無免許あん摩師の取り締り等について  

 

(昭和三二年一一月二〇日)

(発医第一六六号)

(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)

 最近、都会、温泉地等において、無資格であん摩業を営む者が増加する傾向がうかがわれ、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の適正な運用を期するうえからも放置し難い状態を惹起している。
かかる無資格あん摩業については、第二十二特別国会において、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の一部改正が行なわれた際の衆、参両院社会労働委員会の附帯決議においても、その根絶を要望されたところであるが、かかる事態の根絶を期するためには、あん摩師の業界等に対し必要な指導を強化するとともに、これと併行して無免許あん摩師の取締を徹底することが必要であると思われるので、概ね左記事項に配意のうえ遺憾なきを期せられたい。

 なお、本件については警察庁とも打合済みであるから申し添える。

 1 都道府県衛生主管部局は、都道府県警察当局との連絡を密にし、衛生主管部局の行う行政指導と警察取締とが下部機関に至るまで有機的に連携して行なわれるよう配意し、総合的効果をあげるよう努めること。

 2 温泉地、観光地その他無免許あん摩師の多い地域に重点を置いて、あん摩業界の実態把握に努め実情に応じ適切な指導方策を講ずるとともに警察取締上必要と認められる資料情報等は努めてこれを都道府県警察当局に提供し、効率的な取締が行なわれるよう協力すること。

 なお、衛生主管部局において無免許あん摩師に関する事犯を認知した場合には、証拠となる資料をできる限り詳細に整備したうえ、警察当局に対し告発の措置をとること。

 3 最近免許所有者で、免許を有しない若い婦女子を雇傭し、住込みその他により短時間の施術の手ほどきをし、旅館、料亭等に出張させて施術を行わしめ、その報酬を一定の割合で分配しているものがあるが、この種業者については、無資格あん摩業の共犯としての告発、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第九条による業務の停止又は免許の取消の行政処分等の措置を行うこと。なお、いわゆるトルコ風呂等において行われるもみ、たたき等の行為であっても時間、刺戟の強さ等から総合的に判断してあん摩行為と認められる場合があるが、かかる行為を業として無資格者が行うことはあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第一条の規定違反に該当するので、この種の業務を行っている者に対しては、実情に応じ、警告を発し、又は告発等の措置をとること。

 4 あん摩師の学校又は養成施設の生徒が免許を受ける以前において施術を業として行うことは明らかに、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法に違反するものであるから、管内所在のあん摩師養成施設の長に対しかかる行為を行わせないよう連絡指導し、その絶無を期すること。

 5 あん摩業の実態を把握し、あわせて無免許あん摩師の取締りに資するため、衛生主管部局において業者団体と連絡をとり、例えば、免許所有者に対して、免許証の写又は免許所有証明書等免許者であることを証明する証票を発行し、営業に際してこれを携行させる等の措置を考慮すること。

 6 無免許あん摩師の絶滅を期するためには主要な需要先である旅館、料亭等の営業者の協力に俟つところが多いので、その積極的な協力を要請し、無免許あん摩師と知りながらこれを客に仲介し、施術を行わせることのないよう徹底した指導を行うとともに、衛生主管部局においてこれら業者に対して免許所有者であるか否かを識別するための資料として当該地区の免許所有者名簿を作製配布する等の措置を考慮すること。