コーナーのトップページへ戻る

 パニック映画
 人災編 

テロリストや人間の驕慢・怠慢・不作為が引き起こすパニックの数々。
但し、テロリストものは「ダイ・ハード」シリーズのように他ジャンルで扱えるものは除外しました。
1位 タワーリング・インフェルノ 1974年米 ジョン・ギラーミン監督
パニック映画の金字塔。僅かなコストを惜しんだが為に竣工式当日に138階の超高層ビルが火に包まれる、という内容で、人々がいかにビルから地上へ降りるかということに焦点が当てられ、観客は手に汗を握りっ放しとなる。しかし、この作品の大成功は結果的にパニック映画ブームの終焉を早めることになった。どの作品もこれに遠く及ばず、飽きられてしまったのである。
2位 タイタニック 1997年米 ジェームズ・キャメロン監督
世界中で記録的ヒットをした作品。題材はそれまで何度も映画化されている豪華客船タイタニック号の遭難であるが、70年代の群像劇を排しロマンスの側面も強めたのが90年代らしい。過信が生んだ人災という面が従来よりも強調され、時に神がかった演出を見せた。
3位 大空港 1970年米 ジョージ・シートン監督
本作がパニック映画という言葉を生み、定義をしたと言って良い。グランドホテル型の人生ドラマを軸としてパニック場面を展開するのである。航空機ハイジャックが本格的に扱われた最初の作品もであり、好評でシリーズ化された。因みに、ハイジャックは乗っ取りを意味する英語で、航空機乗っ取りのみを指すわけではない。
4位 サブウェイ・パニック 1974年米 ジョゼフ・サージェント監督
タイトルにパニックとあるものの典型的なパニック映画ではなく、寧ろサスペンス映画である。地下鉄を舞台にしたハイジャックで、余分な人生模様などがなくて実にすっきりと作られ面白さ抜群だった。
5位 新幹線大爆破 1975年日 佐藤純弥監督
スピードが80km以下になると爆発する爆弾を仕掛けられた為止まることができなくなった新幹線の恐怖を描いた邦画最高のパニック映画。しかし、パニックになる一般客に扮するエキストラの演技はお粗末だった。
6位 SOSタイタニック 1958年英 ロイ・ベイカー監督
後発の「タイタニック」があるのでこの位置に置いたが、結構お気に入り。前述作よりサスペンス醸成に腐心した作品だが、不可能になる瞬間まで演奏を続けた楽団に涙を禁じえなかった。
7位 スピード 1994年米 ヤン・デ・ボン監督
「新幹線大爆破」の80km以下で爆発という発想をバスに転用したわけだが、新幹線のように時間的余裕はない分パニック映画よりはサスペンス映画に寄る。犯人を騙すテクニックが効いていましたね。
8位 エアポート'75 1974年米 ジャック・スマイト監督
「大空港」シリーズ第2弾だが、横文字ブームで「エアポート」シリーズと呼ばれることになる。これはテロリストではなく、セスナとの衝突事故で運転士諸氏が全員運転不能になるというパニック。「77」「80」と続くがジリ貧となった。
9位 パニック・イン・スタジアム 1976年米 ラリー・ピアース監督
プロ・フットボールが行われるスタジアムで銃乱射というわけだから航空パニックなどと比べると作り方は難しく、出来栄えは推薦に程遠いが、パニック映画らしさだけは満点。「パニック・イン・テキサスタワー」なる邦題で放映されたカート・ラッセル主演のTVムービーもある。但し、この英語風タイトルは英語としては成立しない。
10位 カサンドラ・クロス 1976年英 ジョージ・パン・コスマトス監督
軍が開発中だった細菌を浴びたテロリストが列車で逃走した為、軍側が細菌開発を闇に葬るべく列車を爆発しようというお話。コスマトスは明らかに腕前が三流で、予想されるほど面白く出来ていない。核を積んだ列車が止まらなくなるTV映画「アトミック・トレイン」は発想的に面白い部分があるが、欲をかいて失敗。一部実話らしい。

