黄金の3日が勝負


黄金の3日が勝負学級崩壊の予防法
最初の三日間で勝負が決まる
 学級経営をする上で最初が肝心と新採の頃から言われていた。子供たちに今度の先生は、どんな先生かと印象づけるためには、最初が大切なのだ。約40人のクラスを担任一人で統率するためには、ある程度の強さや怖さがなければ(厳しさ)子供たちはついてこないと考える。
 人間はどうしても甘い方に流れがちである。ましてや欲のない子供たちは、安易な方向に進むのは間違いない。子供たち全員がそうとは言い切れないが、ほとんどの子はそのような傾向にある。大人でも同じではないか。
 学級を組織するのは、子供ではない。教師である。
教師の力量で、学級が変わる。毎年行われる高校野球や高校総体のスポーツにしても、結局は指導者の力量にかかっている。子供たちの素質もたぶんに影響していると思われるが、それとて磨かなければただの石ではないか。
 それを磨き輝かせるための、指導者の具体的な対応が必要である。

 力量ある教師の必修条件

☆ 信念をもつ (自分は子供たちにどのようになってほしいか。どういうクラスを目指しているのか、はっきりとした指針を持つこと)
☆ 子供たちに具体的に投げかける、技術をもっているか(いくら頭がよくても子供たちが動かなければ意味がない。子供たちを動かすことのできる力が必要)
☆ 日々教師修行に励んでいる。
☆ これだけはやり通すぞという精神力を持っている。
スポーツの監督なら自分のチームをどんなチームにしていくのか、具体的なイメージをもって指導に取り組んでいるだろう。サッカーならブラジル型とヨーロッパ型に大別できるように、学級経営でも子供たちがこうなってほしいという具体的なイメージを持たなくてはいけない。
その具体的な目標のために教師は、子供たちに対して接していく。自分の気の向くままにその日の気分で取り組んでも子供たちは育たない。

優しい教師でいいのか

40人を相手にし、自分のめざすクラスをつくるためには、優しさだけでは足りない。厳しさも必要である。厳しいことで子供たちがやらなければならないと思うからである。これが優しいとまあいいかということになって、そこから崩れてくる。
自分の子供を教育するのとは絶対違う。
公教育として教えるのであるから、子供たちのいやなこともやらせねばならない。家庭では許してしまうことも、学級では許していけない。そこから崩れを出さないためだ。

厳しさはどこから

大きな声を張り上げて怒ることは厳しさではない。厳しさとは妥協しないことだ。

自分の基準に到達していなければ、許さない頑強な姿勢が必要である。それを子供たちは厳しさと捉えるだろう。
「先生、これいいですか。」と言ってきたら、いいと言ったときの周りの状態を予測して判断する。もしも「いいよ」という一言で授業がめちゃくちゃになってしまうことだってある。
教師の子供への言葉かけが一番大切である。友達のように話して子供がびくっとくるわけがない。なれ合いだけだ。なれ合いはやがて子供の我が儘へと続く。学級崩壊もきっとこのようなところが生まれてくる。優しく甘い対応は、気を付ける必要がある。甘い物のとりすぎが体に悪影響を及ぼすように。

まずは教師の子供たちとの関わり方

小学校の教師は、1日のうち大半を子供たちと接している。しかも特定の子供たちである。子供たちとのなれ合い状態が続けば、それを回復することは安易なことではない。最初は優しかったのにだんだん厳しくなってきた。素直な子供たちならこれでもついてくると思うが、高学年では反発を受けるだけである。自分の意志の弱さや計画性のなさを子供たちに見破られる結果になり、最悪の場合は子供が教師の指示に従わなくなる。

学級崩壊

学級崩壊はたぶんそんなところから生まれてくるのではないか。子供たち自身にも問題はあると思うが、やはり教師が問題なのである。教師の対応でぜったい子供は変わる。

新しい学年が始まると、どんなクラスにしたいか考える。今は10数年前と違って具体的な学級経営を書いた本がたくさんある。学級経営のマニュアルがあるということはありがたい。恥ずかしながら教職経験を10年以上積んだ私でも教室ツーウエイは参考になる。なるほどとうなずける。

授業以前に学級作り

学級作りが確実にできないと、いい授業なんてできるわけがない。学級経営とは教師の指示が通るクラスを作ることである。これなくして、学級の学力向上、子供同士の関わりを深める、発言が飛び交う授業などできる訳がない。小学校教師の一番最初の仕事は、学級作りなのである。文部省から示される学習指導要領にしても、それを達成するためには、くどいようだが、確実な学級経営が必要なのだ。

教室ツーウエイの4月号は、決まって学級経営の具体的な取り組みの特集だ。ツーウエイでは、最初の3日間のことを「黄金の3日間」と言ってたいへん貴重な3日間であると主張している。私も賛成である。


2000年4月の教室ツーウエイ
 
向山先生の特集論文からの抜粋  p9
教師は最新の思想、最新の計画、最新の方法で武装していなければならない。この時期学級を組織する ルールを作る 授業を作る 方針をきちんと立て、実行することが大切だ。 向山洋一『学級を組織する法則』 

さて、クラス作りの方針を黄金の三日間にやったらそれを守り育てることが大切になる。この時期に、「機械的」になっては駄目だ。どれだけすぐれた方針でも、現実に合わなくなる時期がある。その微調整をしていくのが教師の仕事である。ハンドルの遊びの様な部分が必要なのだ。原則はきちんとさせて、そして微修正を自分で考える。原則まで自分で考えると我流のレベルの低い実践になる。微調整、つまりフィールドバックは人間界のできごとすべてに必要なのである。

