12年間の活動にピリオド


 ハイム天白で詩吟を指導  小林玲岳さん、佳喜久さん




 下諏訪町特別養護老人ホーム・ハイム天白(久保田一司所長)の詩吟クラブを指導してきた日本詩吟岳風会下諏訪支部の小林玲岳さん(70)=本名・礼子さん、立町=と補佐役小林佳喜久さん(76)=社ヶ丘=が二十五日で、十二年間続けた講師を引退した。

 玲岳さんが同施設で詩吟を指導することになったのは、入所していた視覚障害者との点字の文通が切っ掛け。

 詩吟を教えてくれる人がいたら、との便りに「尿毒症で視覚を失ったものの、運良く命拾い。だれかのお役に立ちたい」と講師を快諾。三年三月から月一回の指導を始めた。

 詩吟クラブのほか、短歌・俳句クラブの作品を自身で吟ずるテープも作成、クラブの際に披露してきた。短歌などを佳喜久さんがテープに録音し、玲岳さんがそれを基に点訳して、佳喜久さんと二人が手分けで譜付けする。さらに譜付けをした短歌や俳句を練習を重ねて、テープに録音するという手間の掛かる作業を続けた。

 最終回になったこの日も「新年会好きなお刺し身久しぶりとてもおいしくべろりたいらぐ」など、入所者たちの作品が玲岳さんの吟で披露されると、クラブ員たちは大きな拍手で喜んだ。最後はいつも「不織庵機山を撃つの図に題す」(頼山陽)を朗々と吟じ、丸十二年の幕を閉じた。クラブ員たちもプレゼントを贈って感謝した。

 玲岳さんは「始めた限りは続けたいと思ってきたが、こんなにできるとは思わなかった。健康上の理由でここで辞めるが、皆さんにお会いすることが励みになり、私たちの勉強にもなった」と振り返る。今後は二十五年間学んできた詩吟の道をさらに精進していくという。

 久保田所長は「腹の底から声を出すことが、健康維持にもつながり、毎月楽しみにしている入所者は多い。ありがたがった」と話していた。


 岡谷市民新聞社様のご好意により、2003年2月26日の記事より掲載。



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