徒然なるままに





 昨冬の雪が、幾重にも降り、積もり庭一面を白くし、それでも、一月の雨と今日のように、春を思わせるような明るい日差しに雪が圧縮され、その量のなんと減ったことでしょう。

 そんな中、木立の根の周りは、土が顔を出しています。このような日差しが、続くとその輪郭は、大きさを増していきます。

 大人になってから、どうして木の周りは雪解けが早いのだろうと考えたことがありました。とても幼稚な事が、なぜこの歳まで気がつかなかったのかと思ったものです。福寿草も土の下で、つぼみを膨らませ、春を待っているでしょうか?

 いつも、治療室の窓から庭を眺め、その遠くに大洞山を望み、生垣の向こうを人や車が往来するのを感じたり、時々、訪ねてくれる鳥や、いつも決まった時間に、庭の隅を大回りして、時々こちらを伺いながらのんびりと猫が歩いて行きます。私は、此の窓からどれだけ多くの時間を望み、そして一分一秒たりとも同じ風景はないことを、そして此の窓に、どんなにか癒され、そして慰められてきたのでしょうか。

そしてこれからも、此の窓から、多くのことを学び、癒され慰められると思うと、心の奥の深いところから熱いものが込み上げてきました。

 私は、見慣れた風景の中に、いつもいたいと、そして風の音を感じて、季節を味わいたいと思っています。今日の春の日は、私にこんな事を教えてくださいました。


東筑摩郡坂北村 渡辺 みどり



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