弁護士・前群馬県公安委員会委員長 阿久澤 浩
群馬弁護士会に登録して四〇年になる。早いような遅いような経過だが、いろいろな経験をした。
時折尋ねられたのは、何故弁護士が悪い企業の代理人になるのか、何故そんな悪い人を弁護
するのか、ということであった。それが私の職責だからとしか答えようがない。
善悪判断の基準は多くの場合マスコミ報道によるようである。
現在試行中の刑事事件における裁判員制度の是非は、一定期間の経過後でなければ俄に言及
できないが、矢張りマスコミの影響の埒外を期待するのは難しいことだろうか。
ところで、私の好きな新聞記事に、地方紙の「我が家の主役」という欄がある。
二歳未満の幼児一〇乃至二〇名前後の写真が毎日氏名と共に掲載されている。個性はあっても、
何れも天真爛漫文字通り天使の面影があることは共通しており、肩に翼を加えたら正に教会の
天井画にある天使を髣髴させる。
極悪非道と評される刑事犯罪者にも、嘗てはこうした時期があった筈である。
子供は社会からの預かりもの、成人に達したら社会に返すべきものと云われることがある。
と考えれば、社会の、就中、家族、教育機関等の責任の重さは一方ならないものがあると云うべき
であろうが、更に子どもを育む社会の役割、子供は社会全体が育てるという意識と行動がもっと
強調されて然るべきではないだろうか。
難病の子供たちやその家族を支援している『群馬ファミリーハウス』の今後の活躍を祈念する。
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