塗装が剥がされ始めたエピフォン・カジノ
 (アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」制作中
   〜月刊「The Beatles」1990年10月号より)



 1966年8月のアメリカ公演を最後にビートルズはコンサート活動を中止し、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の制作が1966年12月6日から1967年4月21日までの4ヶ月間にアビー・ロード・スタジオで行われた。

 8月のアメリカ公演ではまだカジノの塗装は剥がされていないが、スタジオ・セッションが始まる以前、1966年中に既にカジノの塗装が剥がされ始めていたことも考えられる。

 ボディーの塗装を剥がすと音質が良くなるという説が当時あり、コンサート活動を止め自由な時間が与えられた1966年8月から12月の間に、新たなアルバム制作のためにジョンはギターの音質を変えることを望み、塗装を剥がし始めたのかもしれない。

 スキャンによるこの写真(オリジナルはカラー撮影と思われる)でははっきりしないが、紙やすりなどでボディー裏の曲面(ボディーのエッジからセンターにかけゆるやかなふくらみがある)の塗装を剥がす際に残ったと思われる、西洋梨形の塗装の剥がし残りが模様として確認できる。

 ボディー・サイドの塗装はまだそのまま残り、ネック裏やネック・ヘッド裏は完全に塗装が剥がされずにまだらになって残っている。

ビートルズ・アンソロジー」内「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の映像にてより鮮明な西洋梨形の塗装痕をご覧頂けます。

 1969年9月13日収録「スイート・トロント」ではジョンのカジノのバック全体が映し出されているが、西洋梨形の塗装痕は完全に消し去られている。

コメント続く








ホワイト・カジノ説ジョンの木地カジノはホワイトに見えることがある
(1969年1月の「レット・イット・ビー・セッション」にて〜「Let It Be」 An abkco managed company より)

 上の写真はジョンの顔が明るすぎて却って鮮明に撮影されていないことを見てわかるとおり、露光オーバーにより白く飛んでいる

 「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」制作期、この写真のように露光オーバーによりカジノのバックが白く写って見えてしまう写真が複数残されている。しかも、露光オーバーで撮影されるとネック裏の塗装の薄くなった部分が、まるで白い塗装スプレーを吹きつけたように写ってしまっている。

 また、映画「Let it be」では、ルーフ・トップ・セッション撮影時においてもステージ正面下側から照明を4人に当てているが、この照明と屋外の光を受けて演奏するジョンを正面からとらえたカラー映像や写真などでも、確かにカジノのトップもホワイトに見えるときがある。

 こうした断片的な映像情報や印象によって、ジョンがカジノをホワイトに塗り直したという説が広まったのかもしれない。

 しかし、上記のような「白っぽく見えるカジノ」といった映像情報以外に、ホワイトに塗装されたカジノらしきカラー写真は一枚も見たことがなく(100%存在しないだろう)、「ホワイト・カジノ説」は恐らく撮影条件や加工による残留塗装の状態等が考慮されずに、漠然とした印象をもとに一人歩きした単なる誤解と考えられ、信頼できない。

 






























 

 

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド制作中のビートルズ
(月刊「The Beatles」1990年8月号より)


 ジョンのカジノは「白色のスプレーを吹きつけたように白く写って見える。

 この写真もやはり撮影者に近接しているジョンの顔やカジノのネック裏は撮影者に近接しているため露光オーバーになり白く飛んでしまっているが、ジョンの暗色の服装は撮影距離の遠いポールの服装と同じように生地の質感はある程度見て取れる。逆にポールの明るい色のジャケットはフラッシュの光を強く反射して写っている。

 暗めの色のものは光の反射が少ないが、明るい色のものは反射率が高いため、より明るく(白く)写ってしまう。

 カジノのネック裏がこのように「極端に白く写ってしまう」のは、塗装の厚さの違いによる木地の透過度・反射の度合いからくるものでしょう。























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