 うなずける。その通りであると思う。車でもいくらいい車を作ったとしても消費者に受け入られなければ意味がない。微調整は大切なことだ。

なお教師の指示は後になって教師の都合で変えてはならない。子どもが文句を言うのは前と違うということだ。
 一度決める時には、先の事まで考えて自覚して言うのである。あるいは先になって変化するなら、前もって条件をしっかり言っておくのである。それなら子どもは納得する。
●言葉を大切にすること
「赤鉛筆で丸を付けなさい」と教師が言ったらあくまでも赤鉛筆なのである。
「ノートにきちんと写しなさい」と言ったら教師の言葉に従うかがポイントなのである



このこともうなずける。私自身も前と同じことをやらなくて、子供たちに文句を言われたことは何回もある。最初優しくして後から厳しくしたことも何回もある。学級経営は自分との戦いなのである。
ビジネスの世界では、売り上げで評価される。教育の世界は子供たちの態度である。テストの点数もあるが、小学校の場合は、生活態度も評価の対象だ。素直に育っているか、指示に従うことができるか、話をしっかり聞いているか、そのすべての要素は学級経営が主軸にある。その学級経営を作っていくのが、教師である。教師の態度、言葉、しぐさ、教師すべてなのである。だからこそ、小学校教師は、中学と違った意味で厳しい。教師の姿がそのまま子供に反映させる。



やる気を出させる、学級の仕組みを作る
子どもたちにやる気を出させる
学級の仕組みを作る
出会いの日 「日本一     クラス」 そうやって目標を決めた
2日目 学級のルール。どの様なルール画あったのかださせた。そのままでよいものは認め、私が変えたいことは変えた。
3日目 学級委員班長は立候補じゃんけんで決めた これにより自由平等な人間関係を築くことが可能になるのだ。

◎先生の言ったとおりにしなさいで指示を徹底する
授業のしつけとは、学習用具の使い方から発表の仕方にいたるまでルールを示して全員の子に徹底させることである。
1、授業・学習スタイルのフォーマット
2、教師の権威の確立
先生の言った通りにしなさい



 教師の指示を徹底していくには、教師の権威の確立が必要だ。まさに教師の言った通りにしなさいは、その具体的な表れだ。これなくして学級経営は成り立たない。


                   
授業・学習スタイルのフォーマット
◆名前を言われたらハイと返事をする
◆筆箱 鉛筆5本 赤鉛筆1本 ミニ定規1個 下じき
◆道具袋 セロテープ ホチキス 色紙 はさみ のり ボンド 三角定規 分度器 コンパス 色鉛筆 マーカー ティッシュ ミニタオル カット板 自由帳
自由帳はノートを忘れた時の応急処置だ。ただし後から必ず各教科のノートに写させる
◆挙手は肘と指先を伸ばす
国語 発問を写し枠囲いする
算数 計算と計算の間は指2本 縦は2行空けて書く

◎教師の統率力は、授業中にこそ試させる
 力強く誉めることは必須の条件である
 暗唱させることは知的な学習である
 まあこの程度ならいいかという一時の甘い感情が1年間を大きく左右することになる。


◎学習用具の点検を継続して
けずった鉛筆4本 赤鉛筆 消しゴム ミニ定規 油性マジック(ネームペン)
継続して取り組む


◎辞典に始まり辞典に終わる
付戔を張り付ける実践は、愛知県の深谷さんの実践

◎基本を徹底するゆるぎない信念こそアドバルーンをたたき落とせる
向山先生は執念深い

◎2種類のアドバルーンに気をつけろ
アドバルーンとはこんなことやっちゃってるけど先生はどうでるかなという子供のさぐりである。アドバルーンをそのままにしていたら次のようになる
アドバルーンには2種類ある
・指示に対して変更を求める  赤鉛筆ですと言う
・指示からはずれたことをする 先生の言ったとおりにしゃがみなさい

◎向山方ノート指導 教師の統率力を発揮し、子供にシステムと達成感を与えよ
赤鉛筆 ミニ定規 ノート
ノートは6年生でも22行がいい。27行ではせまい。初めは
バラバラになりがちなので教師が共同購入する方がいい。
先生は、校長先生や学校中の先生に君のことを説明しなければなりません。君だけ特別扱いだからです。
君のお父さんお母さんにも説明しなければなりません。今日家に電話します。他の人に聞きます。今まで1回でも赤鉛筆を持って来たことがある人。
赤鉛筆から統率力を見つける手法
向山型ノート指導 
線を引く時にはミニ定規を使いますついます。次の計算を隣に書く時には、指2本分あけなさい。下に書く時には、1、2行分下に書きなさい。ノートは両手で持ち教師の方に向けさせることを教える。早く終わった子が8人板書。大きな花マルを全員がもらえる授業にする。システムを教え達成感を持たせるのだ。




 シャープペンシルを許すとそれが波及して文房具に興味を持ち、いろいろな物を学校に持ってくるようになる。それが当たり前になってしまうのだ。際限がなくなってくる。水が低いところに流れるように、自然と流れは下に行く。確実に。だからこそ先の見通しをもって取り組むことが、大災害にならない。どんな事件も前触れがあるようだ。その時に発見していたらということをよく聞く。小さなことに厳しくすることで大過を防ぐことになる。