はり施術に関する件
(昭和二九年九月三〇日)
(医発日記第二六七九八号)
(あんま師はり師柔道整復師中央審議委員会あて京都区検察庁検察官事務取扱検事照会)
捜査の必要があるので標記の件につき左記事項調査の上回報を煩わしたく刑事訴訟法第百九十七条第二項に則り照会する。
記
1 神経痛治療の為のはり施術として、通常行われる方法如何。
2 長さ一寸六分の鍼の竜頭を折り取り他の部分を患部に全部打ち込み放置して置く施術方法ありや。
3 あるとすればその具体的事例に於ける回数、成功不成功等の治療効果、行われる地域等。
4 斯る施術方法に関する取締法令規則又は内規申し合せ等ありや。
5 その他参考事項。
(昭和29年一○月一九日 医収第四○四号)
(京都区検察庁設楽検事あて厚生省医務局長回答)昭和二十九年九月三十日京都区発日記第二六、七九八号を以て、あんま、はり、きゅう、柔道整復中央審議会に対して照会のあった標記の件については、左記のとおり回答する。
1 鍼(主として銀、合金製の太さ○・○○二糎、長さ一寸三分から一寸六分のもの)を消毒後当該神経径路にある経穴に刺入し手技を施したる後抜針とする。
2 あり。
3 主として純金製長さ一寸三分―一寸六分、太さ○・○○二糎程度のものを消毒後経穴部位に刺入し、竜頭を折り取り他の部分を皮下組織又は筋肉(皮内に刺入するものもある)内に永久に埋没せしめる。回数は症状によりて一定しない。
適応症としては神経痛の他に冷え症、虚弱体質に効ありとせられる。鍼の刺入残置による障害については鍼の性状(柔軟なること細きこと)及び刺入箇所の選定を適確にすること並びに消毒措置を完全に行うこと等により組織、臓器等の損傷、針の迷入による二次傷害を来すことはないと謂われるが施術に際し相当の技能知識を必要とすることはいうまでもない。
この方法は所謂置針法なる施術名の下に古来より全国に亘って行われているが現在当該治療法を行う施術者数は不明である。
4 はり術の業務については、あん摩師はり師きゅう師及び柔道整復師法第四条及び第六条に規定するものの外特に定められていない。
5 昭和二十八年末現在におけるはり師数は別表のとおりである。
(別表 略)