アルコールと肝臓のお話し (その2)
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アルコール性肝障害の分類 | アルコール性肝障害の治療
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■ アルコール性肝障害の分類
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一般的には下図に示しましたように、アルコール性肝障害は脂肪肝→肝線維症→肝硬変と進んでいきます。また飲酒量が急激に増加して、黄疸、発熱や腹痛など起こすアルコール性肝炎という特殊な病態もあります。
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- アルコール性脂肪肝
毎日3合以上のお酒を5年以上飲酒すると起こります。肝臓内に脂肪(中性脂肪)が過剰に貯まった状態です。禁酒すると1〜2ヶ月で改善します。
- アルコール性肝線維症
脂肪肝の状態からさらに飲酒を続けると、肝臓の細胞の周囲や肝臓内の血管の周囲にコラーゲンなどの線維が増えてきます。禁酒をすればこの線維はある程度吸収され回復しますが、飲酒を続けると肝硬変へと進展します。
- アルコール性肝硬変
肝障害が長く続くと、肝細胞は広範囲に破壊され、再生した細胞の周囲に線維が増え、肝臓はどんどん硬くなり凹凸となります。こうなると黄疸や腹水などが起こり、血液を固める成分(凝固因子や血小板)が低下し、出血が止まりにくくなり、肝臓が元の状態に戻ることは難しくなります。それでも禁酒によりある程度は回復します。
- アルコール性肝炎
常に飲酒を続けており、脂肪肝、線維症、肝硬変などの障害を持っている人が、急激な飲酒量の増加に伴って、黄疸や腹痛、発熱などを起こします。重症の場合には死亡する率が高くなります。
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■ アルコール性肝障害の治療
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γ-GTPが軽度上昇しているだけであれば、まだ肝臓の障害は強いとはいえませんが、節酒が必要です。
AST(GOT)、ALT(GPT)が高い場合には、すでに肝細胞が障害されていますので、飲酒を続けると進行していきます。したがって禁酒が必要となります。禁酒をするとAST、ALTは1〜2ヶ月で低下してきます。またγ-GTPは禁酒すると通常2週間程度で半分位に低下します。
脂肪肝や肝線維症ではこれでいいのですが、肝硬変にまで進行してしまった人やアルコール依存症患者は断酒(今後いっさいお酒を飲まないこと)しか方法はありません。
食事も大切な治療法の一つで、良質なタンパクをバランス良く取ることが大切です。アルコールは体内のビタミンやミネラルを壊してしまうので、これらの栄養素も十分に取る必要があります。また定期的に血液検査を受け、肝機能を把握しておくことも重要です。
予防としては、一般的には一日2合以内、週2回の禁酒を行えば、問題はないと考えられます。
依存症の疑いがあったら、アルコール専門医に相談が必要です。
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副所長 大畑 充 先生
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