平沼診療所トップページへ
コラム
[サイトマップ]

 健康・医療 - コラム
コラムトップ > ドクター's コラム > アルコールと肝臓のお話し
 アルコールと肝臓のお話し (その2)
→ アルコール性肝障害の分類 | アルコール性肝障害の治療

アルコール性肝障害の分類

 一般的には下図に示しましたように、アルコール性肝障害は脂肪肝→肝線維症→肝硬変と進んでいきます。また飲酒量が急激に増加して、黄疸、発熱や腹痛など起こすアルコール性肝炎という特殊な病態もあります。
アルコール性肝障害の進展:図1
  1. アルコール性脂肪肝
     毎日3合以上のお酒を5年以上飲酒すると起こります。肝臓内に脂肪(中性脂肪)が過剰に貯まった状態です。禁酒すると1〜2ヶ月で改善します。

  2. アルコール性肝線維症
     脂肪肝の状態からさらに飲酒を続けると、肝臓の細胞の周囲や肝臓内の血管の周囲にコラーゲンなどの線維が増えてきます。禁酒をすればこの線維はある程度吸収され回復しますが、飲酒を続けると肝硬変へと進展します。

  3. アルコール性肝硬変
     肝障害が長く続くと、肝細胞は広範囲に破壊され、再生した細胞の周囲に線維が増え、肝臓はどんどん硬くなり凹凸となります。こうなると黄疸や腹水などが起こり、血液を固める成分(凝固因子や血小板)が低下し、出血が止まりにくくなり、肝臓が元の状態に戻ることは難しくなります。それでも禁酒によりある程度は回復します。

  4. アルコール性肝炎
     常に飲酒を続けており、脂肪肝、線維症、肝硬変などの障害を持っている人が、急激な飲酒量の増加に伴って、黄疸や腹痛、発熱などを起こします。重症の場合には死亡する率が高くなります。

アルコール性肝障害の治療

 γ-GTPが軽度上昇しているだけであれば、まだ肝臓の障害は強いとはいえませんが、節酒が必要です。

 AST(GOT)、ALT(GPT)が高い場合には、すでに肝細胞が障害されていますので、飲酒を続けると進行していきます。したがって禁酒が必要となります。禁酒をするとAST、ALTは1〜2ヶ月で低下してきます。またγ-GTPは禁酒すると通常2週間程度で半分位に低下します。

 脂肪肝や肝線維症ではこれでいいのですが、肝硬変にまで進行してしまった人やアルコール依存症患者は断酒(今後いっさいお酒を飲まないこと)しか方法はありません。

 食事も大切な治療法の一つで、良質なタンパクをバランス良く取ることが大切です。アルコールは体内のビタミンやミネラルを壊してしまうので、これらの栄養素も十分に取る必要があります。また定期的に血液検査を受け、肝機能を把握しておくことも重要です。

 予防としては、一般的には一日2合以内、週2回の禁酒を行えば、問題はないと考えられます。

 依存症の疑いがあったら、アルコール専門医に相談が必要です。

副所長 大畑 充 先生
 関連ページ
- アルコール性肝障害とは? 症状と診断
 

平沼診療所トップ - 診療案内 - 診療医療体制 - 外来医師予定 - 調理実習教室 - 運動療法教室 - 日曜検診 - 平成会

お問い合わせ
Copyright (C) Hiranuma Shinryousyo. All Rights Reserved.