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冒険映画

掲示板で「インディ・ジョーンズ」シリーズの話で盛り上がったので途絶えているジャンル別ベストの再開は
【冒険映画】で行こうと決めましたが、「インディ」風にこだわると意外と数が少ないことが判り難儀しました。
そこで定義を広げることにするが、広げすぎない為に、
ある目的物の獲得若しくは目標の達成の為に主人公が非日常の世界へ旅立ち、かつ、場所の移転があるものに限定。
北欧に伝わるサーガ(冒険長編物語)風のもので冒険的要素の多いものも加え、何とか10本揃えました。
1位 「インディ・ジョーンズ」シリーズ 1981〜89年米 スティーヴン・スピルバーグ監督
冒険映画というジャンルはこのシリーズ以前にもあったわけだが、現在冒険映画と言えばジェットコースター映画と言われたこのシリーズ、特に第1作「レイダース/失われた聖櫃」のような作品を指すと言っても過言ではない。ジョージ・ルーカス(製作)とスピルバーグという当時の2大ヒットメーカーが組んだという興味に加え、サイレント時代の冒険活劇を下地に「007」風の破天荒さで展開するスピード感に我々は夢中になった。続く第2作「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」はさらにパワーアップした面白さを見せ、3作目にして最終作の「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」では余裕のある作りにまた違う楽しさを堪能。後日「ガンガ・ディン」というインドを舞台にした戦闘冒険映画を観た時にこのシリーズそっくりの場面に遭遇、スピルバーグの同作へのオマージュを知った。
2位 「スター・ウォーズ」第1シリーズ 1977〜83年米 ジョージ・ルーカス監督ほか
ジョージ・ルーカスのライフワークとなるスペースオペラだが、宇宙を舞台にしているとは言っても極めて北欧のサーガ的な色を強く感じる。シリーズ第1作を観た時隘路を駆け抜ける視覚効果に文字通り腰を抜かさんばかりに興奮させられた。ご存知のように舞台となる時代としては第1シリーズより遡る第2シリーズが現在進行中であるが、CG時代ということもあり映像が益々派手になる反面、活劇調の面白さは寧ろ消えているのが残念。
3位 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ 2000〜03年米=ニュージーランド ピーター・ジャクスン監督
実写映画化は不可能とされ、70年末に中途半端な形でアニメ化されたトールキンの「指輪物語」。それが実写映画化されるということで当事国のアメリカの人々は興奮したに違いない。日本でも公開に及んで知名度もアップするが、当初はそれでも「ハリー・ポッター」シリーズに及ばない感があった。しかし、共に3作目を終えた現在、作品の出来栄えの違いもあり、映画としては本シリーズがあるいは逆転しているかもしれない。物語の鍵となる対象自体(指輪)がネガティブな存在であるという点が他のサーガ(例えば「アーサー王物語」におけるエクスカリバー)とは大きく異なるところでありこの大作の面白さでもあるが、原作に忠実になる余り物語の停滞する部分が(特に第1作では)ないではない。2作目になるとシェークスピア的な面白さが出て来る。
4位 アフリカの女王 1951米 ジョン・ヒューストン監督
【恋愛映画:ロマコメ編】でも紹介した傑作。ここで紹介するのは些か逡巡する異色さであるが、貴婦人キャサリン・ヘプバーンがドイツ軍への復讐という大きな目的達成の為に危険なアフリカでの川下りを敢行するという物語だから、定義には一応当てはまる。ドイツ軍が見張り激流もある川を下るというサスペンスに、キャサリンと飲んだくれ船長ハンフリー・ボガートの丁々発止の演技合戦を絡め、ハラハラトキドキ、ニヤニヤゲタゲタと楽しめる。紹介せずにはいられない。
5位 ネバーエンディング・ストーリー 1984年西独 ウォルフガング・ペーターゼン監督
これはシリーズでの紹介ができない。第1作と2作目以降では映画としての出来栄えが雲泥の差だからである。原作は有名なミヒャエル・エンデの児童文学で、当時子供たちが「本のほうが面白いね」と言っているのを映画館周辺でよく耳にした。原作より映画が面白いことは理論的にはありえないことなので仕方がないが、原作を読んでいない観客にとっては現実と虚構の狭間を往来させるストーリーと映画ならではの視覚効果に十分満足できる出来栄え。
6位 「ロマンシング・ストーン」シリーズ 1984〜85年米 ロバート・ゼメキス監督ほか
シリーズと言っても「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」と「ナイルの宝石」の2本しかない。「インディ・ジョーンズ」シリーズの向うを張ってこしらえられた冒険活劇で、女性作家キャスリーン・ターナーと冒険家マイケル・ダグラスの南米山地で大冒険というのが第1作。成人女性と成人男性と組合せということもあり些か大人向けの印象がある一方で、「インディ・ジョーンズ」シリーズに比べると隙間が多い。好意的に言えば息を抜ける瞬間もあるということ。
7位 ジークフリート 1924年独 フリッツ・ランク監督
ドイツの有名な英雄叙事詩「ニーベルンゲンの詩」を映像化した前編で、「クリームヒルトの復讐」という後編が続くのだが、そちらは血まなぐさ過ぎ冒険色も殆どないので紹介しない。余りに名高い作品なので映画史を勉強したい方は勿論全巻を観なければならないのは言うまでもないが。王子ジークフリートと女王の力比べや怪獣の登場など冒険心は満杯だが、欧州映画ならではの映像の厳しさと美しさがハリウッドの通俗冒険アクションとは次元を異にする。荘厳で幽玄な作りという意味で上述した「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズはこの系譜に入ると言って良いだろう。
8位 リオの男 1963年仏 フィリップ・ド・ブロカ監督
この作品を第1作とするジャン=ポール・ベルモンド主演の「・・・の男」シリーズは楽しかったなぁ。「タヒチの男」「カトマンズの男」。中でもこの「リオの男」は傑作で、ベルモンドがパリの博物館から盗まれた南米産の石像を追ってリオジャネイロ、さらにアマゾンの奥地まで進む。追って追って逃げて逃げてという単純な構成で時間を忘れさせてくれる一編。今観ても面白いのじゃないかな?
9位 HELP!四人はアイドル 1965年英 リチャード・レスター監督
余りにも有名なビートルズの主演映画。同時にスラップスティック(どたばた)な面白さに満ちたコメディーでもある。リンゴ・スターがはめていた指輪がヒンズー教の曰くつきのもので、奪還しにやって来た信者からビートルズの面々がとにかくヨーロッパ各地を逃げ回るお話。音楽が流れる場面でのミュージック・クリップとしての魅力も抜群だった。
10位 キング・ソロモン 1950年米 コンプトン・ベネット&アンドリュー・マートン監督
「インディ・ジョーンズ」シリーズの人気にあやかろうと作られたシリーズ「キング・ソロモンの秘宝」の基になっているのがこの作品。戦前にも映画化されている原作もの(「ターザン」でおなじみのエドガー・ライス・バローズ)だが、カラー拡大版のこちらを代表としたい。ロマンスや猛獣の襲撃など当時の大衆が喜ぶような設定は今となっては凡庸に映る可能性は高いが、少なくとも公開当時は抜群のスペクタクルだった(はず)。