歯の痛み




 はの痛みには、冷たい水や空気に触れたときのしみる痛みなどの刺激痛や、ひとりでにズキズキ痛む激しい痛みの自発痛、あるいは歯をかみ合わせたときの浮いた痛み(そしゃくつう)の咀嚼痛などがありますが、鍼灸の治療には自ずから限界がありますので、ここでは、単純な歯の痛みについて記述します。

 刺激痛は、むし歯や歯のすり減ったとき、あるいは歯根が歯肉の外に出てきたときに起こります。初期には痛みがすぐに(10秒ぐらいで)おさまりますが、進行すると痛みが長く(1分以上)続くようになります。

 自発痛は、むし歯が歯髄[しずい](いわゆる神経)にまで達して歯髄炎になったときに起こります。進行して歯髄がくさってしまうと一時的におさまりますが、むし歯はどんどん進行しますので、やがて咀嚼痛が出ます。

 咀嚼痛は、歯根膜炎の症状です。むし歯で歯髄がくさって歯根のさきから骨の中にまで進行したときや、歯槽膿漏が進行して歯の周囲に炎症が起きたときに症状が出ます。  放置しておくと骨髄炎や骨膜炎を起こしてはれてきます。  外傷などで歯根膜が傷ついたときや、歯のまわりの骨の病気が歯根膜に及んだときにも咀嚼痛が出ます。

 平成16年10月18日、歯が激痛のため具合が悪いと、患者さんの友人から電話が入る。夕方もかなり遅い時間でもあり、歯科医院も診療は終えている時間帯でもあり、来院するようにと告げる。

 患者H.Eさん(34歳)女性

 以前から、時々歯の痛みはあったが、今回は涙が出るほど右上下の歯が痛いと言います。触診上では発熱もないし腫れらしきものもないようです。むし歯や歯槽膿漏がありますかと問診しても、多分ないと思いますとのことでした。温溜を指圧するも圧痛は認められませんでした。

 歯痛の原因がはっきり判らないことと、歯痛には鍼治療は限界があることを話しをして、今日は鎮痛を目的に治療しますので、明日歯科医院を受診して下さいと承知してもらった上で治療を開始しました。

 先ず、寸3の1番鍼を合谷に刺入、軽度の響きを感じたところで、置鍼をしておいて、疼痛部位にソフトレーザーを5分照射する。その後、肩こりを除去するため、天宗・肩井・天柱・風池鍼をし、翳風・下関・頬車・大迎などに鍼治療をする。

 患者さんの言葉によると、翳風に鍼をした時が一番歯痛が取れたような気がするとのことでした。数日後患者さんから電話があり、翌日痛みが多少後退したが、歯科医院を受診した結果むし歯が始まっているとのことでした。

 鍼では、むし歯は治せないまでも、一時的であっても劇的に鎮痛した一症例でした。

 つぼの部位については、下記の経穴名検索をご参照下さい。

参考文献(時事通信社家庭の医学)

経穴名検索
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