青 潮

発生のメカニズム

@ 私たちの生活から生じる排出物や工場排水には窒素燐(リン)などの栄養塩類が含まれています。これが海洋に流入すると、海水が富栄養化(ふえいようか)します。富栄養化というのは窒素、燐(リン)などが栄養(えさ)となって植物性プランクトンが繁殖しやすい状態になることをいいます。

A 富栄養化によって栄養塩類をえさにしている植物性プランクトンが、特に夏場に大量に繁殖します。
 
★ 赤潮の発生・・・大量発生する植物プランクトンの種類や密度によって海水がオレンジ色や赤茶色、こげ茶色などに染まります。繁殖に適した夏場に多く発生します。

 
  赤潮発生!(H.13年5月13日) 
  千葉市美浜区稲毛海岸
  
  ★ 写真拡大可
 
  (海上保安庁海洋情報部提供)






B 大量に繁殖した植物性プランクトンはやがて、その死骸を海底に大量に蓄積していきます。

C 植物性プランクトンの大量の死骸を分解するのはバクテリアです。バクテリアは、そのために大量の酸素を消費します。

D その結果、酸素の含まれる量が極端に少ない海水のかたまり、
貧酸素水塊(ひんさんそすいかい)が海底に出来ます。

★ 特に東京湾の海底には沿岸を埋立てる砂を海底から浚渫(しゅんせつ:水底の土砂をさらい取ること)した後にできた大きな穴が無数にあります。このような穴や、船の航路にたまったままの海水はほとんど移動しないため、ほとんど無酸素状態になっています。生物の住めない死の世界になっているということです。

E 東京湾は、富津、浦賀辺りから北東の方角へ伸びた形状をしています。また、富津、浦賀辺りからは太平洋に向かってほぼ真南の方角に浦賀水道があります。秋〜冬は主に北寄りの風が吹き、夏の間は南よりの風が吹いている東京湾ですが、気圧配置によっては夏場でも北や北東の強い風が吹くことがあります。北や北東の強風が吹くと、東京湾の形状特性により表層の海水が沖(太平洋)に向かって流されやすくなります。

F 流された海水を補うようにして、海底の穴や航路の底にたまっていた無酸素状態の水のかたまり(貧酸素水塊)が表層に上昇しながら沿岸に向かって移動してきます。

G その無酸素水には海底の泥から溶け出した硫化(りゅうか)水素が含まれています。硫化水素の含まれたこの無酸素水が海面近くの海水に含まれている酸素化学反応を起こし、酸化硫黄(いおう)となります。するとその海域は鮮やかなエメラルドグリーンとなります。これが青潮です


 
青潮発生!(H.14年8月20日)
 千葉県船橋市上空より千葉市方面を望む

 
★ 写真拡大可

 (海上保安庁海洋情報部提供)






 一見すると、常夏の島の海岸のような美しいエメラルドグリーンの色をしていますが、これは
硫黄コロイド(煙・霧・マヨネーズ・ミルクなどのように一定の大きさの粒子が分散して存在している物質)となって海水中に分散し太陽光によって拡散されているためです。透明度はほとんどありません。

 また、海水は卵の腐ったような、硫黄独特の異臭を放ちます。

● 東京湾では1963年頃から青潮が見られるようになりました。青潮は、生物の生存に必要な酸素を不足させるだけでなく有毒な硫化水素を発生させるため、アサリの死滅など魚介類の大量死を招き、漁業被害だけにとどまらない海水中の生態系への深刻な被害をもたらします。
 
 現在、千葉県は浚渫後の海底の穴の埋め戻しを行っているそうですが、相当の年月と費用を必要とし、また、埋め戻しに使う土砂の問題も障壁となって、早期の解決は願うべくもありません。

● ウインドサーフィンを始めて2年目の年(2000年)だったかと思いますが、青潮が発生した検見川の浜に入ってウインドサーフィンをしてしまったことがあります。白濁緑色をしているために太陽光を反射して海面は妙に明るいのですが、硫黄の異臭が鼻をつきます。後で身体を洗えば済むだろうと平常と同様にセイリングし、転倒して海水に浸かったりしていましが、困ったのは水洗いをしても落としきれない道具の硫黄臭でした。車に積んだセイルなどの道具に付いた硫黄成分が半月ほどの間車内に充満して異臭を放ち続けていたかと思います。
 
 (ウインド中毒の方、青潮でも海に入りたい衝動が起こることと思いますが、やめておいたほうがいいです!)