ボランティア活動101




   障害者のためにあなたの力の100分の1を…

 最近、わが国でも目の見えない人々に対するボランティア活動が活発に行われるようになってまいりました。各地域の中で点訳奉仕、録音奉仕、読書奉仕、カナタイプ指導の奉仕をはじめリクリエーション活動への奉仕、さらに進んでは盲児のための絵本作り、あるいは弱視者のための拡大写本など積極的に行われております。しかしその数はまだまだ十分とはいえません。施設や団体などが行きとどいた障害者への福祉を図るために多くのボランティアを待ち望んでいます。また一面なんらかの奉仕活動をしたいと希望していながら、その手がかりが見出せないで過ごしている人も多数いると思われます。こんな意味で盲人関係の施設の一覧をまとめてみました。奉仕活動の道しるべになってくれればこの上ない幸せです。


   社会福祉法人 日本盲人職能開発センター

 このセンターは目が見えないために、普通の文字が自由に書けず、意思表現の自由を失っている全国35万人の視覚障害者にカナタイプ利用によりコミュニケーションの拡大をはかり、日常生活や職業生活を容易にするために、昭和38年10月10日「目の愛護デー」を記念して財団法人日本盲人カナタイプ協会の発足をみました。同協会は多くの皆様のご理解あるご支援により年と共にその事業の充実をみてまいりましたが、視覚障害者のカナタイプ利用の意欲が全国的にたかまると共に、録音タイプ速記の新たな職野が開かれ、職業自立を希望する者が著しく増加してまいりました。これらの実情にかんがみ、これが事業の拡充強化をはかるために昭和51年9月10日社会福祉法人日本盲人職能開発センターの事業を開始したのであります。当センターでは、社会福祉事業法による第一種事業の身体障害者通所授産施設「東京ワークショップ」、第二種事業による相談室、オプタコン訓練センター等の設置、運営を行うと共に視覚障害者の職能訓練、新職業開発、カナタイプ指導、日常生活指導、留学生援助事業、さらにはボランティア、ガイドヘルパーの講習会、福祉映画の貸出し等を行い、わが国視覚障害者の文化の向上と福祉の増進をはかっております。


   編集後記

 わたくしは人生の途中で両眼失明という、苦い杯を余儀なく飲みほす結果となりました。以後40年間、盲学校で盲児の指導に、また国立東京視力障害センターで中途失明者の更生指導に、そして順天堂大学眼科クリニックセンターでは、失明患者のカウンセリングに、なお東北大学視覚欠陥学教室では指導者の養成にあたるなど教育と福祉の仕事に取り組んでまいりました。現在は社会福祉法人日本盲人職能開発センターの所長として盲人録音タイプ速記を主体とした、わが国の新たな盲人職業開発をはじめ、盲人用読書器「オプタコン」の指導、普及、コミュニケーション拡大のためのカナタイプ指導、ボランティアの育成など各種事業に従事しております。今日までの経験を通して痛切に感じさせられましたことは見えないということを正しく理解していただくことがいかに困難であるかということです。しかし、また、正しい理解はそんなに難しいことではなく、ささいなところにあることに気づきました。その意味で目の見えない人に接していただく場合の留意点を具体的にまとめてみました。ただし紙面の都合ですべてに及ぶことができませんでした。みな様のよりよい御意見をいただき今後の参考にしたいと思っております。

 なお、編集にあたり御協力いただきました松本三智恵、井上英子の両氏に深く感謝いたします。


     発行日  昭和50年6月1日第1刷発行

     昭和57年8月1日第24刷発行

     発行所  社会福祉法人 日本盲人職能開発センター

     〒160 東京都新宿区本塩町10−3

     電話(03)341−0900(代)

     編集者 松井 新二郎




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