ビリー・ヴォーンに酔いしれて




 今年3月だったでしょうか。友人がアメリカの代表的サウンド楽団ビリー・ヴォーン楽団が、6月22日に岡谷市カノラホールにやって来ると知らせてくれました。早速入場券を申し込みましたが、公演当日までがなんと待ち通しかったことか、楽しいことは長く感じられますが、とうとうその日が訪れました。治療も4時で終わりにし、午後7時開演というのに5時には友人の車で出かけました。

 6時半入場7時開演、客席は総て指定席のようでした。私どもはS席で、音楽を聴くには最適な位置でした。私どもも昔のビリー・ヴォーン楽団の音楽について話をしていましたが、周囲でも当時のことなどを思い浮かべているのか話し声が聞こえて来ます。開演までにホールはほぼ満席になっていました。

 暫くして、「波路はるかに」のテーマミュージックで幕が開き、全員拍手で迎えました。峠の幌馬車が演奏されたときは音楽に合わせて手拍子が鳴り、演奏者と客席が一体となっていました。私はあでやかなサックスのハーモニーに聴き入っていました。途中休憩を挟んで、スウィート・レラニ、グリーンスリーブス、真珠貝の唄、ダニー・ボーイ他24曲の演奏に、最後まで陶酔していました。アンコール曲が演奏されると拍手拍手でホール全体がビリー・ヴォーンに酔っていました。

 聴衆者はほとんどが年輩の方々でしたが、昭和3・40年代にあの曲この歌は、恋人とあるいは、友人と喫茶店でまたは、車の中で聴いたなあと皆さんは当時の若かりし頃を思い出しながら聴かれたことでしょう。当の私は?…。

 楽団の構成は、サックス5 トランペット4 トロンボーン4 ピアノ1 ウクレレ1 ベース1 ドラムス1 ボーカル3人の20人でしたが、一つひとつの楽器の音色がよく聴き取れ迫力があり、それぞれの楽器がおりなすハーモニーは、生ならではの素晴らしい演奏でした。

 「波路はるかに」や真珠貝など数々の世界的スーパーヒットを持つ現代最高のポップオーケストラのリーダーであり、名演奏者でもある指揮者のビリー・ヴォーンは、1965年の初回公演来日以来、91年までに19回の来日記録をうち立てているほどの大の日本びいきである。そのビリー・ヴォーンは、既に癌で72歳で、91年9月に死去されたとパンフレットに記載してありました。御冥福をお祈り申し上げます。




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