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西部劇@ガンファイター編

このジャンルには秀作が多い。10本に収まらず泣く泣く切った作品が少なくありません。それでは楽しんでください。
1位 シェーン 1953年米 ジョージ・スティーブンス監督
決闘場面に惚れ惚れした。史上最速のガン捌きと言われている。しかし、呼吸の良い演出とドラマ構成がそれ以上に優れている。子供の英雄視を裏切るまいとする風来坊シェーンの態度、少年の母親への秘めた想いに思わず涙を催す。果たしてシェーンは生き永らえることができたのか?
2位 荒野の決闘 1946年米 ジョン・フォード監督
終盤に有名なトゥームストーンの決闘があるとは言え、「静」の西部劇の代表と言って良い。ヘンリー・フォンダ扮するワイアット・アープが床屋で過ごす場面の味の良さ。フォードでなければ出しえない味である。
3位 真昼の決闘 1952年米 フレッド・ジンネマン監督
ドラマがほぼリアルタイムに進行するという西部劇史上、当時としては映画史上稀に見るアイデアで我々を驚かせた。結婚したばかりの保安官が若妻の懇願を無視して孤立無援で悪党に立ち向かうという物語も魅力に溢れている。保安官が従来の英雄型ではないのが共感を呼んだ。
4位 荒野の七人 1960年米 ジョン・スタージェス監督
黒澤明の「七人の侍」の西部翻案版。無断借用(所謂ぱくり)だったので当時問題になったらしい。七人の個性豊かで面白い映画。これ以降メンバーを集める場合七人と相場が決まった。
5位 リオ・ブラボー 1959年米 ハワード・ホークス監督
ハワード・ホークスは活劇も喜劇も作れる監督だから、派手なアクションが多く喜劇味もあるこの作品を見事にこなした。ジョン・ウェイン初登場。ディーン・マーティン、リッキー・ネルスン共演で歌を披露するが、なくもがな。
6位 OK牧場の決闘 1956年米 ジョン・スタージェス監督
保安官ワイアット・アープと医者ドク・ホリデー対クラントン兄弟の決闘を描いた娯楽作。ほぼ同じ題材の「荒野の決闘」とは全く異なる活劇的な作りで、主題歌とあいまって快調な展開ぶりがご機嫌である。
7位 明日に向って撃て! 1969年米 ジョージ・ロイ・ヒル監督
1960年代後半リアリズムを基調としたニューシネマが台頭、西部劇も変革を余儀なくされた。この作品はそういう流れの中で作られた西部劇の中で抜群の魅力を放つ。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードのコンビが最高。
8位 荒野の用心棒 1964年伊 セルジョ・レオーネ監督
これも黒澤明監督「用心棒」の無断借用。レオーネは鈍重な監督で冗長な場面が少なくないが、本作は良い。主題曲♪さすらいの口笛♪も宜しく、所謂マカロニ・ウェスタンの代表として推薦したい。クリント・イーストウッドの出世作。
9位 許されざる者 1992年米 クリント・イーストウッド監督
70年代以降の衰退著しい西部劇にあってこの作品は誠にがっちり作られて見ごたえ十分。主人公の性格は昔のように単純なものではないが、威勢の良い西部劇らしさが蘇ったのが嬉しかった。
10位 ヴェラクルス 1954年米 ロバート・オルドリッチ監督
随分昔に観ただけで正確に記憶していないが、ゲイリー・クーパーとバート・ランカスターの決闘が格好良かったのは憶えている。近々見直してみようと思う。

西部劇A西部開拓・インディアン編

西部開拓と銘打ちましたが、実際にはガンファイターもの以外からの選定です。本来「駅馬車」はガンファイターものに入れるべきでしょうが、
ガンファイターものには秀作が多く、インディアンも絡むのでこちらで挙げてみました。
1位 駅馬車 1939年米 ジョン・フォード監督
インディアンの扱いが人道的ではないとする意見もあるが、それに拘ってはこの映画は楽しめない。映画を構成する一つの要素として、たかが映画と思って観るべきである。見事な人物配置、見通しの良いストーリー展開に感嘆を禁じえない。西部劇史のみならず映画史に残る大傑作である。
2位 大いなる西部 1958年米 ウィリアム・ワイラー監督
古き良き開拓時代の終焉への哀歌。登場人物の対立がメインとは言え典型的な西部劇とは言えないが、ロングショットを多用した映像が魅力満点。グレゴリー・ペックとチャールトン・ヘストンの殴り合いに大興奮。
3位 赤い河 1948年米 ハワード・ホークス監督
西部劇=カウボーイという印象があるのに、何故かキャトルドライブを本格的に扱った作品は少ない。ガンマンものに比べると地味な印象があるからかもしれないが、いやいや、牛の移動はなかなかの見ものですぞ。
4位 黄色いリボン 1949年米 ジョン・フォード監督
恐らくここに挙げた20本中最も見どころの少ない作品であろう。しかし、西部の雄大さをそのまま主人公にしているようなフォードの枯淡の境地には他の作品以上に感心したものである。
5位 ダンス・ウィズ・ウルヴズ 1990年米 ケヴィン・コストナー監督
既に50年代にも「折れた矢」「折れた槍」などインディアンへの理解を示す作品があったが、あくまで白人からの視点という限界が感じられた。この作品とて限界を完全に突き破った(その時は既に西部劇とは言えない)とは言えないものの、従来踏み込めなかった領域に初めて入った作品と言って良い。
6位 ブラボー砦の脱出 1953年米 ジョン・スタージェス監督
インディアンに囲まれた北軍兵士がいかに危機を脱出するかという活劇で、スタージェスらしい線の太いタッチで楽しめた。素晴らしい映像の構図が強烈なサスペンスを生み出す。
7位 怒りの河 1951年米 アンソニー・マン監督
アンソニー・マンとしては「ウィンチェスター銃’73」も素晴らしくて迷ったが、比較的最近観て印象の強いこの作品をとりあえず推す。典型的な開拓苦労話だが、ガンマンや賭博師が主演なので見どころが多い。
8位 シャイアン 1964年米 ジョン・フォード監督
インディアンを極悪人のように扱っていたフォードが反省して作った映画などと取沙汰されたが、真相は不明。インディアンへの挽歌として心に染み入る大作だった。
9位 小さな巨人 1970年米 アーサー・ペン監督
インディアンに育てられた白人青年が白人社会に復帰してガンマンになり、カスター将軍の第7騎兵隊唯一の生存者となる、という70年代らしい風刺劇。ダスティン・ホフマンの魅力もあり佳作となる。
10位 捜索者 1956年米 ジョン・フォード監督
娘を奪ったコマンチ族を長年にわたり追いかけ回す執念の男が主人公で、それまでのハリウッド西部劇には見られない残虐性や激しさがある。ファンの評価が分かれている所以である。