疣贅(ゆうぜい・いぼ)
人の皮膚は、表皮・真皮・皮下組織から構成されていて、身体を外から覆って保護しています。皮膚には、汗腺や脂腺・知覚神経などがあり、汗や脂肪を分泌する他、呼吸や知覚・体温調節などの大切なはたらきをしています。
また、皮膚は、「内臓の鏡」と言われるほど、内臓に何らかの異常が生じたときは、皮膚に様々な現象が出現しますが、胆嚢炎や肝硬変などに現れる黄疸はよく知られている症状の一つです。
医療機関で治療をするほどではないが、胃腸の機能が低下したり、慢性的な胃腸炎や潰瘍が続くと、皮脂腺から脂肪の分泌が現象したりして、皮膚がざらざらして、艶がなくなってきます。そして、しみが現れるのもやはり内蔵のどこかに異常があるときです。
もう十数年前になりますが、30歳後半の女性が、円形脱毛症で来院したことがあります。脱毛症は鍼治療で、四ヶ月程度で治ったように記憶していますが、後になって患者さんが言うには、長年指にできていた疣贅(いぼ)がなくなっていたと報告がありました。他にも、肩甲間部に幾つも疣贅があった患者さんで、鍼治療をしている内に、疣贅が完全に消失してしまったという経験があります。
長年治療をしていると、鮫肌の皮膚をしている患者さんに遭遇します。上腕部や大腿部に多く見られるように思いますが、特別鮫肌の治療をしているわけではないのに、継続して鍼治療をしている内に、皮膚のざらつきも消失して、滑らかな皮膚が見られるようになります。
これらは、鍼の刺激により、新陳代謝がよくなるとともに、皮脂腺からの脂肪の分泌が盛んになると思われます。ある化粧品会社では、女性の美容の中に東洋医学である鍼灸を取り入れているとか聞いています。
鍼灸は、自律神経失調症や、頭痛・肩こり・腰痛・変形性膝関節症倦怠感など、不定愁訴大変効果があることは皆さんもご存じのとおりです。これは、自律神経の調節をして、身体のホメオスターシス(恒常性)を保ち、免疫正を高めたり、新陳代謝を盛んにして、病気の治療や健康を保持に役だっていることです。
今回は、特に経穴には限定せず、全身の調整を主として治療しています。
つぼの部位については、下記の経穴名検索をご参照下さい。