変形性股関節症




 股関節は骨盤と下肢のつなぎ目の関節で、骨盤と大腿骨から構成されており、大腿骨の頭の部分はボールのように丸く、骨盤の側面はお椀の形をしています。この大腿骨頭が骨盤側面の寛骨臼の中にすっぽり填り込むような構造になっているため、前後左右に曲げたり、回旋などの運動が出来るということです。

 股関節は形状から別名臼球関節とも言われますが、この臼形の出来具合が悪いと(臼蓋形成不全)大腿骨頭の一部にしか体重がかからない結果、無理が重なって痛みが出てきます。

 臼蓋形成不全とは、赤ちゃんのときの臼蓋の発育が不十分だったもので、それが中年以降こうした障害を起こしてきます。

 変形性股関節症は原因がわからないものもありますが、日本では大部分はこの臼蓋形成不全に由来するようです。

 症状は痛みと可動域低下が主ですが、跛行(異常歩行)がおもな症状の人もいます。症状が悪化すると、しゃがんだり靴下をはくなどの日常動作に影響が出てきます。

 日本人は杖を使いたがりませんが、歩行時の痛みを軽減し安定をはかり、病気の進行を遅らせるのには非常に効果的です。したがって、症状が軽ければ痛みをとる薬をのんだり、杖を使うことで十分のようです。どうしても、がまんできないときは手術をすることになります。

 患者Iさん(62歳)女性

10年前から、時々当院へ来院している患者さんです。2年前ころから左股関節から大腿部へ疼痛を訴えるようになりました。それと相前後して、転んだ際脊椎圧迫骨折を発症してしまいました。臼蓋形成不全があったわけではありませんでしたが、変形性股関節の初期症状も疑われましたので専門医を勧めました。

 患者さんの意向もあり、近くの開業医で治療をしながら、鍼治療も続けることにしました。患者さんには、圧迫骨折について説明した上で、安静が大事であることを告げました。しかし、家庭の事情もあり、どうしても安静にしていることも出来ず、無理が重なって脊柱は後弯し、前傾姿勢をとるようになってしまいました。

 加えて、股関節から大腿部への放散痛の増強と、仰臥位で股関節の進展が45程度という可動域制限があり、パトリックテストが出来る状態でもありませんので、とにかく一度でも良いから専門医の診察を受けるように再度勧めました。本人もその気になって、某病院の整形外科を受診し、股関節のレントゲン検査結果、変形性股関節症で大腿骨頭が摩滅していると診断されました。医師からは手術を勧められたようですが、手術する意志もないと堅く断ったとのことです。

 症状は疼痛が主で、背腰部から股関節・大腿部に痛みがあり、寝返りや臥位から起きあがりなどの動作が用意ではなく、歩行は杖をつくようになりました。

 治療は、血液循環を改善する目的で、ほっとパックで患部を温め後、鍼をしてレーザーを照射するという方法をとりました。その結果、変形性股関節そのものは治ることはありませんが、可動域は非常に改善され、股関節の進展はほぼ正常になりました。患側の脚は2センチメートルくらい短くなりましたが、外転も正常値に近いまでになりました。疼痛は依然として残存していますので、現在もなお治療を継続しています。

 股関節の疼痛を発生する疾患には、変形性股関節他、先天性股関節脱臼・ペルテス病・大腿骨頭壊死・変形性関節症(骨関節炎)・化膿性関節炎・骨髄炎など重症なものもあり、鑑別は非常難しいと思いますので、股関節に疼痛を発生したときは、我慢せず専門医を受診することが肝要です。

 代表的つぼは、腎兪・大腸兪・次Bまたは小腸兪・秩辺・環跳・居B・髀関・伏兎または風市・足三里、その他疼痛部位に散鍼をしました。

 つぼの部位については、下記の経穴名検索をご参照下さい。

参考文献(時事通信社家庭の医学)

経穴名検索
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