日本鍼灸師会の新聞広告について 　

　

(昭和三一年八月二三日)

(医第八九九号)

(厚生省医務局長あて熊本県衛生部長照会)

　昭和三十一年七月十一日付毎日新聞熊本版及び同年七月一日付毎日新聞下関版に前者は日本鍼灸師会熊本県支部会員後者は日本鍼灸師会山口県支部会員名義をもって別紙(新聞切り抜)のとおり「はり師、灸師法施行十周年」と題しはり、きゅうの施行の方法及び技能にわたる誇大な記事が掲載されてありますので日本鍼灸師会熊本県支部長について目下広告の責任を追及中でありますが、これに対する広告違反の有無について貴局の御見解を指示せられたく照会いたします。

　

祝　はり師・灸師法施行十周年 はり師灸師法施行十周年を迎えて

　わが国古来の伝統を誇る「はり・きゅう」療法は近年欧米諸国でも広く研究され、特にドイツ、フランスでは医師が競って臨床に応用し、その真価が発揮され、賞賛好評を博しています。特に最近医学者の科学的研究が盛んになり治療法も進歩しストレス学説、神経性生理学説等で灸が

○ 消炎作用
○ 抗アレルギー作用
○ 植物神経機能平衡作用
○ 動脈硬化抑制作用
○ 諸種の炎症性疾患
○ 回春強精

　等に効めがあるとされています。最近の新薬でも臨床的には副作用を起したり、完全無欠とはいえません。かかる見地から、自然治療を理学的刺激によって驚異的効能を発揮する「はり・きゅう」、療法の真価を徹底熟知させて一日も早く老若男女を問わず活用せられ国民保健向上に利用されんことを望むものであります。

日本鍼灸協会熊本県支部会員 毎日新聞昭和31年7月11日熊本版

　

祝　はり・灸師法施行十周年

　はり師・灸師法十周年を迎えてわが国古来の伝統を誇る「はり、きゅう」療法は近年欧米諸国でも広く研究され、特にドイツ、フランスでは医師が競って臨床に応用し、その真価が発揮され、賞賛好評を博しています。特に最近医学者の科学的研究が盛んになり、治療法も進歩しストレス学説、神経生理学説等で灸が消灸作用・抗アレルギー作用・植物神経機能平衡作用・動脈硬化抑制作用等をもつことから諸種の炎症性疾患、関節炎・リューマチアレルギー性疾患ぜんそく・蕁麻疹・肝臓疾患・回春強精等に効めがあるとされています。最近の新薬でも臨床的には副作用を起したり、完全無欠とはいえません。かかる見地から、自然治療を理学的刺激によって驚異的効能を発揮する「はり・きゅう」療法の真価を徹底熟知されて一日も早く老若男女を問わず活用せられ国民保健向上に利用されんことを望むものであります。

日本鍼灸師会山口県支部会員
　　下関市上新地町
　　　　今富鍼灸療院　今富喜八郎
　　　　　　電話(2)七三九六番

毎日新聞　昭和三十一年七月一日第二六三六六号　下関版

　

(昭和三一年一○月三日医発第八七三号)
(熊本県知事あて厚生省医務局長回答)

　昭和三十一年八月二十三日医第八九九号をもって、貴県衛生部長から照会のあった標記について、左記の通り回答する。

記

　はり又はきゅうに関する一般的な事項を内容とする新聞広告は、それ自体は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第七条の制限を受けるものではないが、添付の昭和三十一年七月一日毎日新聞下関版のように、それが実質的に、はり業若しくはきゅう業又はこれ等の施術所に関するものである場合は同法同条に違反するものと解する。