帯下(おりもの・こしけ)




 皆さんは、生活習慣病の精密検査を受けておられますか?少なくとも、年1回は受けたいものです。

 当院へ、肩こりで5年前から来院している患者さんで、昨年から時々腰部痛を訴えていたが、今年2月になって、左股関節・大腿部に軽度の疼痛が発生すると訴えるようになりました。大腿部の外側の痛みは鍼治療で消失しましたが、内転筋の痛みは術後一時的に軽減するも、翌日は増強するといった一進一退でした。

 長年鍼治療をしていると、色々な症状を訴える患者さんに接しますが、以前に股関節から大腿部に疼痛を訴える患者を治療したことがあります。50歳を出たばかりの女性でしたが、子宮癌の転移による疼痛でした。

 そこで、この患者さんに「婦人科や乳癌の精密検査を受けていますか?」と尋ねたところ、「ここ4、5年全く検査を受けていません」という応えでした。

 さらに、「帯下(おりもの)はありませんか?」と尋ねると、「最近下着にちょっと色が着く程度のおりものがある」と言います。

 二児の母親で、現在は一人暮らしですが、58歳でもあり、一度婦人科の専門機関を受診してみては如何でしょうかと強く勧めました。

 ここで、私ども鍼灸師が心がけなければいけないことは、たとえ自分では悪性のものではと疑問を持っていても、必要以上に患者さんに不安感を与えてはならないということです。その点、私ども治療師は、十分注意しなければなりません。

 数日して、患者さんから電話が入り、検査の結果子宮癌だったと報告を受けましたが、慰めの言葉も見つかりませんでした。診断の結果をたんたんと話していましたが、患者さんの心中は不安で一杯だったと思います。私に心配させないようにと、電話の向こうでは明るく努めていたのかも知れません。

 帯下は色々な婦人科疾患に見られる症状の一つです。ただちに癌と結びつくものではありませんが、たとえ自覚症状がなくても、長い間下半身の冷えが続くと、それが原因となって、分泌することがあります。赤みをおびたとき、独特の悪臭をもったときは、子宮頸癌、子宮体癌が考えられます。そのような症状が長く続く時は、一人で悩まず早めに医療機関を受診されたほうがよいでしょう。

 もう20年も前でしたが、腰仙骨部に疼痛があり、鍼治療をしても効果がなく、直腸癌の疑いがあり、医療機関をすすめたことがあります。思った通りやはり直腸癌で手術して、人工肛門で、現在も健康に過ごしている患者さんもおられます。

 癌ではありませんが、やはり婦人科疾患で、30歳代半ばの患者さんから、カンジダ菌が治らず、困っているという相談を受けたことがあります。カンジダ菌はカビの一種で、身体の抵抗力が低下した時などにも感染しやすいといわれます。1年も治らないのはおかしいと婦人科の先生を変えてみてはどうでしょうかと勧めました。医療機関を変えた結果比較的早く完治した事例がありました。この患者さんの場合、鍼治療が効いたかどうかについては判りません。

 身体に異常を訴えても、大したことはないとか、怖いからとかいって、症状が悪化して医療機関を受診した時は手遅れだったという話を耳にすることが時々あります。私がここで言いたいことは、軽いからとか、恥ずかしいから婦人科を受診するのが嫌だといわず、早期発見早期治療が大切であるということです。一人であれやこれやと悩まず、身体に不調を訴えたときは、専門の医療機関を受診されることはもちろん、信頼出来る鍼灸の先生にご相談するのも良いでしょう。

 取穴は、腎兪・大腸兪・次B・居B・風市・陰廉・血海など。

 つぼの部位については、下記の経穴名検索をご参照下さい。


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