を受け沈没
排水量はともかくやっぱり兵装と速力は水雷艇レベルですね〜♪。