パニック映画
 不可抗力編 

自然災害編と言っても良いこちらの作品群。但し、宇宙人襲来などのSFや純粋ホラーは除外。
1位  1963年米 アルフレッド・ヒッチコック監督
この傑作は決してパニック映画ではない。10本に限定するなら入れようとは思わないが、多少定義を拡げたということもあり一応入れることにした。これは未知なるもの、しかも非SF的なものへの恐怖をヒッチコックがあらゆるテクニックを駆使して(ジャングルジムを使った恐怖醸成を見よ)見せたホラーの傑作というべきで、パニック映画のような対岸の火事を見せるような作りは決してしていない。猛禽でもない鳥が群を成して人を襲う。正に観客も劇中人物同様にパニックになる。
2位 ポセイドン・アドベンチャー 1972年米 ロナルド・ニーム監督
恐らく「タワーリング・インフェルノ」を東の横綱とすれば、西の横綱と言うべき傑作。津波を食らった豪華客船が転覆して設計ミスの為に逆さまになってしまうというお話だが、「タイタニック」とは製作意図は違うので不可抗力編に入れたい。グランド・ホテル形式を最大限に生かした面が特に評価されるが、本作以上に人間模様を入れたら退屈に転ずる。ジーン・ハックマンの牧師に泣いた人も多いだろう。
3位 ハリケーン 1937年米 ジョン・フォード監督
30年代はパニックではなく、災害スペクタクルがブームとなったが、当然パニック模様は挿入される。特撮技術が今ほど発達していない37年当時としては驚異的な台風襲撃場面に圧倒された。79年のリメイクは全くの凡作。
4位 ジョーズ 1975年米 スティーヴン・スピルバーグ監督
「鳥」は動物パニックとは言えないが、こちらは正真正銘の動物パニックの力作である。スピルバーグはこの一作でハリウッドNo.1ヒットメイカーになった。詳細は今更説明するまでもないだろう。
5位 ディープ・インパクト 1998年米 ミミ・レダー監督
1950年に作られた「地球最後の日」のリメイクとも言えるもので、彗星が地球に衝突することが判明して地球全体がパニックになる。オリジナルはパニック場面が全くなく別の惑星へ脱出するというSF的な作劇だったが、こちらは緊迫感もパニック感もたっぷり、久しぶりに本格的なパニック映画を堪能できた。同じ年に作られた「アルマゲドン」はパニック映画ではないし、出来栄えも凡庸。
6位 アンドロメダ… 1971年米 ロバート・ワイズ監督
細菌パニックの代表として選ぶ。よりパニック映画らしい「アウトブレイク」にしようと思ったが、こちらがサスペンス性にまさる。似た発想の作品に「サタンバグ」があるが、あちらはスパイ・アクションもどきだった。
7位 ツイスター 1996年米 ヤン・デ・ボン監督
些か誉めすぎかもしれないが、動物描写でがっかりしたCGが災害には実に威力を発揮することを思い知らされた貢献度を買ってここに入れる。竜巻を発見・追跡する気象調査隊の職業紹介映画としても注目したい。
8位 ボルケーノ 1997年米 ミック・ジャクスン監督
同じ頃「ダンテズ・ピーク」という火山の噴火を描いた作品が作られ出来栄えに大差はないが、小粒でピリリと辛いこちらを選んでみた。また、ロサンゼルスの街中がマグマ噴出というのが奇想天外。何度も映画化された「ポンペイ最後の日」は最も凡庸と言われる59年版しか見ていないので、とりあえずこれを推す。
9位 大地震 1974年米 マーク・ロブスン監督
ロードショー館で椅子が揺れるというサーヴィスがあったが、どのくらい揺れたか余り印象に残っていない。努力賞ということで推すが、地震を扱った戦前の二名作「シカゴ」と「桑港」は残念ながら見ていない。
10位 日本沈没 1973年日 森谷司郎監督
小松左京のベストセラーの映画化で、TVシリーズ化もされた。特撮ではハリウッド大作との差を感じさせてがっかりしたものだが、何しろ日本列島が沈没してしまうのである。SF映画的ではあるが、入れずにはいられない。同じ小松左京の映画化「復活の日」は細菌災厄の【その後】を重点的に描いているので、パニック映画とは言いにくい。