医業類似行為について 

(昭和四八年二月一日)

(医第一一〇六号)

(厚生省医務局長あて宮城県衛生部長照会)

 最近、本県において「電波治療器取扱技術通信講座入学募集」と称する別添印刷物を公衆に配布する者があり、医療行政上その施策に苦慮いたしておりますので、左記各項とあわせて至急ご教示くださるようお願いします。

 1 電波治療器技術者という名称(法的にはいわゆる無資格)で営業所に治療器を展示し客(病人)に販売供給し、その正しい使用法等を具体的に指導するのは、器械の販売に付随した使用方法の説明等の範囲に属する行為とは認め難く、医業類似行為を業とするものと認められるがいかがか。
特にこのような事例のように会員組織を結成して、会員間に器具を貸与し、講習会を開催して器具の効能、使用方法等を詳細に教示して、これを使用させる場合についてもあわせてご教示願いたい。

 2 このような事例は全国的にわたるものと思われるが、通信講座修了後、無資格にもかかわらず医業類似行為を業とする者の頻発する恐れがあるので、今時の段階においてどのような指導を行なえばよろしいか。

 3 別添印刷物のように脳卒中、高血圧等器具の効能について広告するのは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第七条第二項に規定する技能と解してよろしいか。

別添 略

 

(昭和四八年二月二〇日医事第一三号)
(宮城県衛生部長あて厚生省医務局医事課長回答)

 昭和四十八年二月一日医第一一○六号をもって照会のあった標記については、次のとおり回答する。

1について

 御照会の事例のごとく医業類似行為用器械の販売を業とする者が、特定の場所に器械を常置し、公衆又は特定多数人に対してパンフレット等により当該器械の使用方法を教示し、「その場」においてこれを使用せしめ、器械の損料等の名目で事実上の使用料を徴収する行為を反覆継続することは、器械の販売に附随して必用な使用方法の説明等の範囲に属する行為とは認め難く、医業類似行為を業とするものと認められ、従って、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条違反を構成するものと解されるが、無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決(昭和三十五年一月二十七日、大法延判決刑集第一四巻第一号三三頁〔本綴収載昭和三十五年三月三十日医発第二四七号の一参照〕)との関係上、取扱いについては慎重を期されたい。

 (なお、御照会の電波治療器を使用する療法は、体に異常のある者又は疾病を有する患者については、その異常状態、疾病の種類・程度の如何によっては、人体に危害を及ぼすおそれが全くないとはなし得ないと思料する。)

2について

 前記1により、営業所等の特定の場所において器械を使用せしめる行為を反覆継続することのないよう、厳に販売行為に限るべく関係方面へ指導徹底されたい。

3について

 当該医業類似行為の効能について広告するのは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第七条第一項違反を構成するものと解する。