椿姫  Die Kameliendame  The Lady of the Camellias
アレクサンドル・デュマ(小デュマ)の小説によるジョン・ノイマイヤーのバレエ

マルシアに


世界初演
1978年11月5日  シュトゥットガルト  シュトゥットガルト・バレエ

ハンブルク初演
1981年2月1日  ハンブルク・バレエ

音楽
フレデリック・ショパン
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振付・演出・舞台美術
ジョン・ノイマイヤー


衣裳
ユルゲン・ローゼ


世界初演の主な配役
マルグリット・ゴーティエZ  マルシア・ハイデ
アルマン・デュヴァルZ  エゴン・マドセン
マノン・レスコーZ  ビルギット・カイル
デ・グリューZ  リチャード・クラガン
プリュダンス・ドュヴェルノアZ  ジーン・アレンビー
ガストン・リューZ  ウラディミル・クロス
ナニーナZ  ルース・パペンディック
デュヴァル氏Z  リード・アンダーソン
オランピアZ  ノラ・キンバル
公爵Z  マルシス・Lesins
N伯爵Z  マーク・A・ニール

ハンブルク初演時の主な配役
マルグリット・ゴーティエZ  マルシア・ハイデ
アルマン・デュヴァルZ  ケヴィン・へイゲン
マノン・レスコーZ  リン・チャールズ
デ・グリューZ  ジャン・クリストフ・マイヨー
プリュダンス・デュヴェルノアZ  マリアンヌ・クルーゼ
ガストン・リューZ  イヴァン・リスカ
ナニーナZ  ベアトリス・コルデュア
デュヴァル氏Z  フランソワ・クラウス
オランピアZ  シャンタル・ルフェーヴル
公爵Z  ヴィクター・ヒューズ
N伯爵Z  マーク・ダイアモンド

あらすじ

プロローグ
財産の処分:ある人物の死により豪華なアパルトマンにあるすべてがオークションにかけられている。亡くなった女主人の忠実な召使であったナニーナは、競売人とそのアシスタントの間で、今までの生活に別れを告げている。
興味津々な訪問者たち、何かを買おうとしている人たち、故人の知人や友人らは、品物の下見をしている。彼らに交じって老紳士デュヴァル氏の姿が見える。
一人の青年、アルマン・デュヴァルが正気を失っているかのように、息せき切って入ってくる。彼は慣れ親しんだ周りの物に気付くと、ほとんど虚脱したようになる。老紳士は愛しそうに息子を支え、息子は思い出によって乗り越えようとするかのように、父に経緯を話し始める。

第1幕
ヴァリエテ劇場でのこと。 ステージではバレエ“マノン・レスコー(愛と豪奢の板ばさみになったロココ様式の時代の高級娼婦の有名な小説)”が上演されていた。 パリでもっとも美しく人気のある高級娼婦の一人であるマルグリット・ゴーティエはそれを観ていた。 マノンの苦境に心を動かされ、マルグリットは自分にどこか共通しているものを見出すが、同時にマノンに自分自身が投影されていることには強く反発を覚えた。
アルマンは遠くからマルグリットを賛美していたが、今まで彼女に面識を得ないでいた。 そしてこの劇場で彼はマルグリットに初めて紹介された。 今や彼は強い幸福感に包まれ、高揚感の中でバレエを観いてると、自分がマノンの忠実な恋人であるデ・グリューと似通ったところがあるように思った。 一瞬、彼は自分のこれからがデ・グリューの運命に映し出されているのではないかという恐れを抱いた。
公演の終了後、退屈なN伯爵がいるにもかかわらず、マルグリットは自分の気を紛らすために、アルマンの友人のガストンや幾分俗っぽいところのある高級娼婦のプリュダンスを自分のアパルトマンに招いた。 アルマンも一緒に行き、マルグリットは彼を使って若いN伯爵をからかい、伯爵は嫉妬に駆られてその場を去った。 突然、マルグリットは咳の発作に襲われて退席した。アルマンは彼女に助力を申し出ようとして彼女の後を追い、激情に駆られて彼女に愛を告白した。 マルグリットは彼の情熱的な告白に心を動かされるが、本当だろうかと思い、彼にはよそよそしくしていた。
彼らの関係は時間とともに深まっていった。 マルグリットはいつもの生活、すなわち、パーティーからパーティーへ、彼女の崇拝者から崇拝者へ、公爵から若いN伯爵へとめまぐるしく渡り歩く生活を続けていた。 しかしアルマンはいつも彼女を待っていた。 公爵は彼女の体調がすぐれないことを心配して、彼女が好きに使えるように田舎に別荘を用意するが、そこへもアルマンはついて行った。

