坐骨神経痛




 坐骨神経は腰髄より起こり、臀部から大腿部及び下腿部に走行する人体では最も大きい神経です。大腿部後側中央で、脛骨神経と腓骨神経とに分岐します。脛骨神経は下腿三頭筋に沿って下行しますし、腓骨神経は、膝関節付近で腓骨前方を下行します。この坐骨神経の走行に沿って、腰・臀部から下肢に激しい疼痛をきたすものが坐骨神経痛とよばれるものです。

 「新医学大辞典」には、原因として、従来より、アルコール、砒素、鉛、糖尿病、痛風、梅毒などの中毒・代謝・感染性過程、仙腸骨関節または脊椎の関節炎、股関節炎、坐骨神経鞘を含む筋膜・筋に波及する線維組織炎、変形性骨炎、第5腰椎の仙骨化、脊椎カリエス、脊椎腫瘍、骨盤腫瘍、炎症性の神経炎などがあげられていますが、最近では腰椎の椎間板ヘルニアが重要視されており、原因の80%を占めるといわれています。

 坐骨神経痛で、上記の原因の中には、近年ほとんど見られなくなったものもあります。目安として、入浴後疼痛が増加するようであれば、坐骨神経炎が疑われますので、なるべく入浴を避けたほうが良いと思います。

 疼痛は、臀部から大腿後面、下腿外側および後、足の外側にかけてみられ、下肢の運動、咳、怒責により増強します。神経走行に沿って圧痛(ワレー氏圧痛点)を示すものもあり、アキレス腱反射の減弱ないし消失、下肢の知覚障害、徴候などが症例により若干の差をもって認められます。原因診断と原疾患の治療が重要になります。

 テストの一つに「ラセーグテスト」があります。仰臥位で下肢を進展した状態で、踵を挙上して45度以上で臀部から下肢後面に疼痛が発生すれば、座骨神経痛がかんがえられます。

 家庭で治療する場合は、腹臥位または、患側を上にして横臥位で、腎兪・大腸兪(関元兪)・次B(または小腸兪)・環跳(または承扶)・殷門・委中三里などを選択して、指で何回か押すか米粒大または、半米粒大の灸を3ないし5壮すえます。

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