朗読ボランティア「やまびこの会」のご紹介




 やまびこの会は、昭和55年6月現在地に、下諏訪町立図書館が開館した直後に図書館の呼びかけで発足し、昨年で20年になりました。

 どんな活動をしているかと申しますと、一言で言えば、視覚障害者目の不自由な方や、体が不自由で読書が困難な方々の目の代わりとしてのお手伝いです。すなわち、本や活字になった情報を朗読して、カセットテープに吹き込んでお届けする奉仕活動です。

 一冊の本をカセットテープに吹き込んで、目の不自由な方々にお届け出来るまでには、非常にたくさんの時間と労力を必要とします。まず、本の内容をしっかり理解し判らない文字や人名・地名など、一字一句に至るまで疑問があれば、よーく調べてから、下読みを繰り返し、耳で聴いて理解出来るように、配慮した読み方でカセットテープに吹き込みます。

 そのためには、常に活舌発音発声の勉強や、難解文字を調べどう読むかを検討したり、新しい情報を得るための学習会が必要となります。そこで、やまびこの会ではNHKの巡回セミナーやリーダー研修会、プロのアナウンサーによる 朗読指導、会員相互の研修や情報交換など、数々の講習会や研修会を重ね、より聴きやすいテープ作りを心掛けております。

 吹き込みは、現在図書館に録音室がないので、各自の家でやっておりますが、車の騒音や周囲の雑音が入らないよう気を配りながらの録音は、結構大変な作業です。でも、こんな苦労ももうすこしで解決されそうです。本年度新築予定の新しい図書館には、録音室が設置されるそうですから、今から楽しみにしております。

 本や著作物には、著作権というやっかいな決まりがあって、難しい字を省いたり、朗読者が勝手に解釈したり、あいまいな読み方をすることは許されません。書いてある文字や情報は全てそのまま伝えなければなりません。極端な例では、たとえ誤植や印刷ミスと思われる場合でも、勝手に直すことは出来ません。本に書いてあること全てを、そのままを情報として伝えるのです。また、朗読者がどんなに気を配って正確に読んだつもりでも、読み間違いや勘違いの間違いも案外多いものです。

 間違いを正すために登場するのが、校正係です。校正係の仕事というのは、本と読み上がったテープを聴きながら、照らし合わせて一字一句の違いもないようにチェックする作業です。もし、違っていれば、朗読者はきれいに訂正しなければなりません。

 校正・修正を経て録音テープが完成します。利用者に貸し出す迄の仕事は、作業係が担当します。せっかくのテープを操作ミスで消してしまったり、破損したときのために、ダビングしてマザーテープを確保します。そして、貸出テープやケースには、点字で本のタイトルやテープ巻数の表示を付けます。こうしてようやく、利用者に発送することができます。

 現在は、90分テープを使用していますが、テープ1本作るには、8時間から十数時間かかります。1冊250ぺージくらいの本で、5巻から6巻くらいですから、そのために必要な時間と労力は大変なものです。

 これまでに完成した朗読テープは、2,156巻、414冊。述貸出総数は、3,554冊図書館2Fのやまびこの部屋から、毎週土曜日の午後利用者に発送されております。  最近は、インターネットの普及によって、私達の朗読したテープは、全国の目の不自由な方々に利用されております。ちなみに、昨年は、北は岩手県立点字図書館から南は、大分県点字図書館などへと全国に向けて、76冊の録音図書が旅をしました。

 また、最近では、録音図書もCD化の時代を迎えており、視覚障害者の方も晴眼者と同じように、みたいぺーじを即座に見る(聴く)ことが出来るようになりました。

 やまびこの会では、本の朗読のほかに、毎月発行される町の広報『広報しもすわ』を60分テープに吹き込んで、目の不自由な方々に町のことを伝えるお手伝いをしております。

 もう一つ、やまびこの活動で喜ばれているテープに、『やまびこ通信』があります。新聞・雑誌・週刊誌・ダイレクトメールなど活字による情報は、目の不自由な方にとっては限られた僅かなものになってしまいます。そこで、少しでも役立つ情報を提供しようと始めたのが、月刊『やまびこ通信』です。

 このテープには、新聞のコラム・シリーズもの・お料理やファッションのこと・雑誌や週刊誌などから役立ちそうな情報や、地域の行事や話題、例えば、介護保険のこと・新しい日赤の内部の説明や、かりんちゃんバス・新図書館建設の記事などを、 音楽や街の声・鳥の声など盛り込んで、季節感あふれるテープを作っています。下諏訪やまびこの会にしか無いオリジナルテープを、発信しております。

 テープ作りは大変ですが楽しい作業です。また、年1回の利用者との交流会や、利用者の皆さんから点字の手紙やお礼の電話など頂いて、感激したり教えられることの多さに感謝することしばしばです。ランティア活動は、受ける側との信頼関係が大切です。今使える自分たちの『目』が、少しでもお役に立てればとやまびこの会では、この活動を続けています。また、やまびこの会では会員相互の連携と親睦を図るために、年6回会報を発行しております。

下諏訪町やまびこの会 土田加代子



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