第2幕
田舎にいてさえ、マルグリットは公爵の経済的援助で、目まぐるしく豪奢な生活スタイルを続けていた。 そうなることはわかっていたのだが、公爵とアルマンは対決する時を迎えた。 初めてマルグリットはみんなの面前でアルマンを庇うが、それは豪奢で庇護のもとにある生活を捨てるということを選ぶことだった。 公爵も彼の客も立腹して立ち去った。アルマンとマルグリットはついに二人きりになり、人目を気にすることなく愛し合った。
この幸福が思い出すしかない過去であるという思いは、アルマンにとってあまりにも大きいので、彼は再び倒れる。深く感動しているアルマンの父、デュヴァル氏はこのことで自分が果たした役割を恥じている。
デュヴァル氏は自分の息子の生活状態について聞いたとき、息子には知らせずに、田舎の別荘のマルグリットの下を訪れたのだ。彼と彼の何も知らない娘のためにマルグリットにアルマンからはなれるように頼んだ時に、マルグリットは彼をあきらめることによって彼女の愛を証明しようとしたのだ。そしてアルマンがいないときにパリにもどり、絶望的になって以前の生活に身を投じていった。
アルマンは冷静になって彼が戻ってきた時に家の中が空っぽになっていた状況を語る。
彼がむなしくマルグリットを待っていたとき、ナニーナが彼にマルグリットの手紙を持ってきた。 驚いたことには、それには彼女が彼と別れ、以前の生活に戻ると書かれてあった。信じられないまま、彼は急いでパリにもどり、一晩探した後で、彼女が他の男の腕の中にいるところを見たのだ。

第3幕
しばらくたって彼らはシャンゼリゼで偶然に出会った。マルグリットは他の美しい高級娼婦仲間のオランピアと一緒にいた。アルマンはオランピアにすぐに言い寄って、彼が傷ついたことでマルグリットに仕返しをしようとした。
すでに死に至る病に侵されていたマルグリットは、最後にアルマンを訪ねてきて、自分に屈辱を与えるのをやめてくれるように頼み、そしてお互いの彼らは再び愛し合った。彼らが眠っているときにマノンの悪夢がマルグリットを苦しめた。彼女は目覚めて、約束を守ろうと思い、恋人を後に何も言わずに去っていった。アルマンは1人取り残されてしまった。
それから彼は大きなパーティーのみんながいる前で、彼と付き合ったことに対する報酬としてお金がいっぱいに入った封筒を彼女に投げつけて彼女の心を傷つけたのだ。彼女は立っていることができなかった。
ここでアルマンが父に語った話は終わる。彼の父はその話を深く心を動かされ聞いていた。そして彼らは別れる。アルマンがひとり残っていると、彼がやって来たことを聞いたナニ−ナが戻ってきてマルグリットの日記を渡す。アルマンはそれを読み始め、彼女の健康が急速に損なわれていったことを知る。彼はマルグリットに同伴し最後の観劇となった“マノン・レスコー”を思い出す。マノンはアメリカに追放され、貧困のうちにいったんは権力の手から逃れるが、彼女の忠実な恋人のデ・グリュ−に抱かれて死ぬ。 彼は彼女の流刑について来たのだった。 病魔と絶望に打ちひしがれて、マルグリットは劇場を後にしたが、バレエの登場人物は彼女が高熱状態にあるときに夢となって彼女を苦しめ、彼女の思い出や希望に入ってくる。 彼女はもう一度アルマンに会いたかっただけなのだ。 羽振りのよかったときの友達にも見捨てられ、彼女の恐れや希望を日記に記していき、それは今ナニ−ナからアルマンに渡されたのだ。マルグリットは死んでいく、孤独と貧困のうちに。

使用音楽詳細

プロローグ
Largo aus der Sonate h-moll, op. 58 (1844)

第1幕
Concerto N- 2 pour piano et orchestre f-moll, op. 21 (1829)

第2幕
Walzer Nr. 1, As-Dur (1835) aus 3 Valses brillantes, op. 34
3 Ecossaises (1926) aus Nocturne, Marche funebre et 3 Ecossaises, op. 72
Walzer Nr. 3, F-Dur (1838) aus 3 Valses brillantes, op. 34
Largo aus der Sonate h-moll, op. 58
Prelude Nr. 2 a-moll, Nr. 17 As-Dur, Nr. 15 D-Dur aus 24 Preludes, op.28 (1836-39)
Largo aus der Sonate h-moll, op. 58
Prelude Nr. 2 a-moll, Nr. 24 d-moll aus 24 Preludes, op. 28

第3幕
Grande fantaisie sur des airs polonais pour piano et orchestre A-Dur op. 13 (1828): Largo ma non troppo, Andantino, Allegretto gestrichen, Vivace
Ballade g-moll, op. 23 (1830-31/1834)

Romanze, 2. Satz aus dem Grand Concerto pour piano et orchestre e-moll, 0.op. 11 (1830)
Largo aus der Sonate h-moll, op.58