乗物酔い
皆さんは、小学生や中学生のころ自動車や汽車に乗って、気分が悪くなった経験はありませんか。子供のころは乗物に酔いやすいといわれます。大人でも身体に不調を訴えたとき、乗物酔いすることがあります。
例えば、胃腸が悪かったり、和服など着て胸腹部を強く圧迫したときなどに酔いやすくなります。また、自分で運転中は酔わないのに、他人の運転する車では酔う者がいたり、汽車は酔わないが自動車には酔うという者もいます。
これは、乗物の加速度や異常な振動が内耳の中の耳石器や三半規管に伝わり、その刺激が自律神経に伝わって、吐き気がして吐いたり、顔面蒼白、冷や汗というような症状を起こすことになります。これは加速度病とも呼ばれています。
患者N.T.73歳女性
20数年前から胃腸が弱く、肩こりに頭痛を随伴吐き気を訴えて来院している患者さん。7年前、子供さんが遠方に居るので、出かけて行きたいが乗物酔いがして行けずに困っているので、鍼治療で何とかならないかと相談があり、全身の鍼治療した後、築賓・中Jに円皮鍼を貼付しました。
次回来院したとき、乗物酔いを尋ねたところ、全く酔わなかったと嬉しそうに話してくれました。以来この患者さんは、旅行をするときは円皮鍼を貼付することにしていますが、長距離旅行も乗物酔いしなくなりました。
鍼灸の代表的なつぼは、目眩に準じた百会・天柱・風池・完骨・肩井・身柱・膈兪・肝兪・外関・陽池・陽陵泉・築賓・中Jなどを選穴します。
築賓は、うちくるぶし(内踝)より上方五寸前脛骨の内側。中Jは、腹部で臍より上方へ指で押し上げると突き当たったところ(剣状突起)と臍との中間です。
円皮鍼は薬局などで買うことが出来ますが、患部は十分消毒した上で行って下さい。なるべくならば、近くの鍼灸院の先生を受診される方がよろしいでしょう。